そんなことに使うのか
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リンクについての説明が一通り終わると、レイはなるほど。
と呟いて。さっさと次の質問へ。
「この神の言霊って言うのは?」
あぁ、それね。お答えしましょう。
この神の言霊の説明はこうなっている。
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神の言霊∇
神から譲渡された恩恵。
すべての魔法の詠唱破棄が可能。
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私が使う魔法が全部詠唱破棄できるのってお前があったからかー!!
いつもありがたく使わせてもらってるよ。めちゃくちゃ役にたってるよ神様!
もう私、貴方たちのこと神様って認めるよ。凄いね神様、ありがとう!
「あぁ……なるほど。
……ねえクレア、次は少しどうでもいい疑問なんだけどさ」
なんだい、なんだい。なんでも言っておくれ、答えるぞ。
「氷魔法の特級って、よく物語に出てくる" エターナルブリザード "とかだよね、一瞬で国一つを永久に凍らせるって言う、あの……そんな魔法どこで使ったの……?」
…………
あぁ、はい、そのエターナルブリザードという文字をステータス上で見たときにそこら辺のことも思い出しましたとも。
お答えしましょう。
庭です。
……はい、ちょっと回想入りまーす!
。゜。゜。゜。゜。゜。゜。゜。
そう、あれは……冬に積もった雪が少しづつ溶け始め、春の息吹が少しづつ感じられるような。
ある清々しい朝のことだった。
あぁ、もうすぐ春がくるのね。
春は好き。花は可愛いし、ぽかぽかとした陽気の元でするティータイムなんて格別だから!
だから春が来てほしくないわけではない。
でも……
私は公爵邸の庭の一角にそびえる大きな氷の彫刻をながめる。
この彫刻は数日前お父様と一緒に魔法の訓練の一貫として作ったものだ。
元々は大きな熊の彫刻だったそれは暖かくなってきた気温によって少しずつ溶けだしてしまっている。
こんなに可愛いのに溶けちゃうなんてもったいない……
せっかくお父様と一緒に作ったのに……
仕方のないことだとはわかっている。
でも溶けてほしくない……あと少しだけ……できるならずっとこのまま……
なにか方法はないだろうか、そう考えていたとき私は閃いた。
そしてバッと振り向いて、近くにいたメイドさんにある頼み事をした。
治癒師の方を呼んできてください、と。
閃いたのだ。
これからずっとこのお父様との合作を残しておく方法を。
ついこの前呼んだ本……それには"その魔法、国ひとつを優に飲み込みすべてのものを凍てつかせる。その氷はどれ程暖めようとも溶けることは無い"
というふうなとても恐ろしいことが書かれていたけれど、要は絶対溶けない氷を作ることができる魔法だ。発動範囲は魔力操作でなんとでも出来る。
よしっ、初めて使う魔法だから"リバウンド"が起こっても大丈夫なように治癒師の方も呼んだことだし、やってやろうじゃありませんか!
「お嬢様、なにか新しい魔法を使われるのですか?」
「ええ!"エターナルブリザード"でこの彫刻を永遠のものにしようと思って!」
。゜。゜。゜。゜。゜。゜。゜
私はそれを思い出して頭を抱える。
なんとしょうもないことに氷魔法特級を使ってるんだ私はー!
いや、でも大切だったのだ、残して起きたかったのだ。
仕方ないだろう!?
……なんか最近思うけど一周目の私ってお父様大好きなんだよな。
ファザコンなんだよな。
……この記憶は私の前々世のものだと知ってからと言うもの、少しづつその私と今の私が混ざって来ているような気がする。
極度のファザコンにならないように気を付けてなければ。
「……あぁ、そんなことに使ったんだね。
でもクレアっぽい……」
おい、クレアっぽいってなに。私まだ一周目ほどファザコンでは無いんですけど。
「いや……っふふ、あはは。
平和だなって思って。
でもどうするの、このステータス。今日セヴェール様に全部見せることになってるんでしょう?」
そう、その通り、今日は私の成人式が終わってから初めて師匠に会う日。ステータスを師匠に見せることになっているのだ。
師匠の知らないところで、いつの間にか特級の魔法を使い、知らぬうちに創造主となっている弟子……
さすがに誤魔化し切れません。
どうしましょう。
「絶対騒ぐと思うんだよね。
凄いぐいぐい聞いてくると思うの」
「そりゃそうでしょ」
ですよねー。
「…………もう師匠には私が転生者何なんだってところから色々話した方がいいかなぁ」
「うーん……そうかもしれないね」
やっぱりそうだよねぇ。変に理由をつけても誤魔化し切れないし、何より私、嘘も誤魔化すのも下手らしいから。
このステータスを見せたら無理な気がする。
どれだけ頑張ってもいい言い訳が思い付かない。
「うん。……話す」
レイ以来だなぁ。誰かに話すの。
別に信じてもらえなくてもいい、でも嫌わないでほしい。
「クレア、大丈夫だよ。何かあったらこっちにくればいいし」
「……うん。ありがとう。
レイも訓練頑張ってね」
そう言って私は師匠のいるいつもの部屋へと向かった。




