それはどこかで起こった本当の出来事で
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汚いところ。床には砂もごみもたくさんある。こんなところに入るの初めてだ……
暖炉はないし、いろんなところから冷たい風が入ってくる。
周りを見回しても誰もいない。今までひとりになったことなんてほとんど無い。
それになぜか私は手と足を縛られて逃げることさえ出来ない。
お父様とお母様はどこ?
使用人のみんなは?
どうして私はこんなところにいるのだろう……
誰か助けて……
次第に涙が溢れ、声を抑えることもできなくなった。すると閉ざされていた扉が開いた。
「お父様?」
きっとお父様が助けにきてくれたのだ。だって私のお父様はすごいのだ。みんなお父様のことをすごいって言う。魔法の天才だっていう。だからきっと……
でも、
入って来たのはお父様ではなかった。深い髭が生えた知らないおじさん……
怖い……
今日はわたしの誕生日なのに……!
お父様っ……お母様っ……
わたし、わたし、ごあいさつがんばったよっ……
もうわがままなんて言わないからっ
いいこにしてるからっ
はやくむかえにきてよぅっ……
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それからのことはよく覚えていない。
でも声を上げれば殴られ、震えれば炎が私の方に飛んできたのは覚えている。
さっきまで寒かったのにもうそんなこと感じなかった。火が沢山飛んできたからだろうか……これがみんながすごいと言っていた魔法だろうか……
そうか……
こんな人を傷つけるようなものがすごいのか……
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