事件発生(9)
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皆さんありがとうございます。これからもがんばります!
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貴女がいる場所はそこじゃない。
私だって……別に貴女のことが嫌いな訳じゃないの……でも殿下は駄目、殿下はこれからこの国を治めなければいけないの。そんな人と貴女のような得体も知らないものが一緒にいていいはずがない……!
私は間違っていない、皆があの女のことをわかっていないだけ!
きっと後悔する。きっとあの女を王妃に迎えたことを悔やむ日がくる。
あぁ、こんな状況なのに笑いが込み上げてくる。
いけません殿下、あなたのその愛はきっと誰にも許されないでしょう。例え今、許されていようとも、いつか許されない日が来ます。愛だけでは乗り越えられないものなど山のようにあるのです。
それでも、それでも殿下がその女を愛すと言うのなら……私は……
その女を殺せなかったことを心の底から後悔します。
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「おい、こいつとーちゃんもかーちゃんもいないんだぜ」
「翔のひっつきむしだ、やーいやーい」
(しらない、どうしてわたしがそんなこといわれないといけないの?
私悪いことなんてしてないのに)
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「ほらあのこ」
「まぁ、そうなの……
子供を捨てるような人たちには見えなかったのにねぇ、かわいそうに……」
(かわいそう? どうして? 何がかわいそうなの?)
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「さくらちゃんおいで、さくらちゃんのお父さんとお母さんについてちょっと教えてあげる」
(そんなの知らなくていい、私のお母さんとお父さんはおじさんとおばさんだよ? それじゃだめなの?)
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…………
ふと気づくと私は公爵邸の自分のベッドで寝ていた。なんだかすごく懐かしい夢を見ていたような気がする。
あったかいなぁ……帰って来たんだ……
というか私を見つけたの味方の方だったんだね……
誰だかわからないけどありがとう。死ななくて良かったぁ……
あれ、パパさんとママさんはいないのかな。
そう思って起き上がると、
「あ……」
パパさんとママさんが私のベッドのとなりに椅子を置きベッドに顔を伏せて眠っていた。
「パパ……ママ……」
なぜかじわりと涙が溢れてきた。二人が目を覚ましてこちらを見たのがぼやけた視界に映り込む。
「……クレア!!」
「……クー!!」
私が目を覚ましたことに気づくと涙を流して抱き締めてくれる二人に、私の目からは栓が抜けたように涙が溢れだしてきた。
こんなに大きな声を出して泣いたことが過去にあっただろうか。前世も極力泣かないようにと努める子供だったように思う。
"迷惑をかけてはいけない" そう思っていたから。
だから……親がいなくていじめられたときも、喧嘩に負けたときも、怪我をしたときも。
……私は泣かなかった。
それなのに……これはなに?
私は一体なぜ泣いてるの?
嬉しくて?
二人の顔をみて安心した?
……ううん……
私は今、悲しくて、申し訳なくて泣いているのだ。
今まで気づかないふりをしていた感情が溢れだしてきてしまったせいで。
"罪悪感"
それは転生してからずっと、私の中にあった……
でも気づかないふりをしていた。転生してすぐに気づいたけど、考えたくなくて隠したのだ。
……私、成瀬さくらはクレア・フロワールとして転生した……
いまこの体は成瀬さくらの感情で動いている。ならば……クレア・フロワールは、その魂や感情は……どこに行ったのだろう。
私はこの二人の子供じゃない。成瀬さくらは捨てられた子供だ。
私は親の顔も知らない。子供を心配して涙を流す親なんていない。
今まで私は転生者で、この二人が私のことを"クー""クレア"と呼んでくれるとき、自分のことだと認識しつつ……それは私じゃない……
そんなことを……心のどこかで思っていた。でも嬉しかったのだ、初めて本当の子供として接してもらえたことが。
翔の家族も私に本当の子供のように接してくれた。
けれど結局は赤の他人、翔の両親がどんなに私のことを気遣ってくれても私はどこかで実の子供じゃないことを気にしていた……
私は、この世界に生まれて驚いた……
でも……同時に嬉しかった。
はじめて……本当の子供として愛してもらったから。
でも私は、心の中で少しだけ線引きをした。"パパさん""ママさん"と呼んで。
だって本当は違う…………私は、私は、本当はクレアじゃない……でもそのことを二人には言えない。
でも、でも……それでも……二人のことを……
私の親だと思ってもいいでしょうか?
ごめんなさい
クレア・フロワール
「……パパっ……ママっ」
あなたのお父さんととお母さんを盗って。
「……っ、ごめんなさい……!」
パパ、ママ……私はあなた達の子供じゃないけど。
私にとってのお父さんとお母さんは……
あなた達だけなんです。




