いったい何があったのか
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……レイ様に話したら本当にすっきりしてしまった。というかほんとにレイ様は3歳児なのだろうか。大きな目で見て4歳児だとしてもしっかりしすぎだろう。
……私と同じ転生者だったりして。
まさかね。
というか私と同じ転生者だったらさすがに鬼ごっこくらい知ってる……はず……
そして戻ってきたレイ様に、どうしてここにいるのか聞くと、遊びに来たら『クレアが寝室に籠っているからつれてきてほしい』と頼まれたからなんだとか。
……あれ、私寝ていることになっていたはずなんですが。
しかもなぜレイ様がそんなことを頼まれたのか謎だが、結果オーライ……かな。
レイ様が持ってきてくれた暖かいタオルと冷たいタオルを交互に目にあてていると、次第に泣いたことによって腫れた目が少し落ち着いてきた。
「もう少し休んだら部屋を出ます」
そう私がと伝えると、レイ様は安心した様子で、
「そっか、じゃあとりあえず今日は帰るね」
と言って部屋を出ていった。
そして少し時間をおいて外に出るとお母様をはじめとした色んな人に心配されてしまった。
今日は色んな人に迷惑をかけたなぁ……今度改めてお礼を言おう。
そしてその夜。
帰って来たお父様に私と王子の婚約の話だけすると。お父様は物凄い形相となり、陛下に掛け合ってくる、と言ってすぐに城に向かったようだった。
本当に急いで城に向かい、短時間で話を終わらせてきたのか、お父様が公爵家を出て、帰ってくるまでに一時間もかからなかった。
帰って来たお父様に、もう心配することはない、と言われたのだがいったい何をしたのだろう……
しかしそれから、お父様の言葉通り心配するようなことは起こらなかった。もちろん婚約の話が持ち上がることもなかった。
なんなら魔法の訓練のために城に向かっても私が殿下に会うことすら無かった。あと陛下がお忍びで私のところまで来て土下座されたんだけどどうしよう。
お父様は本当にいったい何を話してきたのだろうか……
というかこの世界に土下座あったんですね。
そして殿下と会うこと無く月日は流れ……
私は8歳となった。
さて、これまでに色々あった。特に魔法の鍛練において……というか他には淑女教育くらいしかしてないし、公爵家と城を往復し続けた記憶しかない。
淑女教育は順調。あ、でもパーティーにはお父様の宣言通り出ることが無かったのでお披露目することもない。……うん、ちょっと悲しい。ちょっとだけね。
という事で色々あったと言っても話せるのは魔法の鍛練に関してのみだ。
あれから師匠は私を最強にするという言葉通り、それはそれはハードな師匠による鍛練が始まった。
とりあえず言われた通り、初級の魔法を一通りやっていくと、びっくり仰天。
実は私、全属性の才能があるということがわかったのだ。
しかしさすがに全部使えるとは師匠も思っていなかったらしく。少し予定を変更して器用貧乏にならないように、師匠と一緒にいるときは基本魔法と空間魔法を主として行い、家ではお父様の得意な氷魔法、お母様の得意な聖魔法の習得に励んで行こうということになった。
そう、そういえばお母様も魔法が使えるのだ。
しかも専門魔法。魔法関連でお父様と出会ったのかな? でも出会ったの成人の儀の前なんだよね? 気になって聞いてみたけどどちらも教えてくれなかった。
うーん。いつか絶対に聞き出してやる。
まぁ、そういうことで私は現在、魔導師の基礎と言われる基本魔法と、召喚魔法の時に使えるんじゃないかと考えて教えてもらえるように頼み込んだ空間魔法と、氷魔法と聖魔法を使うことができる。
他の魔法はこいつらが極められたらかな。
しかしまぁ、今まで大変だったのだ。魔法は実戦で使えなければ意味がないと、4歳くらいの時から師匠と模擬戦を毎回のように行ってボロボロになり、覚えた聖魔法で傷を治す……そしてまたボロボロになる。の繰り返し……一応私、公爵令嬢なんですけど。
本気で師匠が鬼に見えた。恐ろしい。
それ以外の時間は読書と体力づくり。
ちなみに体力づくりではレイ様と一緒に鬼ごっこしたり城を走り回ったり、騎士団の訓練に混ざったり……そしてなんとか現在のHPは千くらいになった。
すごく大変だった、全然延びないことに絶望しかけたけど、これで8歳児のとしては多い方らしい。普通は2千~千くらい。
大人になったら1万は普通らしいからしっかり運動してないと私置いていかれそう……
でもね、皆さんに聞いておいてほしい。
レイ様の身体能力が凄まじいということを。
私と行っていた鬼ごっこでは既にハンデがなければ相手にならず、レイ様は大人と同じ競歩。本気の鬼ごっこは騎士団の方々と空き時間にやっているというのだ。
っと、いきなりこんな話を始めてしまったがなぜレイ様が私の体力づくりの手伝いみたいなことをしているかと言うと、4歳くらいの時にさかのぼる。
師匠に私は体力作りはどのように行っているのかと聞かれたときのこと。
私は他に思い当たることが無かったので、騎士団長の息子であるレイ様と鬼ごっこという遊びをしているのだと答えた。
そしてその流れで、体力に差がありすぎて相手にならない。
という話をすると、師匠がレイ様のステータスを測ってやろうと言い出したのだ。
そして次の訓練の日に私はレイ様を城に連れてきた。
レイ様はいきなりつれてこられ、国宝とも言える師匠にあって固まってしまっていたのだが、それは置いといて。レイ様のステータスがこちら
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name:レイリスト・グラディウス
job:侯爵子息
HP:56,485
MP:9,779
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私は思った。あれ?HPもMPもおかしくない?
なにHP5万6千って、四捨五入したら6万じゃん、やばくない?
あとMPね、そりゃ私に比べたら少ないかも知れないよ?
でも幼少期のお父様がMP1万くらいだったんでしょ?それで魔力暴走をするかもしれないから訓練を早く始めたんだよね?
あれ…………レイ様……身体大丈夫!?
レイ様の数値を聞いたとき最初は戸惑ったものの、その事に気づいて慌て出した私を師匠の一言が止めた。
「やはりか……」
やはりとは。
それから私は師匠を問いただした。やはりとはどういうことだ、レイ様は大丈夫なのかと。
結果。
大丈夫だった。
もうほんとに心配した。気づいた瞬間心臓止まるかと思った。
なんでも師匠の話によると、ギルおじ様もレイ様のような感じだったらしい。詳しく知りたかったらギルバートに聞きに行けと言われてしまった。
いや、どんな原理でもいいけどレイ様が無事でよかった。
そしてその日、レイ様が師匠の弟子になりたいと申し出た。
しかし、師匠は断ってしまった……『お主は極めるべきは魔法ではない』……と。
私はレイ様の暗い顔を見たくなくて、レイ様と一緒に訓練したいと駄々をこねたのだが、師匠は一向に首を縦には降らなかった。
そして何週間かたち、レイ様が公爵家に来る回数が減ったのでどうしたのかと聞いてみたところ、騎士団と一緒に訓練をしていると言うではないか。
訓練を始めると言ってもまだ4際。何でそんないきなり……と思ったのだがレイ様には笑ってごまかされた。
そしてレイ様がお互いが8歳となった今。すでにレイ様は天才騎士と言われるようになっている。
レイ様本人からはあまりそういう話を聞かないのだが、すでに騎士団新人と渡り合えるくらいになっているのだとか。
すごい……
まぁ、そういう流れで、レイ様も訓練場によく行くようになったので、なんというか……流れで私の体力づくりを手伝ってくれているのだ。
さて、それでは、私の話に戻ろう。
私はこの5年で全属性の魔法があるからこそ使えるというのもわかったのだが、自分の苦手とするものもわかった。
火魔法だ。
理由はわからない。でも、他の魔法は一度書を呼んだだけでも覚えることが出来るのに、なぜか火魔法だけが無理なのだ。全然頭に入ってこない。中級の2,3個はスラスラ行けたんだけどなぁ……
だから師匠と一緒にいるときは基本魔法を重点的に練習しているのだが、火以外の基礎魔法はこの5年ですでに中級が半分以上終わっているのに火魔法で使える中級魔法は未だ10未満……
あ、でも詠唱破棄は他と変わらず出来るんだよね。なんでだ。




