叫びました
ブクマありがとうございます!
そして評価も!本当にありがとうございますm(__)m
さて、……いきなりだが。
私……実は第一王子のことあんまり好きじゃなかったんだよね。まぁ、ゲームでの知識だからこっちの現実世界に当てはまるのか知らないんだけどさ。
でも今思った、私やっぱり殿下好きじゃないわ。
……というのも性格もゲームの第一王子そっくりなんだよね。レイ様の時にも思ったけどゲームの性格はこの年からすでに形成されているらしい。
ここでゲームでの第一王子のキャラを紹介しておこう。
私もクリアこそ出来なかったものの、それは悪役令嬢クレアのせいであって王子の好感度はすぐに上がったのだ。
だからまぁ、そこそこのことは知っている……つもりだ。
まず誕生日とかの基礎情報から。
歳は私のひとつ上、1月1日生まれの山羊座。血液型はB。イメージカラーは金色。悪役令嬢クレアの婚約者。
性格は……
一言で言えば自己中。
なんなんだろうなぁ……俺様も混ざっているようなツンデレも混ざっているような気がするが、とりあえず自己中。決めつけ癖があるんだよねなんか。
ヒロインにも『お前のような下級貴族は~』とか高頻度で言っていたし……
まぁ、途中から先程も言ったように『私がどこにいようと私の勝手だろう』と言ってヒロインにことあるごとにかまいだすのだが……
うん……ゲームでうざいって思ってたやつが現実世界に登場してきたら余計に受け付けれないよね!
無理かも!
まぁ、とりあえず……
そして私はいつかぶりに"ミュート"を自分にかけ、
「ふざけんなーーー!人の話きけや、バカ王子ーーー!
私がお前なんかと結婚するわけないだろうがあほーーー!!
そんなんじゃヒロインにもふられるんだからなーー!!」
大きく息を吸って一息に叫び倒した。
うん。スッキリ。
周りの人がどうしたことかと見ているけど気にしない。状況は何も変わっていないけど気にしない。帰ったらお父様に相談してみよう。
取り敢えず私は"ミュート"を解いて、令嬢らしい笑みを浮かべ、近くにいた騎士さんにセヴェール様の居場所を聞いてみた。
案内人が来るはずですので少々お待ち下さい、と言われ、そのまま待つこと数分。
城の中から必死の形相で中からメイドさんが走ってきた。
「お待たせしてしまい申しわけございませんクレアお嬢様!
何卒お許しを!」
そしてすごい勢いで頭を下げられた。
何事。
「え、大丈夫ですよ?何かあったんですか?」
「いえ、こちらのミスでお嬢様の貴重なお時間を奪ってしまったのです。
どう……どうお詫びすればよいか……」
要は私を待たせてしまったことが焦っている原因らしい。
「なんだ、そんなことですか。大丈夫ですよ。この馬車の椅子もふわっふわですし」
そう、ふわっふわ。誰も見ていなかったら跳ねて遊びたいくらい。
今無理だけど。
「で、ですが……」
「大体、私が今日ここに来ることは昨日いきなり決まったことです。皆さんにも仕事があるのにいきなり別の仕事が入ってきたら慌てますよねー……
突然こちらに来るようになったのは私のミスでもあるんです。だから大丈夫ですよ!」
「そ、そんなこと」
「大丈夫ですから!さ、セヴェール様のところにいきましょう!
次からは余裕をもって来る日をお伝えしますね!」
なんとか謝り続けるメイドさんを落ち着かせセヴェール様のいるところまで案内してもらった。
というかちょっと待たされるくらい本当に大丈夫なのになぁ。いきなりだったし全然気にしないのに……というか案内人がいることも知らんかったし。
それでも怒る貴族の人とかいるのかなぁ、大変だなぁ。
そんなことを思いながら歩き、私は前セヴェール様がいた書庫に案内された。
そしてまたもや私は書庫の中にある扉の目の前に立っている。
しかし今回は待っていろと言われたわけではない。案内してくれたメイドさんがこの扉の目の前で『私はこれより先には入れませんのでここで失礼させていただきます』と言って立ち去ってしまったのだ。
やはりこの部屋は部外者以外立ち入り禁止みたいな感じなのか……
え、じゃあ私は入っていいってこと?入るよ?いいんだね?
私は意を決して扉を開き中に入った。しかし特に物珍しいこともなく、部屋のなかは先程のまでいた書庫と変わらず本棚がずらっと並び本が大量に置かれているだけだった。
……ちょっと残念。
しかし少し歩いて、この部屋には魔法の書しか置かれていないことに気づいた。
あの棚にもこの棚にも魔法の書ばっかり……
うわー……すごい。向こうの方までは見えないけどきっと全部魔法の書なんだろうな……魔法の書ってこんなにあるのか。
というかこんなに魔法の書があるんだったら召喚魔法とかもあるんじゃない!?
読み漁りたい……!
あ、そういえばセヴェール様はどこだろう?
ここに案内されたってことはここのどこかに居るんだろうけど……お父様が気まぐれな人だって言ってたからな。
もしかしていないなんてことないよね?
「遅かったの」
ビクゥゥッ!
すると突然後ろがら声がかけられ、驚いた私は体をびくつかせた。
「び、びっくりしたぁ……
せ、セヴェール様!」
後ろにいたのは探していたセヴェール様、しかも結構近くにいた。
なにするんですか!
「ほっほっほっ、いやぁ、脅かせがいがあるのぉ。もっと驚いてもいいんじゃぞ?」
嫌です。
「む、お主何か魔法を使ったか?」
「え……」
さっき"ミュート"を使ったけどなぜわかった。
「ほぉっほぉっほぉっ、そんなに驚くことはない。年の功じゃ年の功」
な、なるほど……
魔法を極めたらそんなことも出来るようになるのだろうか?
「うーむ。これは……"ミュート"か?なぜそんな魔法を……しかも使ってからそんなに時間がたってないじゃろう。何かあったのか?」
「え、いやー……その……」
ちょっと……叫びたい気分になりまして。何て言えない。
「まぁ良いわ、娘。お主名はクレアと言ったの」
「は、はい!」
「お主は今日からわしの弟子じゃ、子供じゃからといって手加減はせんからそのつもりでの」
「はい!わかりました。……師匠!」
「……む。師匠か、ほっほっほっ、良いのう。これからは師匠と呼ぶように」
「はい師匠!」
「ではクレア、わしについてこい」
そう言って歩き出したセヴェール様、もとい、師匠の背中を追った。




