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任命式(2)


ブクマ&評価ありがとうございますm(__)m


 


 ご案内よろしくお願いいたします。とは言ったものの向かう場所は確認済み。



 任命式は王座の間で行われる。



 しかし、だ。そこに近づいて行くうちになにやら強い、禍々しい魔力を感じ出した。

 なんかこの感じどこかで感じたことがあるぞ。


 ……あれはいつだったか。


 ……あ! 師匠と初めてあったときだ、彼のときは何か威圧されているようにしか感じなかったけど、あれって魔力だったのか。


 ……って、そんなことはどうでもいい。なんで私は今こんなに威圧っていうか禍々しい魔力を感じてるんだ。


 え、この先って王座の間だよね。いつもこんな感じなの?



「どうかしましたか?」



 足を止めた、私を不思議に思ったのか、宰相さんも足を止めてそう聞いてくる。


 あれ、宰相さんはなんともないのかな。もう結構威圧が濃く……正確には魔力が濃くなってるんだけど……



「……あの、ハンス侯。なにやら凄い魔力を感じるんですが、これは何事でしょう」


「…………あぁ、なるほど。

 なんでも毎回任命式ではなにやら現役の皆様から洗礼があるそうです。

 私は……先ほどセヴェール様に結界系の魔法をかけていただいたのでなんともないですが」


「洗礼?」



 なるほど。要はこの膨大な魔力のなかを歩いてこいってことか。

 でも正直これ以上進みたく無いくらいには、凄い威圧感が奥から来ている。


 宰相さんが結界系の魔法でどうにかなってるんだから、私も何かしら結界を張って歩けば何事も無くすすめそうだけど。


 でもこれは……なんというか洗礼というより、試されてるみたいだ。


 結界魔法なんて上級まで覚えてたら、何個か余裕で使える。

 要はわざわざここで試す必要なんて無い。


 だからここは、この威圧を受けつつも臆さず進むのが大切とか。


 ……うーん。でもこれ、進みたくない。

 怖いもん、なんか。いやだなー、こんななか進むの、しかも王座の間についたところでこの威圧を解いてくれるとは限らない。

 もっともっと威圧が濃くなった場所で任命式を受けなきゃいけないかもしれないではないか。


 どうしようかなぁ、私も結界張ろっかなぁー。


 うーん。あー、でもこれぐらいの魔力だったら……



「……すみません、ハンス侯。お待たせしました、行きましょう」


「結界などは使わなくて大丈夫なんですか?」


「大丈夫です」



 たぶん。


 そして私は向かう方向に向けて大量の魔力を放出してみた。


 意識的にやったのは初めてだけど、魔力を放出することくらいなんてこと無い。

 魔力操作が一時的に上手くいかなくなったとき。例えば激しく怒ったりしたら魔力が漏れることとかあるらしいし。


 意識的にやろうとするとちょっと疲れるけど、魔法を使ったわけではないから魔力は無くならない。

 こんな風に使ったことなんてなかったけど、今みたいに周りの人を威圧出来るっていうのはこれからいつか使えるかもしれない。



 そして私はどんどん、どんどん魔力を増やす。

 次第に向こう側からの威圧を上書き、もしくは押し返しているように感じだした。


 一歩、また一歩と足を踏み出す。


 そして私達が王座の間についた頃、私を威圧していた魔力はすべて、私色に染まっていた。


 もういいだろう。と私はだし続けていた魔力を抑える。



「では、いつでも入って大丈夫ですよ」


「はい」



 王座の間の扉の前には誰もいなかった。そう多くの人に結界を張る気にならなかったのだろう。


 私は一歩前に出、私は自ら扉を開き、中へと入る。


 扉から真っ直ぐと伸びる真っ赤な絨毯。広い部屋。

 昔来たときと何も変わらない。


 赤い絨毯にそって視線を動かして行くと、数段上がったところに王座がある。

 初めてここに来たときは陛下がここにおられなかったけど、今日はさすがにそんなことなかった。


 あー、入ってからのこと何も考えてなかったなー……


 とりあえず私は何も考えていないことをごまかすためにも、深く頭を下げる。

 なにか挨拶をした方がいいかな……



『失礼いたします。フロワール家第一子、クレアと申します。

 本日はこのような時間を設けてくださったこと、心より感謝申し上げます』



 ……ん? あれ。

 あぁ、こういう挨拶を……すればいいのか。



「……失礼、いたします。フロワール家第一子、クレアと申します。

 ……お久しぶりでございます陛下。本日はこのような時間を設けてくださったこと、心より感謝申し上げます」


「良い良い。やっとそなたを正式に王宮魔導師として迎えることができる。

 セヴェールs……から相当優秀だと聞いていた。

 もっと前へ」


『久しいのクレア嬢、アルベルトから優秀だと前々から聞いていた。

 もっと前へ』



 現実の言葉と、どこかで聞いた言葉が重複する。



「……ありがとう、ございます」



 私は頭を上げて前へと進む。

 さっき一瞬前を見たときは絨毯しか見てなかったけど、絨毯を挟んで、計11人の人が立っていた。


 上座の方にお父様と師匠がいる。

 もしかしなくてもこの人たちが現役の王宮魔導師……


 私はその人たちにじっと見つめられながらも、階段の目の前辺りまで進む。


 こんなに見られていると緊張してしまう。いかにもって感じ。


 陛下のそばにはいつの間にか宰相さんが控えていた。

 陛下は宰相さんからなにやら魔力をわずかに感じる書類を受け取り、私の名を呼んだ。



「『クレア・フロワール、そなたが5つ以上の系統の上級魔法を習得済み、ということがステータスによって証明された。

 よって国は、クレア・フロワール そなたを正式に王宮魔術師の一員として認め、国に遵守することを命ずる。

 心して励め!』」



 再び重なる声。

 あぁ、これは記憶だ。一周目の。

 なるほど、一周目の私は特級も使えた訳だし、この任命式を受けてないはずがないよね。


 そんな今更なことに少し驚きつつ。



「は、はい!

 尽力させていただきます!」



 任命式は無事終了した。


 ……と、ちょっと息をつきかけたのだけど、そんなことなかった。



「では早速そなたに出向いて貰いたい場所がある」



「……へ?」





 ……いきなり?

 初仕事ってやつか、ここで言われるんだね……




「そなたにはヴァールハイト領へと向かって貰いたいと思っている。出立は一週間後だ」



 …………一週間後。


 おう、それはまた急なお話で。



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