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エピローグ、かも…。

 怒涛の勢いで一週間が過ぎ去り、今日もまた、何とか新しい朝を迎えることが出来た。

 神様に感謝、だ。


 表向きには、魔の森で調査中に遭難して行方不明、とされてしまった俺だが、実際には、帝国第三皇女様が率いる帝国遊撃部隊からの厳重な監視と隠ぺい工作を受けながら、急遽の商会代表としての権限委譲と業務引継ぎという名目でのオフィーリアさんとの断続的な協議を行いつつ、今後の方針策定とその実現に必要な書類作成に大車輪で取り組んでいた。

 いやはや、本当に、内容の濃ゆい一週間でした。はい。


 まあ、その甲斐もあってか、無事に、王国の王都エリスに構えるキンバリー伯爵家の拠点と商会におけるオフィーリアさんの権限や地位や報酬の大幅な拡充と補強を、少し強引に押し込んだ感はあるものの、何とか実現できた。


 うん。まあ、色々と問題は山積みだが、この一点だけ見れば有意義な時間だったと思う。

 そう。以前から気になっていたのだ。オフィーリアさんに関しては、その働きに対する見返りが少な過ぎる、と。


 ディー・イー・アイ。ダイバーシティ、エクイティ、アンド、インクルージョン。

 多様性、公平性、包摂性。

 国家の上層部が重視する姿勢を示し、法律や各種の規約などでも明示され、逸脱すると厳罰に処される。そんなラッセル王国やその王都であるエレンの街でさえ、この意識が根付いているとは言い難いのが現実だ。

 当然ながら、大変に遺憾なことに、旧ノーフォーク王国では更に、理念は辛うじて知っていても実践される事など皆無に等しかった、と思う。

 だから。血統的にほぼ人族ではあるが先祖返りでエルフの容姿をもつオフィーリアさんは、人間関係では一歩以上、というか十数歩は下がって、控えめな立ち位置を取ろうとし固辞するので、正直、俺は困っていたのだ。


 うん。優秀な副官と、駄目ダメな上司。

 その弊害の最たるモノがこれ、だったと思う。

 残念な人物である俺には、これまで、優れた才能を持ち仕事の出来る副官であったオフィーリアさんを説得することが、全く出来ていなかったのだ。


 けど、まあ。流石のオフィーリアさんも、この状況では、俺の懇願を受け入れてくれた。

 災い転じて福と成す。うん、頑張った、俺。


 一応は代理という体裁を取るけども、当面は、オフィーリアさんが実質的な責任者になる、のだ。

 その責任者に、強力な権限や十分な財力がないと対外的にも何かと困るからね。


 そんなオフィーリアさんを、俺自身でしっかりとバックアップが出来ないのは痛恨の極みだ。が、何とかなる、筈。

 念のため、ロンズデール伯爵令嬢にも一筆書いて、真摯に助力をお願いておいた。

 ラッセル王国の重鎮であるロンズデール伯爵家のご令嬢であり今回の外遊の件も含めてメキメキと頭角を現しつつある頭脳明瞭なクラリッサお嬢様ならば何とかしてくれる、と信じたい。いや、信じている。

 つまりは、後ろ盾も十分、な筈なのだ。

 ヘタレな俺が下手にフォローするよりも、万全の態勢と言えるのではないだろうか...。

 うん。大丈夫、だよね?


 という事で。閑話休題。


 何がどう功を奏した結果なのか今となっては全く以って不明なんだが、取り敢えず、俺の提案は受け入れられて、現在に至っている。

 俺をこの場でサクッと握り潰すのは、勿体ないよ!

 お役に立つから、部下の二人は開放して下さい!

 と、繰り返しの、手を変え品を変えての、前世の記憶を駆使した必死の俺のアピールが、結実したのだった。

 いやはや、よかった良かった。


 けど。

 その結果として、俺の帝国行き、が確定。

 しかも。その期間は最短でも三ヶ月間であり、それ以降の予定は全くの白紙。


 うん。我がことながら、あまりに想像の埒外すぎる事態の連続に、頭が痛い。

 毎度毎度に思うことだが、俺の平凡で平穏な日常は、いったい何処で迷子になっているのだろう?


 紆余曲折の末、色ボケ英雄の王国か弱肉強食の帝国か、の二択では迷わず避けた帝国に今度は(おもむ)く事となった訳だが、果たして、ガチムチ厳つい外観と体育会系な思考が標準装備された実力主義の強権国家で、俺はこの先、無事に生き残っていけるのだろうか...。


 帝国軍に拘束はされたが丁寧な扱いを受け、厳しく監視されながらも部下二名とは要望すれば会談が許され、検閲が入るものの各種手続きに関する公式文書や支援要請の手紙などを数多く(したた)め終わった俺は、今現在、周囲の状況が全く何も分からない状態で、厳重に包囲され唯一の扉もガッチリと施錠された狭い船室に、唯一人で居た。

 そう、船室。つまりは、海の上、だ。たぶん。

 ただ、まあ。確かめる(すべ)はないが、オフィーリアさんと凄腕イケおじ剣士さんは、解放済み。と、この軍の実質的な指揮官でもある寡黙なハイエルフのアイリーンさんが保証してくれたので、憂いなし。


 うん、うん。俺の未来という細やかな問題を除けば他は全て、危機は脱して順風満帆、と言えるだろう。


 とほほほほ...。俺の明日は、どっちだ?


 ここまで読んで下さり、ありがとうございました。


 面白かった、続きを読んでみたい、と少しでも感じて頂けましたら、

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 など、アクションして下さい、是非とも。作者が凄く元気になりますので。


 ここで一旦、完結のフラグを立てさせて頂きました。

 が、続きのお話も構想中、だったりします。遅筆で申し訳ないのですが…。

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