ちょっと待って! (3)
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" 話を進めるぞ "
あ! ちょっと!
「待って! さっき私がこれからのことを知っているはずだ、って言ってたけどもしかしてそれって、ゲームのシナリオのこと!?」
わたしには予知能力なんて無い。
だからさっき神の声(笑)、が言っていたこれからのことを知る方法はそれしか思い付かない。
でも……
" その通りだ。
どんな形で知るのかはわからぬが、そなたはあちらの世界で何らかの形でこちら世界の未来を知る手筈になっていた"
あぁ、そうだよね。そうだろうなって思ったよ。でも……
「私これから起こることとかそんなに知らないんけど……」
"……ん?
どういうことだ? "
「いや、だからこれからのこととかあまり知らないんですって。
私そのゲームまだ全部終わってなくて……」
辺りが一瞬静まり返る。
そしてその沈黙を破ったのは向こう。
" ……おい、どう言うことだ "
" 知らぬわ、こちらが聞きたいくらいだ "
あ、なんか、喧嘩始めちゃった。
そんななか、私は恐る恐る声をあげる。
「あ、あのー……」
" なんだ "
「も、もしかしてなんですけど、この世界に連れ戻す人を間違えた……とかなのでは?
私にゲームを貸してくれた友達だったら、これから起こること全部知ってますけど……」
きっと、やっぱりどこかで手違いが起こっちゃったんだよ。
だって私が転生者とかおかしいもん。もっとこう……転生するべき人がいたんだよ。
" 連れ戻す者を間違えた……? "
自称神はそう呟き、一瞬考えた後、
"……いや、そなたで合っている。
あちらの世界に送り込んだのはそなたのみ、あちらの世界で死した時、こちらの世界に転生するということは魂に刻んだのだ、間違えるはずがない "
私の考えを否定した。
あ……そうなんだ。じゃあなんでこんなことが起こってるんだ?
"おい、こちらに転生したときにはすでに今後のことを知っているのではなかったのか "
" いったい何が起こっているのだ "
いやこっちのセリフだっての。
「まぁゲームに関してはもう少し時間があったらクリアしてたかも知れなですけどね」
"…………"
" まさか……
……そなたに一つ聞きたいのじゃが、あちらの世界ではいつ頃、なぜ死んだのじゃ "
「え? 高2……ですから17歳の冬ですね、死因はよくわからないですけど頭部強打とかじゃないですか?
雪で滑ってこけたときの」
"……は? 17? 雪で滑ってこけた? "
「そうですよ?」
"…………" ザワザワザワザワ
……なんだなんだ、なんか向こうでざわつき始めたぞ。
" えーっとだな、何からはなそうか……
まずそなたのあちらで20前後で死ぬこととなっていた。その死因も我らは別のものを用意していた。……確か心臓発作だったか "
え?そうなの?
というかまじか、そうだったのか。
そりゃ20歳まで時間くれたら全部クリアしてたかも。
ってことは……ん?
"そなたがそんなに早く死んでしまったことはこちらでは予期していない事態だ。
あちらの神が何か手違いをしたのかも知れんな "
……へー、そうなんだ。
じゃあ、やっぱり手違いが起こってたんだね。
……ちょっと納得。
" はぁ、そなたがクレア・フロワールの姿でここに来た時点で気づくべきであった "
「え、どういうこと?」
" あちらで命を落とせば、すぐにこちらに帰って来て、ことの次第を説明するつもりだったのだ。そなたには先ほど話したが。
……だからここに来るときにはまだ成瀬さくらの姿であるはずなのだ "
あ、あぁ、なるほど。
" しかし、恩恵はしっかりを受け継いでいるようだから安心だ "
ん? 恩恵?
魔力の量とか、詠唱破棄のこと?
" そなたには必ず先ほど言ったことを実行してもらうため、一周目の頑張りを受け継がせ、我々から恩恵を一つ与えている。詳細はステータスを見ればわかるだろう "
え、恩恵って一つだけだったの?
凄いたくさんある気がするけど……
あ、文字とかは一周目で覚えたことだから、受け継がれてるってことか。なるほど。
凄い助かった。
「ありがとうございます」
" 良い、では必ずや、よろしく頼むぞ "
わかりました……あ。
「あの、あちらの世界で知ったことは本当にこちらの世界で起こったことでいいんですか?」
" そうだろう "
「それと、あの……さっき神殿にある石をさわったときに、誰かの記憶のようなものを見て……
それがなにかわかりますか?」
" ……そなたもしや、一周目の記憶が無いのか "
一周目の記憶……?
「無いですね」
過去を振り返っても思い出すのは成瀬さくらの……あれ、さっき見た夢が印象的だったからかな。凄い鮮明に夢でみた映像が……
" なるほど、その石をさわったときに見たのはおそらく、そなたの一周目の記憶だ "
「え……?」
" 本来ならば、あちらの世界で命を落としたあと、ここで思い出す予定のものだった。
しかしそなたはそれが無かったため……"
あ、なるほど
" おそらく神玉……あの石は我らの力がこもっている、そのため石を触ったときに思い出すことになったのだろう
しかしそなたはこちらの世界に帰って来てからずいぶんと長い時間が経つ。おそらくすべては思い出せないだろう "
「え……」
"おそらくなにかきっかけがあれば思い出すことになるはずだ。
なるべく早く思い出し、運命が書き換えられるのを阻止してくれ "
すると、辺りが眩しくひかり、今度は気がつくと神殿にいた。
なんだかいろんな事を聞きすぎて頭がパンクしそう。
「次の者、前へ!」
すると神官さんのそんな声が聞こえてきて、ハッと我に帰る。
「クレア!」
レイが私に近寄ってくる。どうやらそんなに、いや全く時間はたっていない様子。
「大丈夫? 何かわかった?」
「……うん」
わかった。予想以上の収穫があった。
「レイ……少し聞いてもらってもいい?」
ちょっと自分一人では……処理できないほどの情報が私に流れ込んで来ている。
ここに来る前までは曖昧だった夢の内容も。
今ならすらすらと出てきている。
でも思い出せば思い出すほど、不可解な点がある。
いくら考えても、記憶のなかの私が、ゲームのクレアのようにヒロインをいじめたり、魔法を向けたりするようには思えないのだ。




