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君のいる世界へ


ブクマ&評価ありがとうございますm(__)m

今話も翔視点でお送りさせていただきます!

 


「じゃあ、本当にあなたはさくらなのね?

 それでここはゲームの世界で、あなたはそれの悪役令嬢だと……なるほどなるほど、あるあるな転生物語ね」


「そうなんだよ!『なんで私!?』 って何度思ったことか!」


「へぇー、でもうらやm……ん"んっ。

 で、これからのゲームの展開が知りたいけど、自分はそのゲームをクリアして無くてわからないことだらけだから、全クリしていた私を呼んだと……」


「今『羨ましい』って言おうとしたでしょ……まぁ、いいや。

 えっとね、確かに助けて貰いたかったっていうのもあるけど、単純に私が二人に会いたかったの。

 だから、二人をこっちに呼んだんだ……」


「そう。……まさか死んだ友達が、異世界に転生してその世界に私達が呼び出されるだなんて思わなかったわ」


「ううっ……、ごめん」



 少女……さくらはその身を小さくして、俺達に謝ってくる。

 確かに話を聞くだけだと美羽の場合は色々理由があったが、俺は「元気だって伝えたくて」とか、「なんかよくわかんないけど翔だったらこっちの世界で無双しそうだからいざってときに守ってもらえるかなって」とか……自己中心的な感情論ばかり。


 俺達の都合なんでほとんど考えていないようにも思うし、さくらの死を悲しみ続けてた俺達の思いはなんだったんだとも思う。

 しかしそうは思うものの……


 美羽がさくらが発した謝罪の言葉を聞いた瞬間、その身体に強く抱きついた。



「……謝らないでよ。

 私、今……さくらに会えて本当に嬉しいんだから……!」



 俺もその言葉に深く頷いた。全く同じ気持ちだ。

 死んだと思っていた、家族にも等しい幼なじみに再び会えて、嬉しくないはずがないのだから。




 ◇◆◇◆◇




「さて、じゃあちょっと確認していい?」



 数分後、さくらから身を離した美羽は、濡れた頬をハンカチで拭きながら確認兼質問を再開した。

 さくらは自身もハンカチで涙を拭ってコクコクと頷く。

 時々少年が裾でさくらの涙を拭き取っているのを見て『子供みたいだなぁ』という感想を抱きつつ、そういえば、さくらが泣いてるところも見たこと無いかもしれないと遠い過去を思い出していた。



「じゃあまず……さくらが言ってるゲームってもしかして『You with a star』のこと?」


「あ、そう!」


「……『You with a star』って、さっき美羽がやり始めてたやつか」


「そうそう。タイミングが良すぎて怖いくらいだわ。

 あ、で、さくらの隣にいるのってもしかして騎士団長子息のレイリスト?」



 正面に座る少年は騎士団長子息らしい。

 ……すごい人なんだろう。実感がわかないが。……腰に剣を携えているのは、この少年も騎士だからなのだろうか?



「本当に俺の名前知ってるんですね。申し遅れました、レイリスト・グラディウスと申します」


「あぁ、やっぱり。実物の破壊力半端ないわね、さすが攻略対象。にしてもやっぱりかw…………イケメンな顔してるわ。

 あ、というか私たちも自己紹介してないわね。私は美羽。こっちは翔よ」



 美羽が少年を上から下まで見てテンションをあげている。

 なるほど。攻略対象なのか、その容姿にも納得だな。

 ……可愛い系男子ってやつか?

 なんか美羽今、「可愛い」って言おうとしてたような気がするけど、何で止めたんだ? まぁ、男の子が「可愛い」って言われて嬉しい訳がないか……


 しかし、俺としては自分の嫁が他の男を『カッコいい』と言っているのはあまりいい気がしない。……さくらに一瞬みとれた俺が言えることではないかもしれないが。


 美羽が二次元の男にキャーキャー言ってるのは別に慣れたものだから何も思わないのだか、三次元となると話は別だ……いや、二次元なのか? でも目の前に実在することに変わりはないしなぁ……



「……藍崎翔だ」



 そんなことを思っていると、少年は何も悪くないのにも関わらず素っ気ない返事を返してしまった。

 しかし、少年は気にした様子もなく話をつづける。



「よろしく美羽さんと翔さん。俺のことはレイリストでいいですよ。クレアから話は大体聞いてるんですけど、よかったら俺もゲームとかの話聞いていいでしょうか?」


「もちろん。攻略対象が手伝ってくれるなんて心強いわね。

 あー、でもまだプロローグだったからあんまり内容思い出してないのよねぇ……」


「あ、あぁー……そっかぁ」



 美羽がそう言うと、さくらはあからさまにシュンとしてしまった。

 話を聞く限り、さくらは高校生時代の俺達が来ると思っていたらしい。しかし現在俺達は三十路を超えた大の大人。さくらが地球で死んでから15年たった世界から来ている。たださくらがこの世界に生まれてからも同じ時間流れているようだ。考えてみればこうなることに気づきそうなものだが、気づかなかったのだから仕方ない。


 そしてゲームの内容をさくらは知りたいみたいだが、高校時代からそれだけ時間がながれていのだから、その時期にやっていた内容を鮮明に覚えているわけがない。

 ましてや乙女ゲームやそう言う類いのゲームを美羽は数多くプレイしているのだから内容がごちゃ混ぜになってしまっているのだろう。



「そうね……あ、そういえばさっき私たちが地球に帰る方法も作ったって言ってたわよね?

 それって今すぐ出来る? そしたらそうね……やったことあるやつだから1,2週間あれば、完全攻略出来そうだけど……」


「本当!?

 え、あ、でも美羽仕事は? というか二人ともいきなり呼び出しちゃったけど大丈夫だった!?」


「私は大丈夫。結婚式もあったし明後日から新婚旅行に行く予定だったから、作品は何話か担当さんに渡したし。……翔は?」


「俺も仕事はしばらく大丈夫だな。2週間丸々休みにしてもらったから。

 あ、ちなみに今回呼び出される時も問題はなかったぞ? 家でちょうど美羽と寛いでる時だったから回りには誰もいなかったからな」



 そう考えると本当にタイミングが良かったんだな。結婚式を今日して正解だった。

 こういう一代イベントでもないと俺と美羽の休みが被ってる事なんてほとんどないからな……


 そんなことを考えながら、予定を思い出すために下に下ろしていた目線をさくらの方に向けると、間抜け面で固まっていた。

 そして隣に座っていたレイリストが少し首を傾げて、口を開いた。



「……お二人は結婚されてるんですか?」



 と。


 そういえば話して無かったなと思って美羽と一緒に肯定の意を表した。

 すると……



「え、ええぇぇぇぇえええ!!??」



 それまで固まっていたさくらが鼓膜が破れそうなほど大きな声をあげ、今度はこちらが質問攻めにあうはめになったのだった。




次回の投稿は9日を予定しています。

後一話、翔視点でお送りさせていただきます。長くなってしまってすみません。もうしばらくお付き合いくださいm(__)m


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