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大切なこと


ブクマありがとうございます!

評価までしていただけて私は幸せです(///∇///)

皆様のお陰で昨日から異世界転生/転移の日間と週間に『どこかで手違いでもありましたか?』がランクインいたしました!

本当にありがとうございます!


 



「なんでも、お主をさらったのも魔導師なんだそうじゃ。その時騎士は手も足も……いや、その姿さえ捕らえることが出来んかったらしい。

 わしは騎士は魔導師より劣っておるなんて考えたことはない。じゃが騎士は魔導師に不意打ちを受けてしまうとなかなか勝てんのじゃ……それこそお主の時は一瞬のことじゃったしの」


「そうだったんですね……

 でもそれって不意打ちじゃなかったらそんなことにはならないってことですよね。なんかずるい……」


「何をいうか。れっきとした戦略じゃ、むしろ不意打ちでもせんとほとんどの魔導師は騎士に勝てん。

 魔導師と騎士が一対一で戦うとなると、結局は普通の戦いと変わらん、どっちが体力があるか、技術があるか、経験があるか、じゃ。

 その体力の時点で今の魔導師どもはポンコツじゃからな。逃げるが勝ちじゃ」



 ええー……魔導師かっこわる……

 そんなこと言われたら、さらに騎士が劣ってるとか思えないよ。



「なんじゃなんじゃ、納得しとらん顔じゃな」


「いや、だって。今の話聞いてたら魔導師の方が優れてるとか思えなくて……」


「ほっほっほ、そうよのう。

 ……しかしそれが世間の意見じゃ。確かに魔法は便利じゃ、それはわしも分かる。魔法があるからこそ出来ることは多いし、魔法が優遇されるのも仕方ないとは思う。


 ……しかしなクレア。

 ……わしはこれからお主に様々な魔法を教えていく。その中には便利なものが多いじゃろう。

 しかし自惚れるな、慢心するな。お主にこれから教えるのは強力な"力"じゃ、その使い道を間違えてはいかん。

 学んだ魔法は自分だけのものだと思うな、周りに目を向けろ、困っておる者はおらんか? 悲しんでおる者はおらんか? これからお主に教える魔法はそのものたちを救うことができる"力"なのだと認識するのじゃ、決して誰かを陥れたり、侮辱するものではない、わかったな」


 師匠の真剣な瞳がこちらを向く。

 そして私は師匠のその瞳を見てはっきり答えた。



「はい。わかりました」



 その言葉を胸に刻んで。





 そんな真剣なお話をしているといつの間にかお昼頃になっていた。師匠がおなかがすいたということで、午前中の講義は終わりとなった。


 午後からも魔法の講義をするから一時間後くらいにここに戻ってこいとのこと。



 いきなり真剣な話になってしまったから驚いてしまったけど、きっと師匠は最初からあれを私に伝えたかったのだろう。

 確かにこれは本からは学べない、師匠に弟子入りしてよかった。何よりも貴重なことを聞けた気がする。



 さて、余韻に浸るのもここまでだ。私もお腹が減ってしまった。

 だが……私はこれからどうしたらいいんだろう。師匠は私をおいてどこかに行ってしまったし……

 ほとんど初めての場所で置き去りにされるとは……しかたない、お父様を探そう。


 それから周りを行く人に父の居場所をきいて回った。

 しかしお父様の居場所を知る人が一向に見つからない。すぐに見つかると思ったのに……!

 た、大変だこりゃ……


 なかなか見つからないのであきらめて書庫に戻ろうとしていたとき。

「公爵様ならおそらく訓練場におられると思いますよ」

 と騎士さんが教えてくれた。



「訓練場……ですか?」


「はい、いつもこの時間は団長と一緒に訓練をなさっていますから」



 訓練場っていうとこの前私が花火を打ち上げたところ?

 そんなところでギルおじ様と訓練? なんで?


 え、でもどうしよう。あんな遠くまで私歩けない……というか着く前に休憩時間が終わりそう。

 そう思って顔面を蒼白にさせていると、騎士さんが案内を申し出てくれた。


 あ、ありがとうございます……!



 そしてさらに申し訳ないことに、私の足で向かっていると時間がとてもかかってしまうので騎士さんに抱えてもらうことに。

 ごめんなさいほんと。お仕事もあるでしょうに。


 そして向かったのはやはり以前私が花火を打ち上げた訓練場。

 他にも訓練場はあるのだが、現在あの訓練場をお父様とギルおじ様がずっと貸しきってるんだとか。


 いいのかそれ。


 それを騎士さんに聞くとなぜか苦笑が帰って来た。


 そして訓練場に近づいて来るとなぜだろう。怒鳴り声が聞こえる。

 しかもこの声……



「あ……」


「お父様?」


「ちょ、ちょっと待ってくださいお嬢様!少し、少しここでお待ち下さい!」



 ここまで私をつれてきてくれた騎士さんはなにかを思い出したように私をここに残して訓練場に走っていった。


 そして数分後。


 ボロボロになったお父様が私を迎えに来た。



「え、お父様!?」



 なぜそんなにボロボロなの、何があったの!?

 でもこっちに向かってくるお父様の嬉しそうな顔といったら……


 あ、うん。あきらめて書庫に戻らなくて良かった……




 ------




 その後私は今度はお父様に抱えられて訓練場に入り、ここまでつれてきてくれた騎士さんにお礼を言ってからギルおじ様のところに向かった。


 ちなみに騎士さんはすごく驚いている様子で私とお父様を交互に見ていた。

 礼儀のなっていない子供だと思われてしまっていたらどうしよう。私はお父様から降りてちゃんとお礼を言いたかったのだがおろしてくれないものは仕方ない……まったく、親バカも困ったものだ。


 そしてギルおじ様と合流すると、なぜかギルおじ様もボロボロ。


 いったい何が。



「えっと……何でお父様もギルおじ様もボロボロなんですか?」


「え?あ!いやー、なんでもないよ?」



 ギルおじ様は今気づいたかのようにボロボロになった服をはらいだした。

 いや、そのボロボロ加減は、手ではらったところで変わらないと思う。無理だと思う。



「ちょ、ちょっと着替えてくるね!待ってて!

 おい、アルベルトも行くぞ!そんなにボロボロで汗臭い時に女の子抱き上げてやるなよ、嫌われるぞ!」


「きらっ……!」


 ガーン



 まさにその効果音しっくりと来る顔でお父様は固まってしまった。



「お、お父様?大丈夫ですよ?」



 返事がない。ただの屍のようだ。

 ……じゃない!



「ほら行くぞ!アルベルト!

 ごめんねクレアちゃん下ろすよ。

 …………よしっ、ちょっと待っててね、すぐ戻ってくるから!」


 ガシッ、ズルズルズルズル……



 ……私がお父様にもう一度声をかけようとしていたら、その前にギルおじ様が手早く私をお父様にから下ろし、お父様をおそらく更衣室に引きずって行った。


 ……なんだろう。

 なんか手慣れている……えっと……さすが幼なじみですね(?)



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