脳内カメラ大活躍!
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そんなこんなで私の初めてのお茶会は終了した。
結果私はスプリットに会うことはなく、オリエット殿下とは会ったけど特に問題は起こらなかった。
嬉しいことはそれだけでなく、オリビエという可愛いお友達も出来た。
そのことをお父様とお母様に伝えると、それはそれは喜んでくれて、今度オリビエが来たときは激しいお出迎えになってしまうのではないかとちょっと不安になった。
……まぁ、大丈夫だろう。
そしてやって来たオリビエが遊びに来る日。前日からそわそわして仕方ない。
しかしそれは私だけでは無い。
客室はいつも以上に綺麗に掃除され、窓ひとつにしてもピッカピカ。
あと今日はシェフさんが腕によりをかけてケーキを作ると言っていた。
楽しみ! ……なんだけどやり過ぎ感は否めない。
そしてオリビエが到着すると使用人もほぼ総出でお出迎え。
怖いわ。
さすがにやり過ぎ、オリビエ固まってるではないか。
そんなオリビエに、私に今まで友達と呼べる人がレイしかいなかったものだからみんな自分のことのように喜んでくれているのだ、と伝えるとオリビエも嬉しそうに笑ってくれた。
そして、
「私は今までお茶会には沢山参加してきましてので、顔見知りのご令嬢方は多いのですが……実は個人的にお家に呼んでくださったのはクレア様が初めてなのです」
だから私も嬉しい……と。
こんなに可愛いオリビエをほったらかしにするなんて他のご令嬢の皆さんの目は節穴なのかもしれない。
そして問題のスプリットもどうやらいない様子。……やっぱりいらない心配か。というかレイ今日来てないけど、もしかして忘れてる? 自分から言い出したのに?
全く、口ほどにもないね。
「紅茶とお菓子用意してもらってるんだ!
一緒にたべよう?」
「是非いただきたいです。あ、これ今町で美味しいっていう噂のお店のクッキーで……いかがでしょうか?」
「わー! ありがとう、嬉しい!
早く食べよ!」
そして私はオリビエの手を引いて客室に入った。
中では既にお菓子が用意されていて、紅茶などの準備も万端。
そして、そして。
「ねぇ、オリビエ。絵持ってきてくれた?」
「はい、持ってきました!
結構昔に書いたものも多いので恥ずかしいのですが……」
恥ずかしがるオリビエ可愛い!
私も絵に……書けないけど、脳内カメラを連写しちゃうぞ!
今日はお茶会の時と違って、たっぷり時間がある。
それから私はオリビエに好きなものを聞いたり、絵について聞いたり……と、とても楽しかった。
絵は昔に書いたものもあるから恥ずかしいと言っていたけど、そんな恥ずかしがるようなものはひとつもなかった。
ちょっとだけ絵の書き方も教わったけど……うん。絵って奥が深いわぁ、そんな数時間で習得出来るような物じゃない。
そうしてたっぷりあると思っていた時間はすぐに過ぎていった。
気づけばそろそろオリビエが帰らないといけない時間……
「クレア様、今日は楽しかったです。また来てもよろしいですか?」
「もちろんだよ! いつでも来て!
いきなり来ても大丈夫だよ!
月曜日と水曜日以外ならいつでもいるから……!」
「わかりました、お邪魔させていただきます。いつかハンス家にもお越し下さい」
「うん!」
ちょっとそれはスプリットがいない日がいいけど……!
「あ、オリビエ。毎週日曜日って予定ある?」
「え? いえ、ありませんよ。どうかされたんですか?」
「他の日にも来ていいんだけどね、大体レイが日曜日にうちに来るんだ。結構前から習慣化してるから日曜日には美味しいお菓子が沢山届くの!
……オリビエも来ない?」
これでいいよっていってもらえたら、"レイリスト&オリビエ仲良し大作戦"での大きな第一歩である。
「まぁ、そうなのですね。是非ともお邪魔したいです!
でもよろしいのですか?」
「全然いいよ! 来て来て!」
「ありがとうございます。あ、レイリスト様がおられるようでしたらお兄様も連れてきましょうか?」
「え……あ! いい、いい、いい! 連れてこなくても!
あ、いやその、あれだ! レイが私の家にくると結構動き回るからどうせスプリット様が一人になっちゃうから!」
なんということ、レイリストのせいでスプリットが来てしまうところだった、危ない危ない。もちろん断固拒否、全力拒否だ。
いや、レイがいるときに来てくれたらいいけどいないときにこられたら、どうしたらいいか本当にわからないから。
「わ、わかりました。……今週からもうお邪魔しても大丈夫なんですか?」
「もちろん! 是非、是非!」
「ありがとうございます。
楽しみにしています! それではまた」
……と言ってオリビエは迎えの馬車に乗ってしまった。
そしてオリビエが乗った馬車が、ガタガタとどんどん遠ざかっていく。
……あぁ、帰っちゃった。
「クレア楽しかった? スプリット来なくてよかったね」
哀愁に浸っていると後ろからよく知った声が聞こえてきたので、ビクッと肩を震わして勢いよく振り返る。
後ろにいたのは予想通りの人物。いつからいたの? というかスプリットがいなかったら帰るんじゃなかったの? ……と、まぁ聞きたいことは色々あるが。何よりも。
「れ、レイ……な、ななななな、なに着てるの!?」
「……ん? あぁ、執事服。
この前来た時に執事さんに聞いてみたらこれがあったから今日は朝から手伝いしながら潜伏させてもらってたんだ。
スプリットが来てないみたいだったから帰ろうかとも思ってたんだけど頼まれた仕事が終わるまでやらせてもらってたらこんな時間に……ってどうしたの?」
「……いや、不意打ちの萌えに頭がついていってないだけだす」
「……もえ?」
そう、萌え、動揺しすぎてかんだやないか。
でもこれは素晴らしい。レイの執事姿とか……ありがとう、神様。永久保存します。
にしても使用人さんたちの手伝いとは……全然気づかなかった。
スプリットが来てたらすぐに突入出来るようにスタンバってたんだね。口ほどにも無いって思ってごめん。
でもこれだけ言わせて。私も令嬢っぽくないけど、レイも大概子息っぽくないよね。
さっきオリビエに言った、レイがうちに来たら結構動き回るってやつ、あながち間違いじゃ無いからね。本当に。




