しにがみ
2つ目
結婚が決まって家を建て替えることにしたので一時部屋を借りることになった。
部屋といっても一軒家丸ごとだ。
隣の家は新築で今ちょうどお払いやってるところのようだ。
「こっちもやんないとなー」
建て替える家のことではない。この家だ。
「めんどくせえ」
どうもこの家呪われているようだ。
(呪いと悪霊はここに集まり灰になれ)
俺は力をもっている。それはあらゆる呪いや悪霊を消し去る力だった。悪い物にはだいたいきく。
家の中から煙が上がる。
「やべっ」
呪力の強い物があって発熱してしまったのかもしれない。
隣の家とはすこし距離があり木も生えているので気づかれないと思うがばれると面倒だ。
あわてて部屋の奥に入る。まだ掃除前だから土足であがっていくと奥の部屋にあちこち焦げ後が見えた。
「まじか」
呪いのかかった調度品などがあったようだ。
「もったいねえ」
雑に払ったせいで貴重品が灰になってしまったのかもしれないとおもうとなんだか悲しかった。実はあまりに強い呪いがかかっていたから入りたくなかったのだった。
しかも床はひび割れたようにな穴だらけだ。
「血のあとかなんかか?」
何となく灰になって消えた床は血が流れていた後だと思った。
よくみると隙間からなにかみえる。
「地獄じゃねえか」
なんと隙間から見えていたのは地獄だった。
「かなりやばい」
急いでふさがないとまずい。
その隙間から何かこちらを見ている。
「だれだ」
「わたしのことみえるの?」
小さい人形のような鬼が現れた。
「やべー鬼かよ、出てくんな」
「ひぃ」
鬼はあわてて地獄に戻っていったのだった。その後俺はなんとか穴をふさぐことに成功した。
「封印の術をじじいに教わってて良かったぜ」
力は遺伝で親も使える。ただこの力のせいて余計なトラブルにもあう。そのため自分の力を封印しておくことを覚えさせられた。強力な力ならなんでも封印できる。
原因は不明だが地獄とつながるための強力な力を封印してしまえばつながりは消える。
そんなわけで問題も片づいたし、明日からはここで俺は花嫁と暮らすのだ。
結婚式は3ヶ月後。俺は予定どおり掃除を始めた。
◆
そしていろいろあって今日は結婚式の日だった。ほんとに今日まで大変だった。家にはあちこに地獄へ抜ける穴が開いていたし、花嫁は死神に死の宣告を受けるしで、俺はなんとか地獄に降りて呪いの原因だった死神を倒すことができた。
「結婚おめでとう」
俺のピンチに駆けつけてくれた友達が外で待っていて、それだけ言うとバイクで去っていった。
「ああ、ありがとう」
「どうしたの?」
「いやなんでもないよ」
みんなには見えていない俺の友達に一度立ち止まって手をふると、俺はまた俺の人生を歩き始めるのだった。
なんかもっとどうにかならないのかなー