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先手必勝


ブクマ&評価ありがとうございますm(__)m


 


 私とレイの勤務形態は変わっている。

 というのも……どちらも教師であり、生徒なのだ。



 最初に私の話をしよう。

 もうわざわざ説明するまでもないと思うが、私は魔法の授業を受けなくていい。むしろ私は教える側。

 ただ、私が受け持つ授業は毎日あるわけではない。

 魔法の授業自体は数多くあるのだが、その教師は他に沢山いるので、私が受け持つのは週に一度、各学年のSクラスに向けてのみ行われる特別授業と言われるものだけだ。


 もちろん私の仕事は少ない。

 しかし誰がどんな気を効かせてくれたのか知らないが、そのスッカスカのスケジュールを埋めるようにダンスや歌、作法と言った、所謂貴族の嗜みを学ぶ授業は受けることになった。

 一応家庭教師には一通り合格点をもらっているのだが、そこら辺は関係ないらしい。……裏の目的として、家々の友好を広めるためというものがありそうだ。



 次にレイだが、まずレイも魔法を使えるため、この国の規則に則り、魔法の授業を受けないといけない。

 それなのになぜ教師にもなっているか、と言う話なのだが、詳しく説明する必要はない。

 簡単にいえば勇者だからだ。皆その力を伝授してほしいからだ。


 で、そんなレイも、週に一度ある特別授業というものを武術科に向けて行う。

 そうなるとレイも学生なのにいつそんな授業をするのか、という疑問が生じると思うが、問題はない。魔法科は空き時間が結構あるのだ。


 学院は基本、50分の授業が7回出来るように時間が割り振られているのだが、ここで良く考えてみてほしい。

 魔法科に通う人はほぼほぼ令嬢子息なのだ。



 私やレイがそれだと思うなかれ。自分で言うのもなんだが、私たちは貴族らしく育っていない。



 想像しにくいとは思うが、本来令嬢子息は、1日のほとんどを優雅に過ごす。

 とても重要なことを言ったぞ、優雅に過ごすのだ。

 そりゃ、将来家を継いだり良いところに嫁いだりしないといけないので最低限の教養は身につけている。

 しかし、気分が乗らなくなればすぐに止め、疲れればすぐに寝られる環境で育って来た彼ら……さて、1日の半分以上を静かに人の話を聞いていられますか、という話だ。



 正直に言おう、無理だ。



 ちなみに私も1日7時限とか嫌だ。


 ……ってそんなことは置いといて、ということで、魔法科の授業計画は結構空きが多い。もっと学びたい人は別に開かれる補講に参加するという形になるのだ。


 なのでレイは、授業を休んだりする事なく授業を行うことが出来る。それに武術科は今年出来た科で一年生しかいないし、クラスも1クラスだけないのでそんなに忙しくはならないんだとか。



 まぁ、そんなこんなで私たちは教師であり、生徒でもあるなんだかよく分からないものになってしまったわけだ。

 だが、お互いそんなに忙しくなるわけでもないのになぜ助手がついているかと言うと、学院長の優しさだとしか言いようが無い。


 ちなみに普通、学院の職域の皆様には助手なんてついていない。だが、私がふと『美羽がついててくれたらなぁ』なんて思い、思い付いた助手という案を学院長に頼んだら結構簡単にOKを貰えたのだ。


 優しい学院長は「初めてのことばかりで大変でしょうし、いいですよ」と柔らかな微笑みでそう言ってくれた。

 申し訳ねぇ……!


 しかし取り敢えず二人はこれで学院に入ることが出来る。魔法を使えない二人をなぜ、と思われてしまうけど、大切なのは信頼関係なのだ。というか私が魔法使えるから問題ナッシング!




 と、長々と経緯を話して来た訳だが、現在新任式真っ只中な訳である。寝ている人も多くいるが、起きている人は、職員席に座るには若すぎる私を不思議そうに見る。

 ちなみにレイは王都ではその顔を知らぬ人はいないので、どちらかと言うと尊敬の眼差しが多い。



 そして遂にマイクを通して壇上立つよう指示する声が響いた。




 ……あぁ、やだぁー。




 ◇◆◇◆◇




 そしてそんなこんなで式は終わり、帰って寝て次の朝。

 私は1-Sの教室に向けて歩いていた。



 え? 挨拶? あぁ……まぁ、普通に終わらせましたよ。定例文みたいなのを丸暗記して。


 でもやっぱり私の挨拶は只の前座だったね。きっとみんなの記憶に残ってないよ、あれは。

 すごかったよー。レイが壇上に上がったときの歓声。


 おいおい君たち、今式中だぞ? 静かにしなさい。教頭困ってるでしょ。ツルツルの頭がさらにツルツルになったらどうするの。と、思わずにはいられなかった。


 いやー、前座でよかった。でももうやりたくない。


 いや、確かにレイに比べればましだったよ? でもやっぱりあの集まる視線は耐えられない。やだやだ。


 ……と、グダグダ言っている私だが、私はよく考えて見れば、教師って人前に立つ仕事なんだよ……え、今さらだけどめちゃくちゃ嫌なんですが。

 うわー、憂鬱。なんでもっと拒否しなかったんだろ。泣きわめいて嫌だって暴れまわればよかった。


 と考えながら、現在私は1-Sの教室に向けて歩いている。

 ちなみにまだ始業には時間がある。


 なんで私が始業時間にもまだ時間があるこんなに早い時間に教室に向かっているかと言うと、これから起こるレイリストとの第一回目のイベントの阻止のためである。


 それは一言でいえば"出会い系イベント"というもの。


 試験の結果により、Sクラスになったヒロイン(ステル)はその教室に向う。

 しかし教室に入り、自分の席に向かおうとすると数人の令嬢に囲まれるのである。「国の脛齧りがなぜSクラスにいるのだ」と。

 ヒロインは震えながらも小さな声で、自分もこのクラスになったのだと説明した。すると令嬢達はヒロインを嘲笑い、自分達の(しもべ)になればクラスの一員だと認めてあげると言う。

 最終的にここら辺の出来事から、悪役令嬢の差し金だったということになるのだが、それは置いといて、そんなことを言われてしまったヒロインはさらに怯え、目に涙を浮かべる。

 そんなとき、そこに現れるのがレイリストである。

 颯爽と現れたレイリストはヒロインを背に隠して令嬢達から守りつつ、もうこんなことをするな、レガリア王国の貴族として恥ずかしい行いだと言って、その場を納め、ヒロインにもう大丈夫だと言って笑いかけるのだ。


 あぁ、かっこいい。さすがレイリスト。最初の最初からかっこいい。君の背中を忘れない。私は君を攻略したかった、あぁ最高。



 と、まぁそんなことがゲームではあるわけだ。ほっといても丸く収まるのだが、別に私はステルを怖がらせたい訳じゃない。

 ということで、私が先に行ってその原因となる令嬢達を止めておこうという魂胆だ。結果的にレイが美少女ステルと出会うイベントを阻止してしまう訳だが……許せレイ。


 そして着いた教室。

 しかし私はどこかで見たことのある令嬢達に、扉を塞き止められ、教室にも入ることも出来ず、ステルがもう中にいるかもしれないと思い中を覗こうとしても彼女達の身長が高く、それすら出来ないでいた。


 ただ、目の前にいる令嬢達こそが目的の人達である。



「国の脛齧りがSクラスになんの用かしら? ここはあなたみたいな薄汚れた人間が来れるところじゃありませんのよ」



 そしてこんな風に突っかかられているわけだ。



現在クレア、かの10cmヒールはいてません(_ _)σ


さて、次回の投稿ですが、いつも通りなら19に投稿したい……でも20,21になるかも知れません。気長にお待ちくださりますと幸いですm(__)m




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