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もうすぐお茶会


ブクマ&評価ありがとうございますm(__)m


 



 どうやら本当にお茶会を主催することになったらしい。

 お茶会は一か月後、公爵家庭園にて14時半から17時まで行われる。

 たった2時間半、されど2時間半……

 しかも小規模なお茶会といっても来訪者は50人以上は来るらしい……どこが小規模なのかと。

 ちなみに平日なのでお父様は生憎のお仕事。凄い心配された。



 そしてその話を聞いてからさらに2週間ほどたった頃、作られた来訪者名簿にはきっちりとスプリットと殿下の名前があった。



 私はレイと緊急会議を行った。



 そして私たちが考えた対応策……"なるべく近寄らない"

 もうこれ以外に方法はない、やりたくないとか、会いたくないとか言えないし。



 でも殿下についてはお父様も思うところがあるようで、何かあったらすぐに言え、と言ってくれた。



 そしてやって来たお茶会当日。



「どうしようレイ、緊張で吐きそう」


「……まぁ、そんなに気負わなくても大丈夫だよ。

 お茶会中は俺と一緒にいても良いし、令嬢方も来るんだから」


「そうなんだけど……」



 いくら近寄らないと言っても殿下は私に謝りたいらしいし……あれ本気なのか。

 というか謝るんだったらこんなところで謝るより城の方が良くない?

 私結構頻繁に城居ますけど。わざわざ公爵家のお茶会で謝る必要無いよね、誠意なの。なんなの。


 何はともあれ、今日という日が来てしまったものは仕方ない。

 徹底的に避けて避けて避けまくってやる!



「まぁまぁ、クレア。せっかく可愛く着飾ってるのにそんな緊張してたら楽しめないよ?」


「むむぅ……」 



 レイが苦笑いを浮かべているのが目に映る。

 確かに今日の私は可愛い、自分で言うのもなんだけど。

 何せ5年ぶりの公の場、小規模なお茶会なのにそんなに張り切る必要があるだろうか……というくらいメイドさんたちがあれこれしてくれた。


 ……久しぶりに着飾られたけど、相変わらずドレスって重いな。



「やっぱり早く来て正解だった。こんなに可愛いかったら皆が放っとくわけないもん。

 でも今だったら俺が独り占め出来る」


「え?」


「あれ、聞こえなかった?


 ……似合ってるよクレア、可愛い」



 そうさらっと誉めてくる。



「なっ……」



 自分でも分かる。今私の顔は真っ赤になっていることだろう。



「そ、そんなにおだてたってなにも出て来ないんだから!」


「いいよ別に、いてくれるだけで」



 開いた口が塞がらない。

 もう、ほんとにやめてほしい。私の心臓が持ちそうにない。

 そんな、可愛いなんてそんな。

 いや、悪役令嬢なんだからある程度の顔だとは思っているけど、そんな面と向かって、しかも同じ年頃の男子に可愛いなんて言われ慣れてないんだから。


 そんな時、外から馬車が止まる音が聞こえて来た。

 え、もう誰か来たの? 早くこの顔の熱を冷まさなければ。


 私は軽く首を降ってから時計を見ると、もうすぐ13時半というところ。


 ……さすがにちょっと来るの早くない?



「あれ、もう来た人がいるのかな?」


「ちょっと早いよね」



 私はレイと顔を見合わせる。

『まさか』と。


 玄関の方が騒がしくなっていく。

 そしてしばらくすると私たちがいる部屋にお母様が入ってきて。



「クー、殿下が来られたわよ。ちょっと二人で話したいそうだから少しこっちに……レイ君はここで待っていてもらってもいいかしら?」


「わかりました。

 ……だって、クレア。さすがについていけないから応援だけしとくよ、頑張ってね」



 先ほどの馬車はやはり殿下のものだったらしい。

 そしてレイには笑顔で送り出されてしまった。

 ……あぁ、逃げたい。


 

 そして私は殿下に待っていただいている客室へと足早にむかった。


 ちなみにさっきまで居たのは今年お父様が私のために作ってくれた私の自室である。

 続き部屋のような形で寝室があるのだけどそっちを使ったことはあまりない、しばらくはまだお父様たちと一緒に寝るかな。


 ……と、まぁ。私の部屋の間取りとかは置いといて。


 殿下が私と二人きりで話したいと仰っしゃられたので一人客室に入ることになった私はノックをして部屋に入った。



「失礼します。

 お待たせいたしました」


「いや……」


「…………」


「…………」



 うぅ、気まずい。

 もう、この間が嫌。なに話したら良いのか、話しても良いのかわからないのが嫌。



「……えっと。わざわざこのようなところまでお越しくださり、ありがとうございます」


「そんなに固くならなくていい。顔をあげてくれ」



 そういわれたからそっと顔をあげたものの、私の顔はちゃんと笑えているだろうか。



「……今日は、貴殿に謝りたいことがあってここに来させて貰った。……もう5年ほど前のことになってしまうんだが、私は貴殿に失礼なこと……というか迷惑をかけてしまったんた。覚えて……いるか?」



 ……さて、どう答えたものか。覚えている、覚えているがだ。

 レイ曰く『クレアその時3歳だよね、普通そんな些細なこと覚えてないと思う』

 ……些細なことって言われた。レイはあんな些細な約束のことを覚えてたじゃないか。

 でも心外だけど確かに些細なことかもしれない。私の暴言問題以外は。というかこれ、今謝るべきなの殿下もだけど私もだと思うんだよ。でも私の暴言問題を掘り返して不敬罪で処刑なんかになったら目も当てられない。


 そう、だから



「えっと、なにか……ありましたでしょうか」



 私はとぼけることにした。



「そうか……やはり覚えていないか」


「すみません……」


「謝らなくてもいい。子供の頃の話だ」



 いや、本当は覚えてるんです。あと暴言吐いてごめんなさい。


 私が色々なことに申し訳なく思っていると目と前の殿下が頭を下げた。



「すまなかった。謝るのが遅くなってしまったが……どうかこの謝罪を受け取ってもらえないだろうか」


「あ、頭をあげてください!

 受けとりますし、大丈夫ですから!」



 そんな誠心誠意謝られてしまうと困ってしまう。

 大体そんな大事にするほどのことでは無かったのだ、あの話をされた後すぐにお父様に相談すればよかった。すぐに嫌だと言えばよかった。それで済む話だったかもしれないのだから。



「ありがとう……後ひとつ、いいだろうか」


「な、なんですか?」


「貴殿にどうしても礼を言いたかったんだ」



 礼!?



「れ、礼ですか!?」


「ああ、その時に貴殿に言われた言葉が今でも心に残っていてな。良い教訓になっているんだ……だから。

 ありがとう」



 え、えぇ……ありがとうって……

 私なにもしてないけど、え、私のあの暴言に対して言ってるの?

 えぇ……



「……うん。ではこれで私のやりたかったことは終わった。今日はこれで帰らせて貰おう」


「え、お茶会には参加されないんですか?」


「王子の私がいると周りが混乱するからな……

 一応名簿に名前は書かれていると思うが、元々お茶会にまで参加するつもりはなかった。貴殿と……少し公爵夫人とも話してみたかっただけなんだ。叔父上には許可をもらっている」


「そうだったんですね……」



 あれ、第一王子って周りの混乱とか気にするタイプだったっけ?

 ゲームでもヒロインに会うために小さなパーティーに乱入したりしてたはず……

 やっぱりゲームとは違うところもあるのかな。


 まぁ、そんなこんなで特に問題が起こることもなく、殿下は城に帰っていった。


 ……なんだか拍子抜けしてしまった。





※その頃のレイリスト (クレアと殿下が話し始めたくらい)


レイ「俺、普通にここ(クレアの自室)に一人残されたけど、これは信頼してもらっていると喜ぶべきか、それとももっと危機感を持ってくださいと公爵婦人にもクレアにも言うべきか...」



一人悩んでいた。



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