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1日魔王  作者: シズ
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終わりと終わり

「アナタは明日死にます」


その言葉を受けた瞬間、世界が色彩を失ったかのような感覚に男は陥った。


「必ずか?」

「はい。勇者の手によって明日、命を絶たれます魔王様」


魔王という冠を手にしてから幾日経ったのかは定かでは無かったが、いつかはこの日が来ることは分かっていた。

ただでさえ敵を数えると切りがない。

勇者に近隣国の軍隊、果てには魔王の座を手に入れんとして同胞の魔族からも命を狙われている。

そんな自分が今まで生きていられたのも奇跡......


「いや、お前のおかげか」

「はい?」

「なんでもない」


人間の身でありながら、身の回りの世話をしてくれていた側近のおかげだ。

ほんの少し先の未来が見える目を持ち、死の危険に晒されそうになる前にその力によって窮地を何度も救われた。

だから、その言葉は未来の決定と同義なのだ。


「ならば、今日は少し街にでも出てみるかな」

「怖くはないのですか?」

「死がか?そんなわけなかろう、怖いさ私だって、だが、死ぬのは明日なのだろ?」


玉座から腰を上げながら、心配そうに見る従者に軽く笑って答えた。

昔からじぶんのことより、まず主君のことをと身を切り裂きながら、検診してくれた者の不安を和らげたいがための虚言だ。

それを察してか、複雑そうに笑みを作ろうと務めて部屋の扉が開かれる。


「心配ならば、お前も来るか?」

「王の命令とあらば」


★


城下では祭りの催しがあるのか賑わっていた。

多種多様な魔族や人間が行き交う中を、魔王と従者は縫うように歩き広場まで出た。

広場ではサーカス団の見世物が行われていた。

ピエロが宙を舞い、ドラゴンへと姿を変え降りてくる。


「見事ですね」

「あぁ」

「魔王様?」

「すまない...サーカスなんて子供の時以来だから、なんだか感傷に浸ってしまってな」


心配そうに顔を覗き込んでくる従者の頭を軽く小突きながら、笑みを漏らす。

いつもそうだ、子供を心配する親が見守る優しい目。

その目を見る度に胸の中で霧のような物が渦巻くのを感じる。

苛立ちにも似たそれを心に留めながら、いくとしも過ぎていた。

魔王として生まれ、生きてきてそんな感情になったのは後にも先にもこの従者にのみだろう。

だが、王としての役目は明日終わる。ならばと軽く一つ咳払いをして魔王は話しかけた。


「お前がここに来てから、どれくらいたったのだろうな」

「私が17の時ですので、もう5年となります」

「5年か...魔族の身にはあっという間だが、人間のお前にとっては貴重な時間だろう。最早、我が身は明日までの命、この際役目は終え...」

「いいえ、なりません!私は最期の時まで魔王様のお側に!」


手に暖かさを感じて、それが握られていることに対してのものだと気づくのに反応が遅れた。

従者も自分が魔王の腕を強く強く握りしめていることに、気がついていなかったのかハッと紅潮し、隠すように距離を置く。

いつもは冷静さを崩さない従者が、今日はらしくないほどに取り乱している。

自分が明日、死ぬかもしれないというのにそれを忘れてしまいそうだと、魔王は思いながら近づいていく。

あと数センチで手が顔に触れる。

その時、目の前を突如黒い影が襲った。


「...!?」


反射で庇った顔に向けて飛んできたのは、ボールだった。

ジャグリングなどで使われているそれを受け止め、飛んできた方向を見やる。


「申し訳ありません!手元が狂ってしまいました」


先程、ドラゴンに変身していた道化師が走り寄ってそう叫んでいる。

見えていなかったのか、心ここに在らずなのか、いつもなら怒鳴り声をあげるはずの従者は顔を真っ赤にして広場から姿を消してしまっていた。


「...よい、先刻の見事な変容に免じて許そう」


落胆を隠し、ボールを道化師へ向けて放り投げる。

それを受け取ると深々と礼をし、従者を追うため背を向けようとすると、それを遮るかのように魔王の目の前を道化師の影が遮る。


「なんだ...?」

「いえ、何やら顔が険しかったもので...楽しんで頂けませんでしたか?」

「...そんなことは無い、言ったとは思うがドラゴンへの変化は見事なものであった」


 言いながら視線を奥へと投げるが、既にそこに従者の姿はなかった。

 すぐにでも追いかけたい気持ちで脇を抜けていこうとするが、また行く手を阻まれてしまう。

 苛立ちを抱き、相手をにらみつけるが意に介していない様子であるところから溜息をつく。


 「そこをどいてくれないか?」

 「せっかく魔王様に見てもらえる機会ですから、もう少し見ていっては頂けませんか?」


 なぜだ、と心の中で思ったが、避けて横を抜けようとしても鏡写しのように同じ動きをされるので釈然とはしないものの、諦めざるを得ないと無理やり納得し、着座した。


 「ありがとうございます」


 言うが早いか、道化師はニコリと笑い、元の場所へと跳躍で戻っていった。

 傍を離れたので即座に席を離れようと思ったが、立ち上がったと同時に戻ってこられても仕方ないため静かに演技の続きを鑑賞した。

 初対面の相手にかき乱されている自分を不思議がりながらも、考えても仕方ないと頭を振る。

 しばらくして、全て終わったのか観客に会釈をしつつ道化師が近づいてきた。

 わざわざ見ていただいてすいませんと、魔王に頭を下げるが「見ていろと言った人間が何を言うか」と言うような視線を投げつける。

 その意図が通じたのか、苦笑いを浮かべ広場を抜けた商店通りへと指を向けた。


 「ご一緒にいた女性なら、あっちへと行きましたよ」


 行き先が分からなくて困ることが分かっているなら、引き留めないでほしかった。という思いは胸に秘め、急いで走り出す。

 そんな彼の姿が見えなくなると同時に、道化師が呟く。


 「ちょっと悪ふざけが過ぎたかな? まぁ、女の子には準備が必要ってことで……頑張ってね魔王様」


 そうして笑うと、人混みのほうへ歩き出し、いつの間にか姿は消えていた。


 ★


 店などが多く点在する商業エリアを見回しながら従者を探すが、場所が場所なだけに人通りが多すぎて一人一人の顔すら判別できない。

 後ろ姿で似ている人物の方を掴み、顔を覗き込むがどれも似てすらいないものばかりだった。

 時間が経っていくにつれ、焦りが生まれ視野が狭まっていく。

 早く見つけなければ・・・

 なぜかそう思い、眉間にシワが寄る。


 「どこへ……行った……っ」


 体が重い、一歩ごとに心臓が軋む音がする。

 ただ追いかけているだけなのに、どんどん遠ざかっている気さえした。

 息が切れる。 足がもたついていく


 「はぁ・・・はぁ」


 吐き気も眩暈感も強くなっていく、視界がグラついていく。

 誰かが、声をかけてきた気もするが反応せず進む。

 そして、視界は黒に染まって・・・


 「おい! おい、大丈夫かよ!」


 倒れかけた時、誰かにぶつかったようだ。 

 その相手に受け止められている。


 「・・・どいてくれ」

 「そりゃぁ、無理だな」


 立ち上がろうとする身体を、肩を抑えられ阻止される。


 「はな、せ」


 相手をにらみつける。

 大柄な男だった。


 「いやいや! 死にそうな顔してるやつ放っとけるか!」


 そう言うと男は、魔王を露店の隅に置いてある椅子に無理やり座らせると、立たせないように眼前で仁王立ちになる。

 それでも立ち上がろうとすると、肩を押えられる。


 「貴様には、関係ないだろう」

 「うちの家系では、困ってそうな相手は無理やりにでも助けろって言われてんだ。 代々な」

 「無茶苦茶ではないか・・・?」


 数分ほど力に抗っていたが、諦めたのか、力尽きたのか掠れるほど弱弱しい声で言った。

 息を整えるために俯いて目を閉じる。

 なぜ、自分はこんなに焦っているのだろう

 

 「自分の命が今日で終わりだからか……?」

 

 違う、魔王である以上、いつか倒され死ぬことは覚悟している。

 今までも勇者の進行によって、配下が害されたなどもあった。

 では、こんなに乱れているのは……?

 そこまで考えていると、頭に何かが触れた。

 顔を上げると、飲み物を持った先程の男が立っている。

 眼前に突き付けられた物を、首をかしげながら見つめると男が咳払いをする。


 「飲めってことなんだが……」


 言いにくそうに口を開く。

 その後も固まっている魔王に、無理やり飲み物を渡すと隣に座る。

 

 「言いたくなきゃいいんだが、何かあったのか?」

 「……、 特にない」

 「……そうか、悪かったな余計なことしちまったか、それ奢りだからゆっくり飲んでくれ」

 「が、わからない」

 

 腰を上げかける男の動きが止まった。

 見えてはいなかっただろうが、それを聞いた顔が驚愕に染まっていたのは別の話である。

 

 「わ、わからないって」

 「自分が焦っているのはわかっている。 だが、何に焦っているのかがわからない」

 

 ぽつりぽつりと話し始める。

 今日あったこと、今まであったこと……。

 従者と初めて会った時の話を。


 ★ 


最悪な日だった。

街は祭りの真っ只中なのか、夜も深まってきたというのに灯が少し離れた場所にある魔王城すらも照らしていた。

不思議と人々の笑い声も聞こえた気がする。

うるさい、やめろ。

頭の中でそうつぶやくが、逆らうかのように人々の声が脳内に響く。


「......最悪だ」


自室から出て、誰もいない城の中で誰ともなく言葉を吐き出す。

城内の者達も仕事が終わってすぐに祭りへと向かっていった。

1人なのは良い、煩わしい小言も聞こえてくることは無い。

だが、この日はそれが裏目に出ている。

賑やかしい雰囲気を感じる度に、思い出したくないことが記憶から掘り起こされる。


「もう、数百年経つんだからいいだろう」


その言葉に返事はない、だからこそ余計に虚しくなる。

心に数百年、空いた穴を抱えたまま過ごす生活は苦しい、辛い。

そう考えていると、肌に冷たい風が触れていくのを感じた。

いつの間にか、城の中庭に出ていたらしい。

風と共に花の香りも一緒に抜けていく、辺り一面に咲いているが名前は知らない。

ただ、それを好きだった者がいるだけだ。


「......」


天へ目を向け、一呼吸、そして静かに目を閉じる。

どれだけの時間が経っただろうか、数秒か数分か。

わからないが、それで考えはまとまった。

目を閉じたまま懐に手を差し込み、そこから傍から見たら黒く、傍から見たら白くも見える無機質な光を放つ拳銃を取り出す。

もう使うことは無い、そう決めていた物へ、ゆっくり開いた視線を向けながら溜息混じりに笑う。


「もう、いいか?」 


自分に問う言葉に答えはない、だが、もう決めていた。

誰もいない花畑で、彼は手に持つそれを自分の顔へと向けていた。

あとは引き金を引くだけ、そのはずだった。

無人のはずの庭に足音を聞くまでは。


「誰だ!」


銃口を向けた先に立っていたのは、ボロ布を纏った少女だった。

 叫ばれた相手は体をビクッと震わせ、後ずさる。

 鋭い眼光で出方をうかがっていた魔王だが、その少女の目が恐怖に染まっており、敵意はあるが害意はないと判断すると静かに銃口を下ろす。


 「貴様、どこから来た」

 「あ……うぁ」

 

 警戒はしつつ問うが、返ってきたのは言葉になっていないものばかりだった。

 見た目は15~16、いやもっと幼くも見える印象を受けるが発語ができない年齢には見えない。

 少女は答えなければ殺されるとでも思ったのか、必死に声を出そうとしているができていない。

 それ不思議に思い、魔王は近づいていくが一歩進むごとに相手は一歩下がっていく。

 

 「……、 傷つける意図はない」

 

 そう伝えるが、今なお怯えている姿を見て、ため息を一つ吐きながら手に持った銃を花畑に放る。

 敵意がないと伝えるように、手のひらを見えるように開き歩んでいく。

 まるで小動物を相手にしている気分だった。

 なぜこんなことをしているのかと頭をよぎったが、後々、面倒なことになるよりはいいという思いだった。

 その行動に、少女の警戒は徐々に弱まっていき、腕を伸ばせば届く所まできた。

 ゆっくりと顔に触れると、一瞬、身体を強張らせたが少女は、、その手を受け入れた。


 「やはり……呪いか」

 

 喉のあたり、声帯に近い部分にうっすらと目のようなマークが浮かんでいた。

 魔法で掛ける呪い、他者に行う場合、最悪は命すらも奪ってしまう。

 だが、これは


 「自分で自分を呪ったのか」


 問いに、少女は目を見開き、そして震えながら静かに首を縦に振った。

 自分で自分を呪う者、それは劣等感であったり偶然の産物だったりする。

 はるか昔、身内にもそんな呪いを受けた人間がいたなと懐かしさを覚えたが、喉に浮かぶ呪いに視線を戻す。

 呪いの紋は、その人物の生命力に反応し濃さを増す。

 薄まるほどに、命の残りも少ない。つまりは一刻を争うということだった。


 「……馬鹿なことをしたものだな、命を粗末にするな」


 少し息を吸い、解呪の呪文を唱え始めた。

 一言、綴っていくほどに呪いの印が濃くなっていき、生き物のように蠢き出す。

 少女は苦悶の表情を浮かべ、離れようとする。

 それを片腕を腰に回し、作業を続けた。

 詠唱の終盤に差し掛かると、蠢いていた印は首元から浮き出し、次第に離れていく。

 もう痛みもないはずだが、苦悶に満ちていた表情は絶望の色に染まっていった。


 「や、 にげ……て」

 

 空中に浮かぶ呪いは、巨大な蛇の影のような形へと変貌していき、魔王に向けて息を吐き出す。

 言って間違えれば、その時点で死に手をかけてしまうことは誰の目にも明らかだったが、彼は眉一つ変えずに、銃を影へと向ける。

 先ほどまで命を絶とうとしていたそれで、命を繋ぐべく前を見据えて。

 そのまま寸刻、両者はにらみ合ったが動き出したのは蛇の方だった。

 喉元に向けて、牙を光らせ飛び掛かってきた。

 だが、それが届くことはなかった。

 すでに弾丸が喉に刺さっており、周囲には火薬の匂いが微かにしている。

 少女は事態が呑み込めておらず、霧散する影と魔王を交互に見ていた。

 

 「えっ」

 「終わったぞ、 今後はこんな事はするんじゃない」

 「どうし、て、 助けてくれ、たの?」

 

 答えず、城内への扉へ向かって歩みだした。

 返す回答がなかったわけではないが、言わなくても何かが変わるわけではないと思った。

 仮に言ったところで、決して相手にはわからないものだから。

 

 「ま、って!」

 

 少女は叫ぶが、足は止まらない。

 どこから入って来たかはわからないけれど、もう会うこともないだろうと無感情にその場を後にしようとした。

 だが、次の言葉に立ち止まらずを得なかった。

 

 「私は、勇者です!」


 その言葉に、向き直り魔王は少女の顔を見る。

 この触れたら壊れそうな人間が、勇者だと、脳が理解することを放棄したように意味が分からなかった。

 そして、ふと、疑問が口をついて出る。

 

 「なぜ、勇者なのに自分を呪い、死のうとしていた」


 彼女の言葉が本当であるならば、みすぼらしいボロ布を来ている理由もやせ細っている事にも問題があるが、それよりまずなぜ自分を殺そうとしていたのかが理解できなかった。

 勇者である以上、人間の規範になれ、とは言わないがこの少女が自死を選ぶ何かがあるならば、聞いておかなければいけないと思った。

 その時からだろう、自分の世界が少しずつ変わっていったのは。

ぽつりぽつりと話し始めた内容を、頭の中で整理していく。

生まれた時から人の近い未来が見える能力があり、それを両親以外からは忌み嫌われて生きてきた。

そして、数年前に国からその力は勇者としての力だと認定を受け、魔王討伐の旅を任されたという。

魔王は眉間の間を指で軽くつまみながら目眩を感じた。


「何百年経とうが、変わらないということか」


この大陸では勇者になる方法は2つある、国から勇者と認定されるものと教会で勇者としての申請を行う方法である。

後者は自発的なため、その後どうなろうとも自業自得な部分があるが、前者は半強制的な認定なため本人に選択権などない。

勇者になったところで、受けられる恩恵も肩書きのみとなっているため、魔王討伐のために体良く追放されたと言っても変わりはない。


「それが何故自分を呪うに至ったのか」

「行く先々で、人の未来を、見てしまって、それで......うぅ」

「なるほどな」


話の最初の方でも、両親以外からは忌み嫌われたと言っていたのを思い出した。

つまりは能力を制御出来ず、見えてしまったことを悪気なしに言ったりしてしまい、それがトラブルに、繰り返し繰り返し......


「想像しただけでも頭が痛いな」

「うぅ......ごめ、なさい」

「悪くないのに謝る必要は無い」


辛くなって自分を呪う、というのは行きすぎだとしても分からなくはないと思った。

戦う力など持っていなさそうな目の前の相手をもう一度見つめ、そして軽く溜息を吐いて中庭から出ようと歩を進め始めた。


「え......」


話し終えたら殺されるとでも思っていたのか、少女は唖然として立ち尽くす。

それを感じ取ったのか、魔王は扉の前で1度止まり、声を掛ける。


「出口なら突き当たりを左に行けば正門に行ける。 そのまんま真っ直ぐ行けば祭りの最中の街へ出れるだろう」

「わ、わたし、ゆう、しゃなの、に?」

「望んでなったわけでもなかろう」


手をやる気無しに振ると自然に扉が開く。

魔王の前まで行ったが、力なく勝てなかった。そう言えば勇者として役目を果たしたと見なされるだろう。

そう思ったが、勇者はまだ言いたいことがあるようで声をかすれさせ続ける。


「あな、たを、たおさな、いとかえれ、な、い」

  「帰れない?」


  聞くと、勇者になるに辺り両親を実質的な人質に取られたらしい。

  能力が国に害を及ぼす可能性がある場合、親族やそれに近しい関係の者を監視し牙を剥かれたら処分する等はよくある話だ。

  未来予知が本人にその気がなくとも制御できないのならば、他国に悪用されることもあるだろう。

  

  「どこまでもいつまでも腐っているな」

  「だから、 あなたをたおさないと」


  いつの間に出したのか、短刀を両手で構えながら近づいていく。

  魔王はその姿を見ていなかったが、気配で感じていた。


  「そんな震えていて、殺せるのか?」


  衣擦れの音で相手が極度の緊張下であることがわかる。

  戦闘経験はあるのだろうが、力不足なのは明らかだった。

  勇者自身も重々承知なのだろう、もはや敵意ではなく恐怖心で満たされた表情がそれを語っていた。

  

  

  

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