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2nd Nightmare  作者: 白川脩
恭子編
20/57

第3話


病院の屋上から、イリシオスの行動を観察していた恭子と亜莉紗。


2人はイリシオスの視力を甘く見ていた事から、複数のイリシオスに目を付けられてしまった。


「ど、どうするんですか恭子さん…!?あいつら、こっちに来ますよ…!」


「慌てる必要はありませんわ。ここは屋上ですし、ここまで来るにはそれなりに時間が掛かるハズ…」


と、恭子が言った瞬間、3体のイリシオスが、壁を登って屋上にやってくる。


「…という考えは浅はかですわ。わかりましたか?」


「いや訊いてねーし!とにかく逃げないと!」


「お待ちなさい。やれるだけやってみましょう」


「はぁ!?」


3体の内の1体が恭子に飛びかかり、彼女の両手を掴む。


「ふむ…。力はかなりありますね」


そう言いながらも、恭子はイリシオスを軽々と押し返す。


そして顔面に、掌底を放った。


手から発せられたとは思えない、銃声のような音と共に、顎から上が砕け散る。


そのイリシオスは、倒れて動かなくなった。


「この程度で不死身とは…おかしな話です事」


「いや…まさか素手で頭を吹っ飛ばされるとは、あちら様も想定できませんよ…」


嘲笑する恭子と、苦笑する亜莉紗。


残った2体のイリシオスは、倒れた仲間を見て雄叫びを上げた後、それぞれ恭子と亜莉紗に襲い掛かった。


「うわぁ!こっち来るなぁっ!」


逃げる亜莉紗。


「全く…。見苦しい…」


恭子は自分の方に向かってきた個体の頭を鷲掴みにし、亜莉紗の方に向かっていった個体に投げつける。


イリシオスが転倒したと同時に、亜莉紗は途轍もないスピードで恭子の元へ逃げ込んだ。


「た、助かりました…」


「安心するのはまだ早いですわよ。2体共生きています」


恭子の言葉と同時に、2体のイリシオスは素早く立ち上がる。


恭子に投げられた方は首が有り得ない方向に曲がっていたが、自分の手で強引に戻し、何事も無かったかのようにもう1体と共に襲い掛かってきた。


「やっぱり不死身なんじゃ…」


「頭を潰せば問題ありません」


「ですよねー…」


同時に飛びかかってくる2体のイリシオス。


恭子は両手をそれぞれ1体ずつに掴まれたが、掴まれた両手を振り下ろし、2体を同時に頭から地面に叩き付ける。


そして倒れた1体の顔面を、右手で殴りつける。


殴られた個体は身体がびくんと跳ね上がり、頭部が粉々になって動かなくなった。


もう1体はその間に素早く体勢を立て直して、恭子から距離を離す。


その個体の頭部に、亜莉紗のクロスボウから放たれた矢が突き刺さった。


「頭が弱点なら、潰さなくたってこうすれば…」


しかし、その個体は頭に刺さった矢を手で引き抜き、平然とした様子で再び襲い掛かってくる。


「嘘ぉっ!?」


「全く…」


しかしその個体も、恭子に左手で掴まれ、右手で頭を叩き割られる。


その場に居るイリシオスは、全滅した。


「さ、流石ですねー…」


「急ぎますわよ。すぐに新手が現れるハズです」


恭子の言葉と同時に、4体のイリシオスが壁を登ってやってくる。


同時に、屋内からも5体現れた。


「あわわわ…」


「逃げ道を塞がれましたか…」


じりじりと寄ってくる9体のイリシオスに対し、2人は正面に身体を向けたまま後退っていく。


更にその時、先程恭子が仕留めた3体のイリシオスの死体が、痙攣し始める。


「な、何ですか…?何か痙攣してますけど…」


「………」


2人が後退りながらもその死体を見ていると、その死体の首の断面から、グロテスクな生々しい新たな頭部がゆっくりと生えてきた。


そして立ち上がり、2人を囲む群れの中に加わる。


「…なるほど。不死身というワケですね」


失った頭部の再生には、流石に恭子も苦笑いを浮かべた。


「か、囲まれちゃいましたよ…?」


後退りをして距離を離していた2人であったが、ついには屋上の隅に追いやられてしまう。


すると、恭子は自分達を囲んでいるイリシオス達を一通り見てから、溜め息を吐いてこう言った。


「…仕方がありません。亜莉紗さん、少々失礼しますわよ」


「え?何を…わぁっ!?」


亜莉紗の足を掬うように持ち上げ、俗に言う所の"お姫様だっこ"のように抱える。


そして、手すりの上に飛び乗った。


「な、何をする気ですか…?嫌な予感しかしないんですけど…?」


「何があっても頭をぶら下げずに、私の胸元に埋めておくのですよ。良いですわね?」


「いやダメ良くない待って…」


亜莉紗の言葉は聞かずに、恭子は屋上から飛び降りた。


「いやぁぁぁーッ!!」


落下している間、絶叫が止まらない亜莉紗。


恭子が着地点に選んだ場所は、下に停まっていたトラックの上であった。


数秒の落下を経て、亜莉紗を抱えた恭子はトラックの上に足から着地する。


「ッ…!」


しかし、トラックの上とは言え、彼女が落下した高低差は20メートルを越えている。


一番先に着地した彼女の右足が、衝撃に耐えられなかったらしく、内側にぐにゃりと曲がった。


「い、生きてる…?」


ゆっくりと顔を上げ、状況を確認しようとする亜莉紗。


「…怪我はありませんね?」


恭子は亜莉紗をゆっくりと降ろしながら、彼女にそう訊く。


「は、はい…。私は大丈夫…です…」


「そうですか…。良かった…」


恭子は安心したようにそう言うと、崩れ落ちるように倒れ、トラックの上から落ちてしまった。


「恭子さんッ!?」


すぐに亜莉紗もトラックの上から飛び降りて、恭子の姿を確認する。


そこで亜莉紗は、恭子の右足が異様な角度に曲がっている事に気付いた。


「恭子…さん…?その足…」


「ふふふ…。身体の方が耐えられなかったようですわ。命に別状は無いようですがね。それよりも、早くここから離れなさい。すぐに追手が…」


「…ちょっと待っててください!」


亜莉紗はそう言って、トラックの荷台のコンテナを開ける。


そして、恭子を担ぎ上げ、コンテナに運び込もうとした。


「何をしていますの?私はもう歩けないのですから、ただの足手纏いですわ。あなただけでも早く…」


「良いから…少し黙ってて…ください…!」


恭子の身体は軽い方ではあったものの、非力な亜莉紗にとっては一苦労。


それでも何とか運び込み、亜莉紗がコンテナの扉を閉め、2人はコンテナの中に隠れた。


「亜莉紗さん…。あなたは…」


「ちょっと見せてください。多分折れてるとは思いますけど…」


スカートの内側の太ももに巻いてあるベルトから、小さなペンライトを取り出し、恭子の右足を照らす。


彼女の右足は、既に酷く腫れていた。


「酷い腫れ…。痛みはかなりありますか?」


「いいえ」


「ですよね…。これだけ腫れてればそりゃ…。…は?」


恭子の顔を二度見する亜莉紗。


恭子は続けて、きょとんとした表情で答える。


「痛みはありませんよ?」


「いやだって…さっき歩けないって…」


「痛みで歩けないというワケではありませんわ。歩こうとすると変な方向に曲がってしまうので、歩けないというワケです」


「えーと…つまり…え、どういう事…?」


「ですから…」


左足に力を掛けて、立ち上がる恭子。


そして、彼女が右足を前に出して地面に付けると、その右足がぐにゃりと内側に曲がった。


「このようになってしまうので、歩けないのですよ」


「い、痛くないんですか…?」


「全然、平気ですわよ?」


「そう言われても…信じられないですよ…」


「本当ですわ。ですが、歩けないというのは困りましたね。何か良い案はありませんか?」


「うーん…。そうですね…」


亜莉紗は立ち上がり、トラックの中をペンライトで照らしながら調べ始める。


しかし、彼女が探している物は見つからなかった。


「無い…か」


「何をお探しで?」


「添え木ですよ。にわかには信じられませんが…痛みが無いなら、関節の固定さえしてしまえば歩けるようになるんじゃないかと思いましてね」


「添え木…ですか」


「このトラックに医療用の道具が積んであるんじゃないかと思ったんですけど、中々都合よくはいきませんね…」


亜莉紗はそう言って力無く笑い、コンテナの出口に向かう。


「…どちらへ?」


恭子が目を細めて訊く。


「添え木、探してきます。救急車の1つや2つ、この辺りを探せばあると思いますし」


「…危険ですわ」


「危険ではありますけど…大丈夫ですよ」


「お待ちなさい。何も今行かなくてもよろしいではありませんか。朝になれば、少なくともイリシオスは姿を消します。ここで朝まで待って…」


「いやー私もそうは思ったんですけど…」


「では何故?」


怪訝な様子で訊いてくる恭子に、亜莉紗は子供っぽい笑みを浮かべながらこう答えた。


「たまには、恭子さんの役に立ちたいなって思って…。確かにここは安全かもしれませんが、万が一バレた時に動けないってんじゃどうしようもないでしょ?」


「それは…そうですけど…」


「えへへ…。まぁちょっとだけ待っててくださいよ。私がすぐに持ってきますから!」


「ちょ、ちょっと亜莉紗さん!」


恭子の制止を聞かず、亜莉紗はコンテナから出て行ってしまった。


「(外には大量のイリシオスが彷徨いているハズ…。彼女1人では無謀過ぎますわ…)」


立ち上がろうとする恭子。


しかし、左足で立ち上がった所までは良かったが、歩きだそうと右足を出した所で、派手に転んでしまった。


「(この足では、戦闘は疎か移動も満足にできませんわ…。でも、彼女を危険な目に遭わせるワケには…)」


その時、恭子の頭の中に、亜莉紗が先程言った"たまには役に立ちたい"という言葉が不意に浮かぶ。


「(私と彼女では持っている能力に差がありすぎるというのに、負い目を感じているという事ですの…?そうだとしたら、それは愚かな考えですわ)」


しかし、同時に彼女の無邪気な笑顔を思い出し、思わず気の抜けたように笑ってしまう。


そして、追いかけようとする事を止め、壁にもたれかかって座り、溜め息を吐いた。


「(…一度くらい、彼女を信じてみても良いかもしれませんね)」



一方、コンテナから出た亜莉紗は、救急車を探して辺りを見回す。


しかし、救急車は見つからず、どこを見ても見つかるのはゾンビとイリシオスだけであった。


亜莉紗はひとまずトラックの下に潜り込み、敵から身を隠す。


「(どうしよう…。病院の中なら添え木くらいあると思うけど…)」


トラックの下を這い、病院の入口が見える位置に移動する。


入口の周りには、大量のゾンビが彷徨いていた。


「(…そうだ)」


何かを思い付き、腰に付けてあるポーチを探る。


取り出したのは、ライターと自作の爆竹であった。


爆竹に火を付け、入口から離れた場所に投げ込む。


爆竹は10秒ほどけたたましい音を鳴らし続け、辺りに居た全てのゾンビを惹きつけた。


「(よし…上手くいった…)」


トラックの下から出て、素早く病院の中に入る亜莉紗。


中にも数体のゾンビが居たが、亜莉紗は気付かれる前に近くにあった扉を開け、その中に入って息を殺す。


「(やっぱり中にも結構居るな…。でも、ただのゾンビなら何とかなる…)」


背負っているクロスボウを手に取り、矢を装填する。


そして扉を少しだけ開き、その隙間からゾンビの頭を射抜いた。


矢を発射した際の音は無音に等しく、他のゾンビは気付かない。


すぐに再装填を済ませ、亜莉紗は1体1体仕留めていく。


5体目の頭を射抜いた所で、亜莉紗は再びクロスボウを背負った。


「(これで安全だ。医療道具が置いてある部屋を探さなきゃ…)」


部屋から出て、足音を殺しながら通路を進んでいく。


しばらく進んだ所で突き当たったのは、大量のゾンビが徘徊しているロビーであった。


「(うわ…。流石にあの数は無理かも…)」


良い方法が無いか、辺りを見回す亜莉紗。


「(ここから見えない場所にも沢山居るハズ…爆竹を使っても藪蛇になりそう…)」


辺りを見回していると、真上にダクトの蓋がある事に気付いた。


「(通路を歩き回るよりは安全だよね…。よし…)」


近くにあった箱をそこまで引っ張ってきて、その上に乗ってダクトの蓋を押し開け、ダクトの中によじ登って入る。


「(ふぅ…。とりあえず、あちこち見回ってみよう)」


ゾンビに遭遇する事はまず無いと思われるダクトに入った亜莉紗は、少しだけ気を楽にして進み始めた。


しかし、進み始めてすぐに、亜莉紗の表情が曇る。


「(うぅ…狭い…。元々人が通る場所ではないけどさ…)」


小柄な亜莉紗でもギリギリという狭さ。


しかし、途中で通りかかった蓋の隙間から見えた、下に居る大量のゾンビを見て、亜莉紗は狭い事など気にならなくなった。


「(…まぁ、下に居るゾンビをかいくぐって移動するよりは、全然マシか)」


それからしばらくダクトの中を進んでいくと、物置のような部屋の上に到着する。


蓋の隙間から覗き見て、様々な道具が置いてある事を確認した亜莉紗は、蓋を外して部屋の中に飛び降りた。


「(ギプスみたいな物があれば良いんだけど…。あと包帯も必要か…)」


亜莉紗が今居る部屋は、治療に使う様々な道具が置いてある部屋であり、探している物は2つ共置いてあった。


「(あった…!あとはこれを持って恭子さんの所に…)」


ダクトに戻ろうとしたその時、部屋の出口の扉が、向こう側から何者かに強く叩かれる。


「や、やばっ…!」


扉の上部のガラスの部分から見えたのは、亜莉紗がダクトから飛び降りた際に発した着地の音を聞きつけたイリシオスであった。


イリシオスは狂ったように扉を叩き続け、扉を破ろうとしている。


「急がないと…!」


近くにあった棚に足を掛け、ダクトに飛びつく。


亜莉紗がよじ登ってダクトの中に入ったと同時に、部屋の扉が破られ、イリシオスが入ってきた。


「(セ、セーフ…かな…?)」


恐る恐る、ダクトの中から部屋の中を覗き見る。


「あっ」


頭上を見上げていたイリシオスと、目が合った。


奇声を上げ、ダクトに飛びつくイリシオス。


「こ、来ないでよっ…!」


蓋を押し付け、イリシオスを叩き落とす。


亜莉紗は蓋を閉め、すぐに逃げ出す。


背後から蓋を破壊した音が聞こえたのは、すぐの事であった。


「(こんな時は…)」


ポーチの中から、何かを取り出す。


それは、両端にフックが付いているワイヤーであった。


伸縮ができるそれをダクトの横幅に合わせ、出っ張っている箇所に引っ掛ける。


設置を終えたと同時に、イリシオスが姿を現した。


「(足止めにしかならないかもしれないけど、効果はあるハズ)」


亜莉紗は前に進みながらも、顔だけは後ろに向けて様子を見続ける。


そして、四足歩行となって途轍もない勢いでこちらに向かってきているイリシオスは、ワイヤーに気付きもせずに、彼女のトラップに引っ掛かる。


彼女が仕掛けたワイヤーは恐ろしい切れ味を持っている物で、イリシオスの身体は、綺麗に真っ二つに切断された。


「(よし、ざまみろ!…でも、すぐに復活しちゃうんだよね。急いで逃げよ…)」


イリシオスが2つに分かれた身体を自分で接合する前に、亜莉紗は最初にダクトに入った場所に到着した。


ダクトから飛び降り、病院の出口に向かう。


「(あれ…?何で…?)」


侵入の際に退けたゾンビ達が、元の場所に戻ってきていた。


更に、元々その場に居なかった何体かのゾンビ達も、亜莉紗が使った爆竹におびき寄せられたらしく、その場に彷徨いている。


「(数は増えてるけど…やっぱりこれが一番手っ取り早いか…)」


爆竹を取り出し、火を付けて離れた場所に投げ込む。


先程と同じく、ゾンビ達は爆竹の音に惹き寄せられ、入口の前にゾンビは居なくなった。


その隙に、亜莉紗は恭子が待つトラックの元へと急ぐ。


幸いにもトラックの周辺に敵は居らず、亜莉紗は無事トラックに戻ってくる事ができた。



「亜莉紗さん…。お怪我はありませんか?」


戻ってきた亜莉紗に、心底心配していた恭子が彼女の無事を確認する。


「大丈夫ですよ。この通り、傷一つありませんから!」


亜莉紗は笑顔でそう答え、持ってきた治療道具を取り出す。


「さて、早速始めましょうか」


「それは…?」


「シーネって呼ばれてる患部を固定する道具ですよ。…ちょっと失礼しますね」


恭子の右足の靴と靴下をゆっくりと慎重に脱がせて、シーネを付ける。


「しばらくしたら固まるので、ちょっと待っててくださいね」


「はぁ…」


シーネが固まり、慣れた手付きで包帯を巻き始める亜莉紗。


その手付きを見ていた恭子は驚き、思わず彼女にこう訊いた。


「随分と慣れていますわね…。何か経験をお持ちで?」


「大した事じゃないですよ。昔この手の仕事に憧れてた事があって、その時の名残です」


「なるほど…そうでしたか…」


恭子は、何故彼女がその夢を諦めたのかが気になったが、訊き出そうとはせずに、黙って彼女が包帯を巻いている様を見つめていた。


「…これで良し。どうですか?」


包帯を巻き終えた亜莉紗が、恭子に具合を訊く。


すると、恭子はすっと立ち上がり、右足を地面に付けた。


「少々違和感はありますが…歩く事は出来ると思いますわ」


「そこまで重傷なら、本来は激痛で歩くなんて有り得ないんですけどね…」


「ふふふ…。人間という生き物は不便ですわね」


「そーかもですね…」


苦笑する亜莉紗。


「…亜莉紗さん」


「何ですか?」


突然、亜莉紗を抱きしめる恭子。


「きょ、恭子さん…?」


「ふふふ…。感謝の気持ちですわ」


「か、感謝…?」


「ありがとう…。亜莉紗さん…」


亜莉紗の顔が、一瞬で真っ赤になる。


「そんな…気にしないでくださいよ…。照れちゃいますって…」


「お顔が真っ赤になっていますわよ?可愛いですわね…」


「か、からかわないでくださいよ…!」


「からかってなどいませんわ。本当にそう思っただけですよ」


「う、うぅ…」


「ふふふ…」



その後、恭子は歩けるようにはなったものの、亜莉紗の疲労を考慮して、2人は朝までトラックの中で休む事に。


しかし、外からはゾンビの呻き声やイリシオスの雄叫びが、絶え間なく聞こえてくる。


にも関わらず、亜莉紗は恭子の肩にもたれかかって、静かに寝息を立てていた。


「(疲れているのでしょうか…。良く眠っていますわ…)」


亜莉紗の綺麗な髪をそっと撫で、微笑む恭子。


疲労もあったが、亜莉紗が熟睡している一番の理由は、恭子の側に居るという安心感にあった。


「(おやすみなさい…亜莉紗さん…)」


第3話 終




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