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プロローグ、は惰性で。~一区切り~

 まあ、何だ。

 色々と何かに向かって声高に苦情を並べ立てたい気分ではあった。が、まあ、ある意味、丁度良かった、と言えなくもない。


 そう。現在、俺は、天涯孤独の身、なのだ。

 そして。此処は、現世での今までの俺を知る親類縁者や隣人友人など誰一人として居ない、新天地。

 更に言えば。この街は、新参者にも住み易く開放的な気質を持つ上に結構な活気がある場所、らしい。


 つまりは、新しい人生を始めるにあたって、まさに持って来いな環境と状況なのだった。

 うん。ご都合主義的にバッチぐ~で超お誂え向きな現状、と言えるだろう。


 八百万(やおよろず)の神々に、感謝を!

 いや、まあ。俺は、特に信心深い性質(たち)でも無い、のだが...。


 と。それは兎も角。

 はっはっはっはは。

 いつまでも、こんな場所でアホづら晒していては、駄目だよなぁ。


 ハッと気付くと今の俺は、ラッセル王国の王都であるエレンの街を囲む城壁に設けられた立派な城門の前で立ち尽くし、たぶん茫然自失な表情を浮かべ、その威容を見上げるかのように顔を上げた姿勢のままで、固まっていた。

 フリーズ、という奴である。


 そう。周囲の視線が痛い、という(まさ)に悲しく居た堪れない状況、であった。


 最初は微笑ましいものを目にするかのような表情で見守っていたであろう門番の兵士さん達も、既に、胡乱気に不審者を監視するような態度になってしまっている。

 いかん、遺憾だ、拙いぞ、この状況。

 初っ端から変な噂がたってしまっては、心機一転で生まれ故郷の住み慣れた町を離れ新天地を目指して来た意味が、全く無くなってしまうじゃないか。


 俺は、速やかに気を取り直し、今更ながらではあるが姿勢と表情を改め、自分的にはキリリッとした雰囲気を漂わせたつもりに為りながら、街へと入る手続きをするために、城門の中へと向かって新たな一歩を踏み出すのであった。




 異世界転生か異世界移転、はたまた、もしかすると高度なVRゲームの世界に全力で没入している最中だったりするのか。正直なところ、現時点では全くもって正解は不明、だ。

 が、しかし。現実は、待ったなしで進行する。


 つまり。


 魔法ありで剣の腕前が幅を利かす中世ヨーロッパ的なファンタジーの世界にて、たぶんチートなど全く欠片もない、特殊な能力も独自の技能も何一つ特別なモノは持たない唯々に平々凡々な若者の一人としての、俺の新たな人生が、ここから始まるのだった。


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