教師
とっても、とっても遅くなりました!
読者の皆様木永に待ってくださりありがとうございますm(__)m
"先に生まれた人"と書いて先生と読む。
こちら、地球にいたら一度は聞いたことがあるであろう言葉である。……私は少女漫画かなにかで読んだ気がする。
まぁ、私がどこでその言葉を聞いたとかはどうでも良いのだが、でも実際、大体先生って年上だ。
日本にはなかったけど海外には飛び級っていう制度があるからどこかにはいるかもしれないけれど……少なくとも私が勉強とかを習った先生は全員年上だった。
だからこそ驚いた。
この話を聞いたのは、言わずもがな3ヶ月前のあの日。毎度のごとく、一つの仕事が終われば次の仕事が舞い込んで来ていたため、今度もそうなんだろうなー、次はどこに行くのかなー、なんて悠長に構えていたら、これだ。
一体誰が思っただろう、私が先生になるだなんて。
聞いた話によると魔法の"特別魔導導教員"? として私は働くことになったらしく、これには教員免許みたいなのはいらないのだが……それでも同い年もしくは年下に魔法を教えられる生徒の気持ちとはいかに。
しかも初年度から担任持ち、しかもしかも、まさかのSクラス。ちなみに一年生のクラスだからおそらくステルたちがいると思われる。
なぜ、こんな仕事が私に舞い込んで来たかと言うと……まぁ、簡単に言えば他にやれる人がいなかったからだろう。
今に至った経緯を少し説明しよう。
元々学院には将来有望な少年少女が集められているということもあり、なにか問題があったときには真っ先に対処できるようにと、王宮魔導師が二人常駐していた。
ただ、せっかく王宮魔導師がいるのだから生徒にもその技術を伝授してもらおうと言うことでできたのが、"特別魔導教員"という役割である。
しかし昨年、それまで学院に常駐していた一人が「田舎でゆっくり暮らしたい」と言い出した。
一応学院にはもう一人王宮魔導師がいるので問題が起こったときへの対処などについては問題無いが、何より負担が大きい上に、このもう一人の王宮魔導師というのは特別魔導教員として採用されている人ではなく、この学院の学院長様のことなのだ。
学院長には学院長の仕事があるため、授業をする暇などもちろんなく、早急に後任者に仕事を引き継ぐ必要があった。
現在王都を拠点としている魔導師は計6人。
学院長、ベルさん、イグネイシスさん、師匠、お父様……そして私だ。
まずベルさんとイグネイシスさんは、治療院での仕事もあるので無理。
次に師匠だが、この人はまず仕事嫌いな上に、一応王宮筆頭魔導師なので陛下の側にいた方が良く……何より魔法の教え方があれなので、ついてこれるお嬢様お坊っちゃまはほとんどいないということで早急に候補から消えた。
で、残るはお父様と私だけとなり、前任の魔導師がやめてから今年度までの間はお父様がやっていたらしい。
しかし元々多忙なお父様。
騎士団と魔導師たちが連携するようになってから、魔導師側を統括する役目を担い、さらに忙しくなってしまったお父様。
……お父様が死んじゃう。過労死しちゃう。
と言うことで、私に白羽の矢が立ったのだ。というか私しかいなかったのだ。
生徒たちも本当はお父様に教えて貰いたいだろうに、お父様が忙しいばっかりにこんな小娘に魔法を教えられるだなんて……もっとちゃんとした教師はいなかったのか……!
あ、ちなみに地方にいる王宮魔導師に声をかけても「嫌」という返事を返されるか、無視されるだけだったんだとか。
私は今回のことでなんとなくわかったことがある。王宮魔導師は皆が皆して……「我が道を行く」精神が強いのだ。
……でも私も人の事言えないんだよね。うん、悲しいことに。
まぁ、取り敢えず。私が教師となるのは避けられないようだ。
だが問題は私が先生なんて出来るのかって言う話である。
まず第一に、度々言うけど、私は生徒から見て同い年or年下。一応公爵令嬢な訳だけど、今までお茶会にも夜会にもほとんど参加せず私の顔を知っているのは極僅かだと思われ、魔導師としても師匠の代わりに色々なところを飛び回っていたから王都ではそんなに有名な魔導師でもないという……
絶対誰かに反発されそうだ。反発される気しかしない。
でも普通これだけの問題では無いだろう。今まで魔法を教えた経験と言えばステルにちょっと錬成魔法を教えた程度だ。
もちろん、指導する能力が自分にあるのか不安……ということもあるだろう。
……しかし。結構そうでもないのだ。
確かに今回の人生では魔法を教えた経験はそれだけだ。
……が。大丈夫、そこらへんは心配ご無用でございます。
私は思い出したのだ。
ここで教師として働いていた……一周目のことを。
頭のなかに流れ込んでくる数々の教材や、実際に実践授業などで使っていた設備諸々……
だから、別に魔法を教えることに関しては不安は持っていない。だって二回目なのだから。
だが、それとは別に不安なことはある。なにが不安って……言うまでも無いだろう。
だって要は現在進行形で、私は一周目と同じ道を歩んでいるということでしょう? それは私……死ぬじゃん。
どうしてくれるんだよ。王宮魔導師になった私の努力とは一体。いや、でも王宮魔導師になっていなければ普通に生徒としてここに来ることになっていただろうし、どうやっても、どんな立場でもこの学院生活は不可避なのかもしれない。
部活イベントって絶対あるよね、わかってた。うん。仕方ない、仕方ないよね。
で、ここまできたら肝心の私が死刑にされるまでの記憶も思い出すんじゃないかと思うよね。
……全然思い出せないんだな、これが。
……。
なんでなんだ、なんでそこだけ思い出せないんだ……!
それ! そこが重要なの! いや、確かに教師して働いていた記憶は大切よ? めちゃくちゃ助かりますよ? でもね、そこだけじゃ無くてもっとさ……ねぇ!!
しかし何度思い出そうとしようとも、思い出せるのは設備とか、器具の使い方、魔法の教え方、教材……もう、ステルをいじめていた記憶とかについては思い出せないのだろうと悟った。なぜだか知らないけど。
まぁ、でも大丈夫だろう!
だって私には美羽がついていますから!
あれから美羽に聞いたイベントとその攻略方法の数々……そして、クレアがやっていた悪事全般!
記憶は戻らないけど、いつでもどこからでもかかってこい!
……と、言っても私は基本なにもしない。というかそれが死刑回避の第一歩だと思っている。
ただ、本当になにもしない訳にもいかない。罪を擦り付けられてはたまったものじゃないので、ステルへのいじめは完全阻止! そして、ステルとより一層仲良くなる!
不測の事態に備えて、私の助手に美羽がなってくれることになったし、もう怖いものはない、完っ璧だ!!
あ、ちなみに美羽はこちらに定住する気でいるらしく、向こうでの仕事はあらかた終わらせたようだ。
執筆はこっちの世界でも出来るとということもあり、先週は地球にいる時間より、こっちにいた時間のほうが長かったかもしれない。
あと翔もこっちに定住すると決めたよう。申し訳無いことに仕事を辞めないといけないにも関わらず。
なんでかと聞くと異世界にいる妻と遠距離恋愛はさすがに嫌だったんだとか。
ただ、地球の仕事を辞めるのに最低でも半年はほしいということで、定住するのは暫く先になりそうである。
そしてこちらでのお仕事だが、私たちは学院にいるので翔も学院での仕事を用意した。これで翔もいつでも学院にこれるわけだ。
そしてその仕事というのが……レイの助手である。
すごく今さらなのだが、今私が座っているところはどこか、お分かりだろうか?
そう、ここは……職員席。
そして私は現在レイの隣に座っている……一体どういうことなのか。要は、レイも今日から先生なのだ。
次回の投稿……できれば17日に投稿したいとおもっています(。>д<)
暫く投稿が不規則になってしまうかも知れませんがご了承ください。




