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一喜一憂


総合PV400,000突破いたしました!

いつも読んでくださりありがとうございますm(__)m

これからも頑張っていきたいと思います!

 


「まっぶし……」



 えー、魔法の創るときにこんなこと起こったっけ?

 いや、"リンク"を創ったときはこんなこと起こらなかった……はずだ。創る魔法によって違うとかそういうことなのかな?


 そう思いつつ、回りの明るさが大分落ち着いてきたので目をゆっくりと開く。



 …………。



「……え?」



 目を開けると世界は真っ白になっていた。上も下も360°真っ白な世界。


 私はこの世界に見覚えがあった。そう、神玉を触ったときに来た世界。なんでこんなところに?  魔法を創ろうと……



 " 久しいな、運命に抗いし者よ "



 そしてまたどこからともなく声が聞こえて来た。確か"運命を作りし神"とかって名乗った恥ずかしい奴の声だ。

 やはりここはあの時に訪れた場所らしい。でも今回は神玉を触ってもいなければ神殿にいたわけでもないんですが……って、それよりも!



「久しいな、じゃないよ!

 何?! 私今忙しいんですけど!」



 私はキレ気味でそう叫んだ。私が今どれだけ急いでいることか、神ならそれくらい悟れって話だ。



 " 今回そなたを呼んだ理由は二つ。一つはそなたが創ろうとした魔法についてだ "



 そんな私に対してその声は落ち着いた様子で話し続ける。少し気に触るが、どうやら私が何をしているのかは分かっていたらしい。

 ……いや、余計悪い! いやいや、待て待て。むしろ創ろうとしている今だからこそここに来たのかもしれない。魔法は"神様の力の一部"とも言われている世界だし、神様にしか理解し得ない相当大切なことが……


 焦りやらなんやらも加わり、それによって怒り沸き上がってくる。私はそれを少しでも落ちつかせるためにも色々なことを考えていた。



 " 結論から言うが、そなたが創ろうとしている魔法を創ることは出来ん "



 そう言われるまでは。



「……はぁ?」



 ついつい言葉が悪くなる。何を言っているんだこの神は……いや、言葉の意味は理解できている。ずいぶんとあっさりと、かつ簡潔に言われてしまったものだ。

 でもそんなことをいきなり言われて「あぁ、そうですか」何て言うと思ったか? そんなわけないだろう。


 いつから、何年前からお前が「出来ない」と簡単に言ったその魔法を創るために頑張って来たと思ってるんだ。

 確かに私だって急ぐ必要はないかもな、と思ったことはあった。でも『止めよう』と考えたことなんて一度も無い。

 これが"死刑を逃れるための希望"というだけだったら止めていただろう。辛い魔法の鍛練を乗り越えられず、とうの昔に諦めていたかもしれない。他の方法を考えよう……と。もちろん今ここでこんなに憤ったりしない。


 でも違う、違うのだ。

 確かに死刑を回避するためでもある。でも本当は……それ以上に……



 二人に会いたかった。



 ……そんなことで? と思うだろうか。

 死刑を回避するため、という理由以上にしょうもない。美羽が喜ぶ、という理由と同等かそれ以下。そんな理由だ。

 そう思われても仕方ない、でもこれだけは言わせて欲しい。


 死刑を回避したい……その思いだけでは乗り越えられないほど、魔法の鍛練は辛かった、と。


 来る日も来る日も本を読み、師匠からにボロボロにされ、苦しいのに走って……! 同じ年頃で友人と呼べるのはオリビエとレイと遠くに住むステルのみ! 友人少なすぎるんだよ、しかもみんな遠くにいるとか、忙しいとかで自由に会うことも出来やしない。レイに至っては一年くらいしたら帰ってくるかと思っていたのに未だ旅にでてるからね!?


 私は日本が懐かしい。友人関連で言えば、ゲームしたり、買い物したり……少なくとも今よりは友だちと遊ぶ時間があった。

 考えれば考えるほど浮かんでくるのだ。そういえば翔のノート借りたままだなーとか、美羽にもゲームと漫画を返さないとなーとか。クリスマスだったから帰ったら翔一家とクリスマスパーティーだったのになーとか、そういえば美羽に言った最後のことばは「またねー」だったなーとかっていうことも一緒に。


 二人を呼んで色んな話をしたい。まずはゲームの世界が存在したっていうことを言わないと……あと私が悪役令嬢で……魔法があって……あ、誘拐されたことも話しちゃおうかな、きっとびっくりするだろうな、なんて……


 それを心の支えにしていたからこそ……



「どうして……?」



 そう言わずにはいられない。



 " 魔法とはこの世界の誰もが使える可能性を持つもの…… そなたが創ろうとしたあれはこの世界の者には使いこなすことが出来ぬ "


 " 魔法はイメージが全て。そなたが創造するそれは転生者にしか理解できぬもの "



 どこから話しているのか、また別の声が入ってきたが、そんなことはどうでもいい。


 神々が指摘したのは、魔法の根本的なところと言えるもの。そんなこと魔法の書にほ書いていなかった。師匠からも聞いてはいない……だいたい"誰もが使える可能性"なんて言葉をばかり、才能の有無で魔法が使える人は極少数しかいないくせに。それに……



「じゃあ……!」



 どうしてもっと早く言ってくれなかったの? そう口にしようとした。でも、その言葉を無理やり飲み込む。きっと聞いてもどうにもならない、神も万能じゃないだろう、そんな魔法を創ろうとしていること自体、ついさっき知ったのかもしれない。


 次第に怒りよりも悲しさが増してくる。そっか、私はもう二人には会えないのか……でもそれが普通だもんね、成瀬さくらはもう死んでるんだ……


 そう目に見えてショックを受けていると神が私に声をかけた。「まあ、落ち着け」と。



 ……いや、落ち着くもなにも……もう落ち着いてますよ、この場に転がって寝れるくらいには。頭の中の私はすでに布団に入って丸まってますよ。


 しかしそんな頭の中の私も次の言葉に飛び起きることとなる。



 " 魔法には出来んと言うだけで、何も方法がないわけではない "


「え!?」


 " そなたが創ろうとした魔法のイメージとその代償はしかと受け取った。魔法とは別の形となるが自由に使うといいだろう "


「えっ、じゃあ……!」



 私は二人に会えるってこと……?


 その声が私の口から出ることはなかった。口は動いているけど音をなさない。そんな感じ。辺りが再び眩しくなり、現実へと返されるかららしい。


 え、まさかその事を伝えるだけにここに呼ばれたのだろうか。いや、最初に2つとかって言ってたからそんなことは……というか私、さっきから一方的に怒ったりショック受けたり喜んだりしちゃったからすごい申し訳ない……!


 すると神様がこんな帰り際にもう一つの案件を切り出した。「運命はすでに書き換えられた」と。



 …………。



 正直に言おう。忘れていた、と。そういえばそんなのもあったなー……なんて。

 でも覚えていたとしても記憶がまだ戻ってないから何もできなかったとも思う。とりあえず……


 ごめんねー、神様ー!


 心のなかで大声で謝っておいた。



 神様が小さくため息をついて、「全ては向こうの神が手違いを起こしたせいだ……」と呟くのが聞こえた。

 まぁ、確かにそれがなかったら一周目の記憶はちゃんと残ってたはずだよね。



今回の投稿は予定よりも遅くなってしまいました……申し訳ございません!

次回のお話は明日の夜に投稿させていただきますので、どうぞよろしくお願いしますm(__)m

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