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任命式


ブクマ&評価ありがとうございますm(__)m


 


『任命式』


 それは国がある者へある重要役目につくことを命令する式である。


 突然言われたけれど、どうやらその任命式というのを私は受けるらしい。

 まぁ、もともと内定みたいなのは師匠からもらっていたけど、そういうのがあるのは初めて知った。


 …………まぁ、仮にも王宮魔術師という組織は、この国精鋭の魔導師しかなれない組織な訳だから、そういうのもあるに決まっていると思うべきでしょう。


 なぜ私がこんなことも知らなかったかというと、理由は大きく分けて二つ。


 一、私が式典とかそういうのに全然興味なかったから。


 二、伝達不足。


 おそらく師匠は伝え忘れたか必要ないと思ったか。お父様は師匠に聞いてるだろうと思ったか。

 私は思う。私にもちゃんと伝えてほしい。いや、聞かなかった私も悪いけど、知らないものは聞きようがない訳で。

 大切だよ『ほう・れん・そう』報告・連絡・相談ね。


 まぁ、そんなことに今から言ったって後の祭り。

 師匠はあのまま帰ってしまったので、帰ってお父様に聞いてみた。


 この国の城で働いている人というのはとてもたくさんいるけれど、この『任命式』という名で陛下直々にその役目を言い渡されるのは王宮魔術師だけらしい。


 現在この国に王宮魔術師は師匠も含めて11人しかいない。

 私が12人目の王宮魔術師となるわけです。少ないよね。

 でも要はそれほど王宮魔導師になるための基準が高いということ。


 ちなみに今、王宮魔導師となっている人たちで特級を使えるのは師匠も合わせて4人だけ。お父様もつい10年くらい前までは特級は覚えていなかったらしい。


 まぁ、エターナルブリザードとか日常で使わないもんね。

 お父様は忙しいし、長い時間をかけて特級の魔法の書を読むよりは他の実用的な魔法を呼んで覚えた方がよかったのかも。


 別にその系統を極めたところである特典と言えば、その魔法を犠牲にして創造魔法が使えるって言うことくらいだし……


 あ、もしかしてお父様が今まで必要なかった特級魔法を覚えて魔法を極めようとした理由ってあれかな。

『赤ちゃんと話せる魔法』を作るため……?

 師匠にその魔法のこと相談したらどれかの魔法を極めろって言われたのかな。


 でも、お父様が氷魔法を犠牲にすることは無いだろう。私はすでに話せるようになっているわけだし。


 師匠も創造魔法の原理がわかってるんだったら、勿体ぶらずに教えてくれればよかったのに。

 そしたらどうでもいい魔法から覚え……いや、どうせ一番先に極めた魔法が特別になるだろうから、どうせ捨てられないかも。

 極めるのに、どれだけの才能と時間が必要だとおもっているんだ。

 ……難しい問題だ。



 ……色々気になる点はあるけど、まぁ、いいや。

 魔法の書を作ってるのは神様らしいし、そんなこと言ってもどうしようもない。



 話を戻そう。任命式、任命式の話だ。その任命式の日が近づいている。というかもう2日もない。


 でもお父様によると任命式と格式張った名前はあるものの、実際は顔見せ会みたいなものらしい。

 そのときの衣装やら何やらは城で準備してくれる。

 だから任命式までに準備しておくこととかものとかは何もない。

 とりあえず、身一つで城に向かえば良いとのこと。


 お父様の話を聞く限り、心配することは何もないと思うのだけど、任命式の話をしているときのお父様の顔が元気無さげだったのが気になる。

 これに関しては聞いても何も答えてくれなかったのだが、何かあるのだろうか?


 


 そしてやって来た、任命式当日。

 私はお父様と一緒に城に来た。そしてお父様と別れて、用意された部屋に行き、沢山のメイドさんたちにあれこれ準備された。


 ちょっと大人っぽい、背伸びした感じの清楚なドレスを着せられた私は、慣れない服にも雰囲気にもドッキドキ。


 そして準備が終わって少したった頃、扉がノックされ、入ってきたのは宰相さんだった。



「お、お久しぶりでございます。

 ハンス侯」


「お久しぶりです。

 久しく見ない間に随分と成長しましたね」


「皆様のお力添えのお陰でございます」



 私は結構城に入り浸っているけど宰相さんとお話しする、という機会はあまり無い。

 時々、仕事から抜け出して、ギルおじ様と手合わせしてる陛下を引っ張って帰ってるところは見るんだけど……



「あなたのお話をよくオリビエがしているようです。

 仲良くしてくださりありがたく思います。

 オリビエがあなたと遊ぶようになってからよく笑うようになったと家のものが話していました」


「い、いえ! オリビエ……さん、にはわたしの方こそいつもお世話になっていて!

 こちらこそ仲良くしてくだって本当に嬉しいのです!」


「そうですか、それは良かった。

 これからも仲良くしてやってくださいね」


「もちろんです!」



 オリビエは以前、お父様とはあまり会えないし、きちんと話したことも数えるほどしかないのだと言っていた。

 実際、宰相さんは忙しいだろうしなかなか家に帰ることも出来ないだろうけど、やっぱり父親。

 あまり帰れなくとも会えなくとも、宰相さんもやっぱり自分の子供のことが心配なのだなぁ、と、ちょっとほっこり。


 いつかオリビエ達が宰相さんとゆっくり話せるようになれるといいんだけど……



「さて、こんなところで長話をするわけにもいきません。

 任命式の準備が整ったという風に伺ったので呼びに来たのです」


「あ! そうだったのですか?」



 そんな、私一人を呼ぶために宰相さんが差し向けられるとは……



「もうあちらの準備は大丈夫なのですか?」


「はい」



 も、もしかして私の準備待ちとかだったりしたのだろうか。

 申し訳ない。



「で、ではご案内よろしくお願いいたします」



 そして私は、歩き出した宰相さんの後を追った。




この世界の魔導師について


魔法の才能があると言われる人の中でも、その多くは下・中級で限界を迎えます。

その魔導師が使える最高ランクの魔法を集計しても、その割合は、下級のみ80%、中級まで15%、上級まで5%、特級ほぼ0(魔導師一万人に1人ほど)


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