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妖しき彼女とのシンパシー

 軽いブラウン系の髪の毛、長さは肩に少しかかる程度。前髪はおでこを半分出して右に流す。色白できれいな卵形の輪郭に少しツリ目の目は、大きな瞳。  

 背は高めで(百六十五センチ)

 スタイルは少しやせ気味だが、胸や腰も成長度は十分。  


 制服は茶色のブレザーだが、今は七月、夏は上は真っ白な丸首のブラウスに赤いリボンを結んで、下はプリーツスカートでネイビーレッドのチェック柄。脚は紺色のハイソックスを履いている。

リップクリームを塗っただけで、艶やかに輝く均整で薄い唇。


 控え目でも美少女に定義される少女を脅すように、大きな声を出す男。 


「おい、どうなっているんだ!? おまえは……何者なんだ!?」


 今、僕、浅井公示は、人気のない公園に立っている。

 目の前には二人の男女。一人は近所の高校生。女の子は同じく近所の中学生。

 二人の服装、学校の制服で判断できた。ちなみに僕も彼と同じ制服を着ている、僕は彼を知っていたが彼は僕を知らないだろうな。


「おい、黙っていても分からない。もう一度聞く、おまえは何者なんだ!? なぜ、おまえの周りでは、あんな事が起こるんだ!?」


 体が大きく、スポーツをしていると思われる男が、少女に掴みかかりそうな勢いで同じことを聞いている。


「おい、いい加減に……うん? そこの茂みに隠れているおまえ、出てこいよ」


 緊迫していた雰囲気に、一人、公園でただ、ぼーとしていた僕は、こっそりと隠れたはずだったが、まったく無駄だったようだ。


「はい! 僕はたまたま、ここに……いや、時々、一人になりたくて、ここに来ますが。いや、偶然です、あなたが少女に悪霊の話しをしているとか、ビビっている、とか全然知りません……あ!」


 高校生のガタイのいい男は、僕に近づきながら睨みをとばしてきた。

「おいおい、悪霊の話しを聞いていたじゃないか。いいか、俺は高校ではボクシング部の主将で、国体にも出た。おまえのような奴、ここで潰してもいい」


(同じ学校なんですが)

 迫る高校生に、後ずさるが、絶対に逃げられない、僕は運動神経も、肉体も、人並以下で、毎日、いじめられる方にならないように、大きな努力しているだけ。


「ふん! 悪霊に驚いて私と別れようとする、ボクシング部主将、弱いやつには強いのね」


 中学生の女の子が初めて言葉を発した。その声は見かけと違い、アルトで落ち着いた快いものだった。


「なんだと!?」途中まで僕に向かってきた高校生は、少女に振り替える。

「俺には怖いものなど、この世になかった……しかし、だが、あれは……」

 少女は釣り目気味の目で落胆を表して、言葉を続けた、

「先週だよね。私に強引に告白して、彼女にしたのは。たった一週間も持たないなんて。あいつにチキンって言われるのも当然ね」


 高校生は僕に近づくのやめ、少女にチキン野郎と言われて、怒りまかせに少女に近づく。


「俺はチキンじゃねえ。怖い者なんかない。この世ならな……おい、ここでもかよ……悪霊」


 少女に掴みかかろうとした高校生が恐怖の色を浮かべた。


「嘘だろ!?」同時に僕は叫ぶ。

 少女の後ろに真っ黒い霧が立ち込め、中に人の姿が現れた、何か古い鎧を着ている、表情は真っ黒で見えなないが、容姿はハッキリと僕にも見えた。


「悪霊……本物!?」

 後ずさる高校生、僕はまったく動けず、鎧姿の何もかを見続ける。


「ふう、ボクシング部の主将さん、あなたが本物のガイなのか、そこの男の子に判定してもらいましょうか?」


 さて、公園でゆっくりしていた僕は、まったく関係ない自称、高校生ボクシング部の主将と、背が高めで華奢で超美人の中学生の争いに巻き込まれていた。

 緊迫感の中、僕は判定を行った。悪霊に怯えるのはチキン野郎かどうか。


 高校生は怖かったけど(実は同級生で同じクラスなので)それより美人の佇まいの、ちょっと釣り目の美少女の圧が凄い。そしてなにより少女の後ろに見える、鎧武者の悪霊と思われる実物が、こちらを見ているようで、まだ、ダメージが少なそうな方を選んだ。


「あの、その、よくわからないけど……僕は女の子が正しいと思います!」


 僕のチキン判定に、怒るかと思われた高校生(実は同じ学校でクラスも一緒)はため息をついて


「そっか……そうかもな」と公園から出ていってしまった。


 少女は腕を組みながら、僕を上から下までよく見てから、こう伝えてきた。

「肉体は貧弱だけど、彼にダメ出しできたし、なによりあんたが見えているみたいよ。少しは見込みがあるかな」

 少女が後ろに立つ、鎧武者に向かって口を開く。

「……先に帰ってて。私はこの子と少し話してみる」


 少女の言葉で鎧武者の悪霊は頷き消えた。


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