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始まりのホームルーム


投稿遅くなってしまって申し訳ございません。やっと書けました!

 


 始業のベルが鳴る。


 何度か大きく息をした私は扉に手をかけた。


 ザワザワとしていた教室は、私が扉をあけ、教壇に歩いていくにつれて静かになっていく。


 後方、窓側の席にピンクブロンドの珍しい髪色を見つけた私がそちらに向けて微笑むと、慌てたようにペコリとお辞儀をされた。


 そしてその隣の席だが、本来はレイリストが座っているはずなのだが、そこにはオリビエが座り、私に小さく手を振っていた。

 相変わらずオリビエはかわいい。というかなんか久しぶりな感じがする。最近会えてなかった気がする。美羽と翔の紹介も私がいないところでレイがやっちゃったらしいしさ……やっぱりしばらく会えてないんじゃん! うわーん、後でオリビエの部屋に突撃訪問or研究室に連れ込んで優雅にティータイムしてやるぅ……!



 あ、それで、レイは本来オリビエの席であるはずの窓側最前列の席に悠々と座っていた。

 オリビエもレイも頼りになるから私的には正直どっちでも安心なんだけど、ステルはオリビエの方が安心かも知れないね……

 レイが隣の席とかそれだけでも目立っちゃいそうだし。


 二人の席が交換されていることは、教室に来るまでにレイに聞いた。

 クラスメイトにも適当な理由を既に話しているらしくて、他の生徒が勝手に席替えしたりすることはないだろうということだ。

 名簿は暗記したけど、顔と名前がまだ一致してないからなぁ……正直助かる。


 あ、ちなみに先程の令嬢三人組は仲良く廊下側の席に固まっている。

 席順には特に規則性はなくランダムに決められるのだが、仲がいい友達と席が近いとは運がいい。

 というか"席順はランダムに決められる"とか完璧ゲームでステルとレイが隣の席になるための後付けにしか思えない。

 いや、ゲームとかじゃなく現実なんだけどさ……



 まぁ、いいや。取り敢えず最初は挨拶だよね。

 第一印象って肝心っていうからな……ここは令嬢らしくいっとくか。


 そして私はスゥッと息を吸い込んで煩くないほどの大きな声で、且つ公爵令嬢としての仮面を被り声を出した。



「皆さんおはようございます。このクラスの担任になったクレア・フロワールと申します。

 私があまり夜会などに参加していなかったせいで、初めましての方も多いかと存じます。

 これから皆さんとは授業を行うだけでなく、マナー講義など皆さんと一緒に生徒として授業を受けることとなります。同い年でもありますので"先生"などと呼ばず、呼びやすいように呼んでください。

 どうぞよろしくお願いします」



 そう言って軽く頭を下げると生徒側からチラホラと「よろしくお願いします」という声が聞こえる。


 うおー……視線が集まるぅっ……

 そう思いつつも微笑みを描いた仮面を外すことはなく言葉を続けた。



「では早速皆さんにも自己紹介をしていただきましょう。ではレイ……リスト様から順にお願いします」



 まぁ視線回避の言葉だけどね!


 なんかこの学院に通う上で注意しないといけないこととか色々言うことはあったんだけどさ……

 そんなの全部入学式とか入学前試験とかでも言ってたし、パンフレットとかにも書いてあったし……まぁいいでしょう! (良くはない)


 そんな言い訳を頭のなかで唱えている間にも順々に生徒が自分の名前に一言なにか言葉を添えて自己紹介をしていく。

 私は名簿の名前と顔を照らし合わせて頭に詰め込む。


 しかし……やはりこの自己紹介で、ステルは少々目立ってしまった。



「ス、ステル・ヴァールハイトと申します。よ、よろしくお願いします!」



 そう言って勢いよく頭を下げるステルを見て、生徒達がヒソヒソとなにか話しているのが聞こえる。

 今のステルの自己紹介に変なところなんてなかった。

 やはりこのクラスで制服を着た生徒がいるというのは珍しいのだろう。


 ……ステルが目立っちゃうってことがわかってたから自己紹介とかさせていきたくなかったんだけどな。

 でもしないわけにもいかないし……


 周りの反応を見て恥ずかしそうに座ったステルを見て、少し後悔していると、教室に綺麗な声が響いた。



「オリビエ・ハンスです。

 ここにいるほとんどの方とは夜会でお会いしたり、わたくしの描いた絵を買ってくださった際にお会いしたことがございますね。

 改めて、よろしくお願いします。

 同時に、この度初めてお会いした方方ともこの学生生活の中で仲良くなれたらとも思います」



 綺麗な、はっきりとした声だった。



「特に、ステル様。一目見たときから貴方と仲良くなりたいと思っていたんです。

 わたくしこの王都からあまり出たことがありませんの。

 是非ヴァールハイト領のお話しをお聞きしたいです。それにヴァールハイト領から王都に来るにはワイバーンの生息地を抜けなければいけないでしょう? 是非道中のお話もお聞きしたいわ。

 それとね、是非後で貴方の絵を描かせていただいてもいいかしら!?」


「……え? あ、は、はい! もちろんです!」



 そして続けられた言葉から、聡い人はわかっただろう。

 ステルをバカにするということはオリビエをバカにすることと同意ということを。


 なんか最後にちょっとオリビエの欲望が入ってなかった気がしないでもないが、結構あの言葉が重要だったりもしないこともない。


 オリビエの社交界での信頼は絶大である。もともとの家柄が良いからということもあるが、幼い頃からお茶会に出席しているため顔も広く、最近では画家としても引っ張りだこで、国外にファンがいるほどの有名人でもあるのだ。

 そんな人が「話を聞きたい」とか「仲良くなりたい」とか「絵を描かせて」とか言わせるステルに堂々と嫌がらせはできないだろう。





 まぁ、そんなこんなで、全員の自己紹介が終わった。

 もう、私は頭がパンクしそうだ。でもせめてこのクラスだけは名前と顔を覚えなければ……!

 くぅっ……こんなに大人数の顔と名前を覚えるだなんて前世以来だぜ!


 しかし今日はこれからやらなければいけないことがいっぱいなのだ。

 顔と名前が覚えられないからって一人唸ってばかりもいられない。



「……はい。では皆さんの自己紹介が終わったので、これから皆さんにやってもらいたいことがあります」



 例年通りならば、クラスの役員決めとかそういうことなのだが、今年は違う。

 その内容は生徒からしてみれば予想していない言葉だっただろう。



「これからみなさんには、実力テストを行ってもらいたいと思います!」



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