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彼の名は


ブクマ&評価ありがとうございます!

皆様がブクマをポチっと押してくださったお陰で本日ブクマが700件に到達いたしました。ありがとうございます!

これからもよろしくお願いいたしますm(__)m


 


 なんだろう……強い風が吹いている。髪が後ろへと持っていかれている気がする。やめてよ、髪がボサボサになる……

 しかし髪を手で押さえようにも半分夢の中のような感じで身体が思うように動かない。

 でも夢なのかもしれない。足がふわふわと中に浮いている気がする。いや、抱えられているような……一体誰にだろう。

 目を開けて確認したい、でも目が開かない。


 あれ、私さっきまで神様と話してたのにな……なにがあったんだろう。いつの間に寝たんだ? 魔力を全部使ってしまった時のような倦怠感もある。

 でもそういえば今日は軽い朝食だけ食べて、それからずっと本を読んだり魔法を使ってたからな……体力は結構増えたと思ってたけどやっぱり疲れてたのかな、仕事終わりだし……あぁ、でもこのまま寝たままになるわけにはいかない。よくわからないけど二人を召喚する方法ができたらしいし……あ、ちゃんと戻れる方法もあるよね?

 不安だな、すぐ確認しないと……そうは思ったものの、そこで私の意識は暗闇に呑まれた。








 ガシャーンッ



「……んんぅ?」



 差し込む光が私の顔を照らす。

 ……眩しい。うーん、でも目が開けられない。


 なんだ今の音……なんか割れたな……


 庭がガヤガヤと騒がしくなっている。耳だけそちらに傾けると、どうやら誰かが持ってきた荷物を運び込んでいるよう。ただ、誰か来訪者でも来たのか色々な指示が飛び交っている……気がする。

 なんだかわからないけど朝から大変だな……あー、布団最高。久しぶりにこんなふかふかのベッドで寝たわ。あともう少しだけ寝よう……そう思って私は寝返りをうった。


 しかし話し声が寝室のドアのすぐ近くから聞こえて来たので、渋々瞼を少し上げてそちらの方を見る。

 ……というか今さらだけど、ここ私の寝室じゃん。あれ? 私、いつの間に帰ってきたんだ? そういえば昨日神様と話したあと誰かに抱えられている夢を見たような気が……あれ? 


 起きがけの上手く回らない頭で仕事から帰ってきてからのことを振り返る。

 あ、というかなんか騒がしいなと思ったら今日私の誕生日か……! あー、それでプレゼントとかがたくさん……なるほどね。


 そんなことを考えている間にもドアの向こうは次第にうるさくなっていく。プレゼントが運び込まれている? いや、それもあるっぽいけどなんか頼み込んでいる声が……


 って、そんな周りの様子を気にかけてる場合じゃない! ましてやこんなにのんびり寝てる暇ないじゃん! なんでもう朝になってるの!? 神様はあぁ言ってたけど不安でいっぱいだよ! ステータスを一回確認して大丈夫そうだったら早く二人を呼びたい……!


 そう私が覚醒し、あわててステータスを開こうとしていると寝室のドアが開かれた。

 最初はメイドさんかな? と思った。というか普通そうだ。メイドさんでなければお母様、百歩譲ってもお父様か執事の誰か。

 でもドアが開き、倒れ混むように入ってきたのはその中の誰でもなかった……



 茶色い猫っ毛がふわりと揺れる。「うわっ!」と発せられた声は女性のそれよりは低く男性にしては少し高い。こちらを向いて驚いた表情を浮かべるその顔は女性と言われても納得するほど可愛らしい。

 彼の後ろから「ではよろしくお願いします!」という忙しそうな声が聞こえる。一体何が「よろしく」なのか。ただ、彼の手には櫛と新しい化粧道具一式……と、大きな袋。

 ……うーん。確かに彼はかわいい顔をしているけれど、さすがに化粧とかは出来ないと思う。しかし起こしてきてください、くらいのことは言われたのかもしれない。メイドさん忙しそうだったし。


 ……いや、だからってレディの部屋に入ってきていいのかと言われれば答えは"否"だが、向こうも驚いてるし申し訳なさそうだし何より私の家の使用人が頼み込んだのだろうから怒れない。

 ちなみに使用人には小言をあとで言っておこう。


 いや、それよりも彼には言わなければいけないことがたくさんあるのだ。まぁ、とりあえず朝の挨拶から。



「おはようございます? ……と、久しぶり、いや、ご無沙汰しております? あ、お帰りなさい?」



 あ、挨拶ばっかりになっちゃった。



「えっと……おはよう、久しぶり……と、ただいま……」


「……此度のご活躍遠く離れたこの地でも聞き及んでおります。お疲れ様でございました……勇者様?」


「うっ、お願いだからその名前で呼ばないで……」



 一つ一つの挨拶に律儀に返した彼。しかしどうやら"勇者"呼びは嫌らしい。顔をしかめて首をふっている。なんでそんなに嫌そうなんだ……勇者になりたくてもなれなかった人とか憧れてる人に怒れられそう。

 ちなみに私が"勇者"と呼んだ彼。2年ほど前に復活した魔王に挑み、数ヶ月前にその魔王を倒した正真正銘の勇者である。

 この世界を救った救世主。今やこの世界に生きていて彼の名前を知らない人はいないだろう。もちろん大変名誉なことなのだが、彼が嫌なら普通に呼んであげることにしよう。


 でも彼を"勇者様"と呼ぶ人の方が多いだろうなぁ。彼がレガリア王国(この国)の出身だって知れ渡ってるから"レガリア王国=勇者を輩出した国"って感じで、彼が勇者に選ばれてからの2年間、特に魔王を倒してからの数ヶ月。同盟国は増えるわ、貿易はサクサク進むわ、景気は良くなるわ……っていいことだらけだしなぁ。

 ……大変そう。……頑張って!



 ちょっと心のなかで彼を哀れみながら彼を観察してみる。

 相変わらずお母さん似の可愛い顔だけど私の知ってる顔よりも……さらに言えばゲームのそれよりも少し男らしい気がする。身体も平均的な男性よりは小柄だけど……きっと服の中はがっしりしてるんだろうなぁ。


 私はベッドから降りて彼に近づいた。彼が驚いて少し後ろに下がる……が、後ろは壁である。大丈夫大丈夫、一応淑女なのでそんないきなり「筋肉触らせて!」とかとは言いませんとも。触りたいけどね。うん。


 しかし……『うわ、背が高くなってる……!』近づいて思った。元々彼の方が少し高かったが、ほんの2,3センチほどの差だったのだ。それがなんということだろう。少しだけど見上げないといけなくなってしまった……! うわー、ちょっと悔しい……。

 あ、ちなみに私が背が低いとかそういうことじゃない。150cmをちょっと越した辺りから成長止まった気がするけど、小さいとかそういうことはない。断じてない。ヒール(10cm)履いてなかったら見下ろされることがほとんどだけど、断じて小さいとかそういうのではない。

 ゲームのクレアはそんなに背が小さいイメージ無かったし? 普段は10cm近く延びてますから……! そう、だから全然小さいとかそういうことはないです。はい。実質160cmですから。はい。あとね、身長は平均くらいで主張がないけど胸の方の主張は結構あるんだよ。だから「小さい」なんて言おうものなら恥ずかしげもなく対抗してやるからな。まぁ、ベルさん程の主張はないのが惜しいところなんだけど……

 ……あ、そうだベルさんと言えば! 実はベルさん先月結婚したんだよ。イグネイシスさんと! プロポーズはイグネイシスさんからだけど、告白はベルさんがしたんだとか。ベルさんやるぅ~! いやー、結婚式の時のベルさんきれいだったなぁ。イグネイシスさんも憎まれ口を叩きながらも幸せそうだったし。しかも今妊娠してるらしいし、いやー、いいですねぇ。羨ましいですねぇ。


 ……ってそうじゃない。なんの話ししてたかな、身長……の話しはもういいや。いや、でもやっぱり悔しいな……ちょっと背伸びしたら超せるかな? うーん……



「……なにやってるの?」


「うーん……」



 越せない……やっぱりヒールがいるのか……くぅっ!


 まぁ、いいや。ヒールもうちょっと高いの買おうかな……いや、でもあれ以上高くなっちゃうと動き憎いよなぁ、今でもギリだし……うーん。

 まぁ、その話しも置いといて。

 今さらだが、この目の前にいる彼、私がよく知る人物なのだ。



「よし、仕切り直そう! 久しぶりだね、レイ!」


「仕切り直す……? まぁ、いいや……久しぶり、クレア。えっと……こんなところに入ってきてごめんね」



 そう。彼の名はレイリスト・グラディウス。一年くらいで帰ってくるとばかりの思っていたのに、気づけば3年近く帰ってこなかった、私の幼なじみである。

 ……まぁ、寝室に入ってきたことに関しては、後程私の相談にのってくれたら許してあげるとしよう。




日本の15歳女子の平均身長は157cmらしいです。


あ、そういえばやっと国名出しました。"レガリア王国"です。お気づきかも知れませんが王族のファミリーネームそのままです。これから時々周辺諸国とかの国名とか出すかも知れないので、「あ、そういう国名なんだ~」と言う感じで軽く覚えておいてあげてくださいませm(__)m


次回の投稿は20日の予定です。レイリスト視点で旅に出てからのことを振り替えりたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします!

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