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勇者の軌跡(1)


ブクマ&評価ありがとうございますm(__)m

今話から3話ほどレイリスト視点でお送りしたいと思います。

どうぞ宜しくお願いいたします。

 

 ~レイリスト視点~


 しばし時はさかのぼる。

 3年前、俺がこの王都から旅立ったその日から順を追って話をして行こう。しばらくの間お付き合い願いたい。


 俺が旅に出ようと決めるまでの経緯は省こうか……

 俺はクレアに宣言した後、すぐに最低限の荷物を持ち、最低限の荷物と冒険者として手に入れた資金だけ持って旅に出た。


 旅の最大の目的は強くなること。単純な戦闘力だけではなく、"発言力"を携えること……それが俺の目標だった。


 けれど俺が旅に出たのは12の時。いくら成人はしているとは言え子供だと思われることは多かった。……この顔だと特に。


 ただそれは旅に出る前からわかっていたことだ。そんな子供が家の力も借りず発言力を身につけるなんて至難の技だと。

 けれど発言力を身につける方法が全く無いというわけでは無かった。老若男女問わず、誰でもその発言力を得られる方法……そういうものが一つだけあった。


 ちなみに俺はそれを旅に出て一年後に取得することが出来た。本来はそこで帰るつもりだったのだが、帰らなかった……いや、帰れなかった。その理由についてはまた後で話そうと思う。


 その力は冒険者として死に物狂いで進んだ道の先にあった。その象徴が今俺が所持している、通称"ゴールドライセンス"と呼ばれるもの。通常とは違い金色の輝きを放つ冒険者カードだ。


 ゴールドライセンスについて話していきたいところだが、まずこの世界の冒険者ギルドの体制について話していこう。

 この世界の冒険者ギルドにくる依頼は難易度によって、まず上からS→A→B→C→D→Eランクに分けられる。

 魔物の討伐がはいってくるのはDランクからだけど、スライムとか簡単なもの。Cランクからゴブリンなど本格的な魔物の討伐になってくる。そのなかでもS,Aランクは相当強い魔物の討伐などが入ってくる。Sランクの依頼は出されることは然う然う無い。

 そしてこのランクが高くなっていくほど、報酬はもちろんのこと、ポイントが多くなる。


 まず、このポイントについて最初に知っておいてほしいのは、このポイントとは"その冒険者が、どれだけ多くの依頼を受け、どれだけ人を助けたか"を示す値となっている、ということだ。

 このポイントは消費されることはなく、減るとしたら罪を犯したときのみとなる。


 このポイントは世界中にあるすべての冒険者ギルドと連動していて、何処にいても同じだけのポイントが入る。チームで一つの依頼を行った場合は平等に山分けとなり、このポイントが一定量貯まればゴールドライセンスを取得することができるのだ。

 ゴールドライセンスを取得するために必要なポイントは……うん、" , "がたくさんの見たこともない数字だったとだけ言っておこう。本当なら一生かけても取ることの出来ないポイント数なのだ。取りたかったら意識して高ランク(S,A)の依頼を受け続けるのがいいだろう……いつか届く。

 ちなみにこのゴールドライセンスを持っている人はこの世界に俺を合わせて3人だけだ。



 言っておくが俺も最初からゴールドライセンスをとろうと思っていたわけではない。人が一生かけてもたどり着けないかも知れない域に一年でたどり着ける訳がないだろう。


 俺が最初に目指していたのはブロンズライセンスというものだ。ブロンズライセンスはゴールドライセンスの下にあるシルバーライセンスというものの下にある。

 ゴールドライセンスと比べてしまうと見劣りしてしまうが、ブロンズライセンスも十分にすごいものなのだ。……12歳の俺は取れると思って旅に出たわけだが、こちらも本来なら一年でそこに至れるはずの無い代物だと言うことをご理解願いたい。このブロンズライセンス所持者もレガリア王国にはたった5人しかいない。王宮魔導師よりも少ないのだから、どれだけすごいものなのかわかっていただけるだろうか。


 もちろん彼らは国にとって大きな役割を担う。やろうと思えば国王に直談判することも可能であることはもちろん、冒険者は魔導師に比べると平民が親しみやすい存在でありることから蔑ろしてしまうと国の沽券に関わる。

 

 まぁ……ということで、ブロンズライセンスを取得することを目指して俺は旅に出た。

 時間が無かった。安全な仕事なんて選んでいられない。危険だと、自分には早いのではと思いつつも高ランクの仕事ばかりをこなして行った。死にそうになったことは何度もあるが、死ななかったからよしとする。


 しかし高ランクの仕事ばかりをするとなると他にも問題が出てくる。高ランクの仕事は何処にでもある訳ではない。強い魔物が然う然う何度も出現するはずも無いだろう。なので俺は高ランクの仕事を探し求めていろんな領地、国の冒険者ギルドを渡り歩いた。

 山越え谷越え……砂漠も越えたし海も越えた。



 そして気づけば……俺はレガリア王国から遠く離れたオリエンス帝国という国まで来ていた。

 そこは地図で言えばレガリア王国から……いくつだろうか、たくさんの国を挟んだ場所にある。

 距離的にレガリア王国から一番遠い国と言ってもいいだろう。


 オリエンス帝国は大きな国だった。おそらく数年前までは多くの人で賑わい栄えていたのだろうということも読み取れた。

 しかし俺がそこについた頃には魔物よる被害を国中が受け、冒険者だけでなく国が抱えていた魔導師や国民も大量に亡くなってしまっていた。

 強い魔物が領地に侵入し神玉を壊されれば、それを直すことも出来ずひっそりと息を潜めて暮らし。数少ない安全地帯にはガリガリに痩せ細った人たちが助けを求めて集まっていた。


 話を聞いていくと、数年前から強い魔物がまるで湯水のごとく現れはじめたそうだった。

 顔を出した冒険者ギルドにはボードに張り切れないほどの依頼の数々。机に山積みにされ、誰の目に止まらなくなってしまった依頼もあった。


 そんな様子を見ては高ランクの依頼だけを選りすぐるのも気が引ける。低ランクの仕事をやってもポイントは少ないが、渋ることなく次々とやっていると、その道中の魔物の討伐等もあり、結果的に高ランクの仕事と変わらないだけのポイントが入っていたと思う。

 しかも高ランクの仕事の量も他の国とは比べ物にならず、その忙しさも相まって次第にポイントやら報酬やらのことなど考える暇の無く、死に物狂いで依頼を受けていた。



 ランクを問わず仕事を受け、討伐以外の仕事だけでも多い時には1日20種類ほど……という地獄のような生活を続けて約半年。

 気づけば俺はゴールドライセンスを取得できるだけのポイントを貯めていた。


 魔物を倒しまくったからか、少し落ち着きを取り戻した冒険者ギルドで、それを聞いたときは耳を疑った。

 いつの間にそんなに貯まったのか謎だが、しばらく見ていなかったポイントは、確かにゴールドライセンスの規定を越していた。


 そしてなぜか、俺がゴールドライセンスを取得してから数日後、周辺諸国からオリエンス帝国へやってくる冒険者が増えたのだ。

 どうやらゴールドライセンス保持者がこの国にいるということが広まり、仕事もたくさんあるということで、各地から集まってきたらしかった。そのお陰でオリエンス帝国は元通りとまではいかないものの、ある程度の平穏を手に入れることが出来たのだ。


 なので俺は思った。『帰ろう』と。

 もう目的の……いや、それ以上の称号ももらったわけだし、オリエンス帝国も最初はどうなることかと思ったけど最近は平和になったし……と。

 しかも旅を出てからいつの間にか一年たっていた。「一年くらいは戻るつもり無い」と言ったからもう少しこっちにいても嘘にはならないけど、きっとクレアは一年くらいで帰ってくると思っているだろうからそろそろ……と。


 そう思い、明日の朝一で帰ろうと数少ない荷物をまとめた。


 しかし翌朝、俺はその足を止めることとなる。神殿、正確には神殿に常駐する神官から世界を震撼させる知らせが通達されたのだ。



 そう。


 " 魔王復活の知らせ "が。



お読みいただきありがとうございます。次回の投稿は22日(火)を予定しております。よろしくお願いいたしますm(__)m

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