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沈黙って怖い

pv10000突破!

ありがとうございます(///ω///)

 


 私が拉致されてから数日、私は治癒師さんによる様々な診断を終え日常に戻ろうとしていた。



 のだが、



 昼過ぎ、昼食を食べ終えお昼寝の前にママと一緒に読書をしていたとき、なにやら玄関が騒がしくなった。



「あら、何かあったのかしら、ちょっと見てくるからいいこにしててね」



 そういって私を膝からおろし立ち上がろうとするママ。

 別にここにいても本は読めるしいいんだけど……私も玄関が気になるなぁ……



「ママ、わたしもいく」


「あら、そお?じゃあ一緒に行きましょうか」



 私が拉致されてから両親の呼び方が変わった。

 目を覚ました時につい"ママ" "パパ"呼びをしてしまったものだから公の場所以外では"ママ" "パパ"と呼ばないと二人が悲しい顔をするのだ……

 そんな顔されたらねぇ、断れないではないですか。



 そして玄関に近づくとこんな時間には聞こえるはずのない声が聞こえた。



「あら?今日は何かあったかしら」



 ママにもその声は聞こえたようで、首をかしげている。ママも知らないのか。


 玄関につくと私の予想通りの人が立っていた。



「パパっ」



 声をかけるとパパはこちらを向いて柔らかい笑みを浮かべた。

 走りよろうと階段を下りていくとパパが一人ではないことがわかった。


 あれは……軍服?



「今日はどうしてもこいつがクレアを見たいと言ってな、連れてきたんだ。

 クレア、こっちのおじさんは俺の同僚でこの国の騎士団長だ、覚えておかなくてもいい」



 え?え?

 騎士団長さん?覚えなくてもいいの?



「え、待って覚えてほしい!

 というか、お前におじさんと呼ばれるとイラッとくるな……まあいいや、こんにちはクレアちゃん、ギルバートっていいます。

 まぁ血の繋がりはないけど……君のお父さんとはもっと強い絆で繋がってて……あー……」



 騎士団長さんはなぜか自己紹介の途中でなにか考え事をはじめてしまった

 そしてなにやらぶつぶつと言ったあと



「よし、俺のことは是非ギルおじさんと呼んでくれ!」


「え?!」



 ぎ、ギルおじさん!?

 さすがにフレンドリー過ぎないか、いや本人がそう言っているのだからそう呼ぶべき!?

 突然のことに驚いて私は固まってしまった。



「おいギルバート……クレアが困ってるだろう」



 な、ナイスパパ!



「む、うーん。さすがにおじさんはハードルが高いか……じゃあ仕方ない!ギルおじ様で妥協しよう!」


 あ、でもやっぱりおじは譲れないんだね、了解しました……



「よ、よろしくお願いします

 えっと……ギルおじ様」


「おぉ!本当にしっかりしてるんだな、こちらこそよろしく!

 でも、やっぱり美少女だねー!」



 握手しよーとニカッっと笑って握手を求めてくる騎士団長さんのなんとまぶしいこと、ちょっと発言はあれだけど。

 キリッとしたパパとはまた違ったイケメン、言うなれば爽やかイケメンだ。素晴らしい、目の保養。


 そんなことを考えていると騎士団長さんが差し出していた手がバシッと結構大きな音を立てて叩かれた。

 痛そう……



「うちの娘に気軽にさわるな変態」


「変態!?

 え、ちょそれはひでーわ!あんまりだわ!」


 叩いたのは我がパパ。余談だがこのパパは私が拉致されてからと言うもの、私を溺愛中なのだ。

 それはもううざくなるほど(口には出さない)。心配なのかなんなのか、自分とママの寝室を仕切っている壁をぶち壊し、ひとつの大きな寝室を作り、そこにキングサイズ×3くらいの大きさのベッドを職人に作らせ、ママとパパと私三人仲良く川の字で寝るようになったり、出掛けるときは私をぎゅっと抱き締めてほっぺにキスをして出掛けたりとまぁ、

 今までがそんな感じじゃなかったから戸惑いも激しい。


 うれしいよ?うれしいけどね?これ、これから毎日続くんかーと思ったらちょっとうざい訳だ。

 まぁうれしいんだけどね?


 まぁそんな余談はおいといて、



「大丈夫ですか?」



 とりあえず手の心配をしてみた。



「うお、優しい。

 かわいい上に心も綺麗とか天使か何かか」



 …………うん。騎士団長さんカッコいいんだけど、どことなく残念な感じが漂ってくる。



「大丈夫大丈夫、鍛えてるからな。

 あ、そういえばうちにもクレアちゃんと同い年の息子がいてな、今日ここに来るように言ってあるからもし到着したら一緒に遊んでやってな」



 そういうものなのか?


 …………あぁ、あと、息子さんがここに



 …………



 ……え、騎士団長さんの息子さん?

 そ、それってまさか……ゲームの……

 いや、公爵家とかと違って騎士団長とかは代替わりとかするだろうし、顔もそんなに似てないし、そんなまさか……



「グラディウス侯どうぞ御上がりくださいませ」


「あ、どうもどうもお気遣いなく

 にしてもリリアナさんと会うのもひさしぶりですねー」



 グ、グラディウス!

 ゲームのキャラクターと家名一緒だー!


 そんなことを思っていると外からガラガラと馬車の音が聞こえてきた。


 ま、まさかまさか……



「お、来たみたいですね!

 ちょっと呼んできます」



 そういって走っていった騎士団長さんの隣にはかわいい華奢な女性と……これまたかわいい男の子。


 まるでゲームの騎士団長子息をミニマム化したかのよう……





 うん。そうだね、あれは間違いなく。







 攻略対象ーーー!







 お、おちつけ私……!

 とりあえず落ち着くんだっ


 そう念じながらこちらに向かってくる美少年について思い出す。



 騎士団長の息子という設定でありながらその顔はとても可愛く美少女と言われてもうなずけるほど。

 しかしその性格は男前で、武術では彼を超えるものは同世代のなかではいないと言われる、ヒロインのピンチには誰よりも先に前に立ってくれるような人なのだ。 そのギャップにどれほどの女性が落とされているのか計り知れない……


 そう、それが騎士団長子息でありゲームの攻略対象の一人

 レイリスト・グラディウスである。



 私は突然の攻略対象の登場に戸惑っていた。


 しかし子供が狼狽えていようとも大人たちは気にしない。



 私はママに手を引かれるままリビングのソファーに座っていた。となりにはレイリスト。

 ……ちなみに大人たちは同じ部屋にあるテーブルでパパたちは二人ともほとんど言葉を発さず紅茶を飲み、ママたちは談話を楽しんでいた。きっとあれは長い……


 これは私たちはママたちの話が一段落つくまでここにいるべきなのだろうか、それとも動いていいのだろうか。


 

 もしかしたらママの話が終わるかも、と思い待ってみて十数分。

 ママたちのお話は終わりそうにない。


 耐えかねた使用人が私とレイリストをリビングから連れ出し、パパ達も仕事を理由にリビングを脱出した。


 いやー、ひさしぶりに会ったママ友ってすごい長い間話すよね……

 これどこの世界も一緒なんだね。



 さて、これから私はどうしたらよいのだろうか、

 パパ達は本当に仕事の話があるらしく父の書斎に行ってしまった。


 という事で私たちは現在庭に使用人と護衛こそいるがまぁ二人きり……



「…………」

「…………」







 沈黙……










 お互い(特に向こう)微動だにしないんだけど、どうしたらいいんだこれ。

 そして私は緊張のあまりとち狂った。





「れ、レイリスト様!

 お、鬼ごっこでもしましょうか!」




お読みいただきありがとうございます!

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