僕の手から出る電波が家電を壊しちゃうんです
「ああっ。またか~」
僕は思わず叫んでしまった。そして、炊飯器の内釜の中の、研いだばかりの米を悲しい思いで見つめた。
ご飯を炊こうとして炊飯器のスイッチを入れた途端、「バチン」という異音がし、それきり炊飯器はうんともすんとも言わなくなってしまったのだ。液晶画面も真っ暗なままだ。
実は、今に始まった事じゃない。数ヶ月前のある日突然、パソコンが起動しなくなってしまったのを皮切りに、近頃我が家の家電製品が次々とお亡くなりになっているのだ。
まあ、どれも10年近く使ってきたものばかりだし、買い替え時と言えばそうだ。だけどこうも立て続けだと、家計を圧迫する事夥しい。おかげで最近は、食費を抑えるためにカップラーメンの日々が続いていた。身体に悪い。今日はせっかく久しぶりに米を食べようと思っていたのに。
生憎、カップラーメンの買い置きがなくなっている。近所のコンビニまで買い出しに行かなきゃいけない。僕は溜息をつきながらサンダルをつっかけ、苛立ち紛れに乱暴に玄関の戸を開けた。
「あっ!」
「あ! あっ!」
勢い良く開けたドアが、ちょうど玄関前にいた誰かにぶつかった。見るとそれは、お隣の一人暮らしのお婆ちゃんの所に通いで来ているハウスキーパーさんだった。回覧板を回してくれたり、お婆ちゃんのお使いでおすそ分けを持ってきてくれたりするので、よく顔を合わせている。
「す、すいません! すいません! ちょ、ちょっとぼんやりしてて……。あのっ……」
残念ながらコミュ障かつ女性が苦手な僕は、こういう咄嗟の場合にテンパる事必至だ。だけどハウスキーパーさんは人好きのする笑顔を見せ、
「大丈夫ですよ、ちょっと肩が当たっただけです。私こそすみません、大声出したりして」
と、逆に気を使ってくれた。
その優しさにどう返せば良いのか分からず、僕は思わず顔を伏せてしまった。
「あの、すみませんが」
「はっ、はい!」
「ちょっとお聞きしたくて伺ったんですが……。ブレーカーどこにあるか教えて頂けませんか?」
「え、あ、はい。ブレーカー?」
「ええ。私うっかりしてて、ブレーカーが落ちちゃったんですけど、どこにあるか分からなくて」
「あ、えっと。このマンション、ちょっと分かりにくい所にあるんですよね! あ、ぼ、僕やります」
「すいません。お手数おかけして……」
僕にしては頑張った申し出だ。だけどブレーカーはかなり高い位置にあるので、小柄なハウスキーパーさんじゃあ大変だし、やってあげないと何だか悪い気がしたのだ。
ハウスキーパーさんはお隣に僕を案内した。無駄に背だけは高いのが役に立ち、僕は難なくブレーカーのカバーを開いてスイッチを押し上げた。カチッ。
「……あれ?」
部屋の電気がつかない。何度やっても、スイッチが勝手にオフになってしまう。
「……壊れてるのかなあ」
「あ、もしかして……」
ハウスキーパーさんは、部屋中あちこちの家電を何やらいじくりはじめた。テキパキした動き。僕は思わず見とれてしまった。
「よし! これで多分大丈夫。すみません、もう一回お願い出来ますか」
そう言われて我に返り、スイッチを入れてみると今度は上手くいった。
「やっぱり、漏電してる物があったみたい。どうもありがとうございます、助かりました」
ハウスキーパーさんは微笑んだ。
「家電とか、お詳しいんですねぇ」
女性は電化製品に弱いという自分の偏見を少し反省しつつ、僕は感心して思わずそう言った。
「ええ、家電量販店で働いてた事があって。修理の受付とかやってたんですよ」
「へえ。僕は家電とは相性が悪いみたいで……。最近次々に壊れちゃって困ってるんですよ。さっきも炊飯器が……」
何気なく口にした一言に、ハウスキーパーさんの瞳がキラリと反応した。この人もしかして、家電マニア。
「よろしければ、ちょっと見てみましょうか? 」
彼女は身を乗り出してきた。
「……ちゃんと動きますねえ」
ハウスキーパーさんは首を傾げた。僕も、狐につままれた気分だ。
さっきはどんなにスイッチを連打しても反応のなかった炊飯器が、ハウスキーパーさんが電源を入れた途端、米を炊き始めたのだ。僕はオオカミ少年の気持ちが何となく分かった。
「あ、あの、さっきは全然ダメで……」
何かものすごく悪い事をしたかのようにしどろもどろになる僕に、ハウスキーパーさんは優しく微笑みかけてくれた。本当に家電量販店の人みたいだ。
「そういう事って、結構あるんですよね! 他にも壊れているもの、あります?」
「は、はい。実はパソコンが……。それから電子レンジにコタツにドライヤー、あ、掃除機も! 後は……」
「――えっ!? ちょ、ちょっと待って下さい」
ハウスキーパーさんは、訝しげに僕を見た。
「それ、いつ壊れたんですか?」
「えっと、最初はパソコンで……、2,3ヶ月前です。それから……」
僕がだいたいの日付を並べると、ハウスキーパーさんは妙に真剣な顔つきになった。
「……変ですね」
何だか重々しい口調だ。
「変?」
「ええ。これだけ沢山の家電が、全てここ数ヶ月の間に壊れているんですよね。偶然にしては出来過ぎじゃありませんか?」
「ええ……、まあそうですけど……、運の悪い偶然と言うしか……」
「偶然じゃないかもしれません」
「え?」
「実は、稀にそういう人がいるらしいんです……」
ハウスキーパーさんは声を潜め、内緒話をするように、顔を少し僕に近づけた。
「――手から、そういう電波を出す人が」
「電波!?」
僕の心臓が音を立てて鳴っている。怖い。「そういう電波」ってどういう電波なんだろう。
「そうです。電波です。それが電化製品なんかに干渉して誤動作させたり、壊したりするんです」
ハウスキーパーさんは、妙に自信たっぷりだ。それはどこ情報なんだろう。
「そ、そんな。電波なんて僕困ります。どうしたら……。あ、そ、そうだ。病院……」
病院に行って診てもらおう。だけど、何科を受診すれば良いのか。身体の内部から電波が発生してるなら、やっぱり内科? まあ、とにかく行って症状を説明すれば……、
『先生、僕の手から出る電波が家電を壊しちゃうんです』
いやだめだ。受診する科をお間違えですよと言われるに決まってる。
「これは……、ミステリーですね!」
必死に考え込んでいた僕は、ハウスキーパーさんの声に驚いて顔を上げた。
「えっ? ミステリー?」
「そうです。考えてもみてください。電波が出始めたのは、数ヶ月前。それ以前は、こんな事無かったわけですよね。これはミステリーですよ!」
ハウスキーパーさんの表情が生き生きとしている。この人たぶん、ミステリーマニアでもある。
彼女は僕の事などそっちのけで、腕組みをしてぶつぶつ独り言を言い始めた。
「ありがちなのは、宇宙人によるインプラント……」
きっとSFも好きだろう。
「呪い……。または何らかの組織による陰謀……」
オカルトとスパイ小説も。
そして彼女は、人差し指を立てる決めポーズらしきものを取りながら、僕にも充分予想できたセリフを放った。
「よし! 私達で原因を突き止めましょう!」
「では、検証を開始します」
ハウスキーパーさんは、真剣そのものだ。
近所の駅前にある、大型家電量販店。「検証」の場としてここを提案したのはもちろん、ハウスキーパーさんだ。
彼女は僕の家の壊れた家電の数々を、動作確認した。驚いた事に、それらは全て正常動作したのだ。確かに壊れていたはずなのに。しかし再び僕が操作しようとすると、やはり動かなくなってしまうのだった。これでは僕も、「電波説」を信じない訳にいかなかった。
「もっと色々な家電で検証してみる必要がありますね」
ハウスキーパーさんがそう言うので、僕達はこの量販店にやって来たのだった。
「じゃあまず、これからやってみましょう」
一階の入り口を入ってすぐの場所。スマホが展示されている。ハウスキーパーさんはその一つを手に取り、僕に渡した。
「は、はいっ……」
些か緊張しつつ、僕はその最新スマホのデモ機をあれこれ操作してみた。
「あ……」
突然、スマホの電源が切れてしまった。起動しようとボタンを押しても、反応がない。
僕は黙ったまま、スマホをハウスキーパーさんにそっと手渡した。彼女がボタンを押すと、スマホは何事も無かったように起動した。しかし再び僕が操作しようとすると、電源が落ちる。僕とハウスキーパーさんは顔を見合わせた。
「これは……」
ハウスキーパーさんは腕組みをして考えこんだ。
「他の家電も試してみましょう」
二階、パソコンのコーナー。僕達はさらなる検証を行った。しかし、またしても同じ結果になった。
電源が落ちる。液晶が真っ暗になる。異音が発生。フリーズ。現象は様々だけれど、とにかく壊れてしまうのだった。しかしハウスキーパーさんや店員さんが操作すると、何の問題もなく動作する。
その後も各階を回り、色々な家電で検証してみた。洗濯機に食洗機。マッサージチェア。デジカメ、FAX、ゲーム機。結果はみんな同じだった。
「これは……、本物だわ」
ハウスキーパーさんは言った。なんだか海外ドラマの翻訳みたいなセリフだなと僕は思ったけれど、黙っていた。
「検証はもう充分ですね。あまり長居して、敵に感づかれたら大変だわ。そろそろ行きましょうか」
いつの間にか敵の存在が明らかになっている。
一休みしようという事で、僕達は量販店の隣にあるカフェに入った。僕はコーヒー、ハウスキーパーさんはオレンジジュースを前に、作戦会議らしきものを行う。
「数ヶ月前……、パソコンの壊れた正確な日付は分かりませんか? それから、その頃何か変わった事が無かったか。思い出せませんか?」
「ええと……、そう言われても。ずいぶん前の事ですし……」
「コツがあるんですよ」
ハウスキーパーさんは人差し指を立てた。
「パソコンが壊れた時に遡って、思い出すきっかけになるような事を探すんです。パソコンが壊れた時は、何をしていましたか?」
僕は記憶を辿った。それなら思い出せる。印象的だ。
「ネット小説を読んでたんです。それが、良いところで突然パソコンの電源が落ちて……。続きが気になってしょうがなかったので、よく覚えてます」
「なるほど。それで、パソコンの電源が落ちて……、次に何をしましたか?」
「しばらくあれこれいじってみたんですけどダメで……。確かカスタマーサポートに電話して……」
「それだ!」
急に身を乗り出したハウスキーパーさんの勢いで、僕は思わず仰け反った。
「電話したなら、通話記録がありますよね!」
「あっ。確かに」
僕はスマホを取り出した。幸いにも、今の所は故障を免れている。僕は通話履歴を辿った。
「えっと、ありました! ○月○日……、午後7時半頃です」
「○月○日ですね。他の家電が壊れた日はどうでしょう? やっぱり、販売店やカスタマーサポートに電話してませんか?」
ハウスキーパーさんの言う通りだった。僕は、ほぼ全ての家電の壊れた日付を特定することが出来た。彼女はそれを紙に書き出してリストを作った。
「じゃあ今度は逆に、パソコンが壊れた時から時間を遡って、何か電波の原因になるような事が無かったか考えてみましょう。○月○日午後7時半までの、その日の行動を思い出せます?」
「ええと……」
僕はスマホのカレンダーを確認した。
「○月○日は水曜日ですよね。それなら、朝から普段通り仕事をしていたはすです。それで……、あっ」
ハウスキーパーさんの言う通り、きっかけがあると記憶は急に鮮やかになった。
「その日って、田中さんのお婆ちゃんに肉じゃがを頂いた日です」
ちょうどパソコンを起動した時、お隣の田中さんのお婆ちゃんお手製の肉じゃがを携えて、ハウスキーパーさんが僕の部屋を訪ねたのだ。後で、食べながらパソコンに向かってWEB小説を読んでいた事を覚えている。
「あ、私が最初にご挨拶に伺った日ですね」
その週から来る事になったハウスキーパーさんは、田中さんのお婆ちゃんが留守の時にも出入りするので、怪しまれたらいけないと近所に挨拶回りをしたそうだ。これから毎週水曜日にはお婆ちゃん宅を訪問するのでよろしく、と僕に挨拶し、ホカホカの肉じゃがの入った器を渡してくれたっけ。
だけど、肉じゃがと電波が関係あるとは思えない。
僕はそれ以前の数日間の記憶を辿ったけれど、結局、特に変わった事は思い出せなかった。
「変わった事があったなら、覚えているはずです。覚えていないというのは、そんな事は何も無かった、と考えていいと思います」
ハウスキーパーさんは言った。
「確かにそうですね」
だけどこれじゃ結局、何が電波発生のきっかけになったのか分からない。きっかけが分からなければ原因も分からないし、そうなれば当然、電波を止める方法も分からない。
僕はこの先、電化製品を使えない人生を送る事になってしまうのだろうか。確か米国にそういう人達が暮らす集落があると何かで読んだ事があるけれど、僕もそこへ行くしかないのか。当初考えていたよりも重大な事態だと、この時になって初めて僕は気づいた。
……あれ?
何気なくリストを眺めていた僕は、ふとある事に気づいた。
もう一度日付を一つ一つ確認していくと……、やっぱりそうだ。
――水曜日。家電が壊れた日は、全部が水曜日なのだ。
そして水曜日と言えば……。
僕は、向かい合って座っているハウスキーパーさんをそっと伺った。窓の外を眺めて考え込んでいる様子だが、さっきから時々、僕の方をちらちらと盗み見ている事を僕は気づいていた。
これは偶然だろうか。いや。正確に全部は思い出せないけれど、家電が壊れた日は水曜日というだけでなく、もっと言えば彼女が僕の部屋を訪ねた日じゃなかっただろうか? 改めて考えてみれば、彼女は何かと僕の部屋を訪ねる事が多いけれど、あれは本当に田中さんのお婆ちゃんのお使いだったんだろうか……?
「よし!」
それまで考え込んでいたハウスキーパーさんが突然声を上げたので、僕は身体をビクッと震わせた。
「電波の原因を探るのはひとまず置いておいて。別の角度から考えてみませんか」
「べ、別の角度と言うと……?」
「今後の事です」
「今後の事?」
「そうです。今の所、電波を止める事は出来ません。それならいっそ、電波を何かに利用できないでしょうか?」
「そんな。利用って言ったって……。電化製品を直すんならともかく、壊すだけですよ。利用する方法なんて無いんじゃないでしょうか」
「そう、例えばですよ……」
ハウスキーパーさんは身体を乗り出した。
「敵の本拠地に侵入してメインサーバーを破壊するとか……」
「え、ええっ!?」
やっぱり。僕の勘は正しかった。
彼女はきっと何かそういう組織の手先で、何らかの方法で僕を電波体質にして……、そう、きっと肉じゃがに薬か何かを盛ったに違いない。そして僕を言葉巧みに誘導して、組織の工作員か何かにしようとしてるんだ!
「ちょっと待って下さい!」
珍しくハッキリと言葉を発した僕に、ハウスキーパーさんは驚いたようだ。
しかし、ここで彼女の口車に乗っちゃいけない。組織のコマとして利用された挙句、最後にははかない死を迎える波目になる。
「は、」
ハウスキーパーさん、と呼びかけようとして、僕は思いとどまった。
それはいくらなんでもちょっと失礼だ。だけど僕は彼女の名前を知らない。どうしたら良いんだ。
「あ、あのっ……!」
「はい?」
「僕にはもう分かってるんです。あなたが……」
「えっ」
ハウスキーパーさんの表情が変わった。
これは。やっぱり。
僕はごくりと唾を飲み込んだ。
「実は、あなたが……」
「じ、実は私も!!」
僕とハウスキーパーさんの声がかぶった。と、ハウスキーパーさんは突然僕の両手を取ると、しっかりと握りしめたのだ。僕の心臓が音を立てて跳ねた。
その時だ。
――バチン! 突然大きな音がして、辺りが真っ暗になった。
「!?」
僕は慌てて周りを見回した。カフェ店内の明かりは全て消えている。しかし、通りに面したガラス張り部分から外を見ると、停電しているのはこのカフェだけらしい。向かいのレストランは、まだ夕方だというのに看板の灯りを煌々と灯している。
この店だけ。もしかして、僕が……!?
「やだ~」
「停電かぁ?」
「申し訳ありません、お客様……」
「どうする~」
ザワついた店内。ハウスキーパーさんが何かモゴモゴと呟いているが、店内の騒動にかき消されて聞こえない。僕の頭はカアッと熱くなっていた。鼓動がどんどん早くなる。まずい、なんだこれは。とにかく逃げるんだ。しかし彼女にしっかりと手を掴まれている。振りほどけば良さそうなものだが、何故か僕はそうできなかった。僕と彼女の間だけ、時間が止まってしまったかのようだ。
「あ、す、すみません。急にこんなこと言われても困りますよね……」
ハウスキーパーさんが、僕の手を離した。よし、今だ! 逃げ……
パッ。いきなり店内が明るくなった。
「あ……」
しまった。タイミングを逃した、と思ったその時だ。
「あれ~? 久しぶり~」
間の抜けた声が響いた。声のした方を振り返ると、小学校からずっと一緒だった幼馴染の吉田が、隣のテーブルに座っている。
「停電してたからちっとも気付かなかったな~。元気かぁ?」
僕の人生の一大ピンチに、彼特有のノンビリした話し方で割り込んでくる吉田。昔から空気を読めない吉田君で有名だったが、今もちっとも変わらない。
「デートか? いいなあ~」
吉田がハウスキーパーさんの方を向いて、にこにこと人懐こく笑った。
「彼女? 紹介してくれよ~。可愛いじゃんか~」
「よ、吉田、やめろよ! 失礼だろ、まったくお前は思った事をすぐ口に……」
「ち、違います! まだ……」
僕とハウスキーパーさんは同時に喋り出し、思わず顔を見合わせた。
ハウスキーパーさんの顔は、真っ赤になっている。僕も、自分の頬が熱くなっているのが分かった。
「……えっ」
「まだ?」
「えっ?」
「え? え?」
「ああもう、二人だけで電波飛ばすなよぉ。じゃあ俺行くけど、また近いうち飲もうな~」
吉田はそう言い残し、飲み干したコーヒーのカップを持ってさっさと席を立った。
残された僕とハウスキーパーさんの間に、しばしの沈黙……。
「は、ハウスキーパーさ……」
「お隣さ……」
またしても同時に喋り始めてしまった僕達は、顔を見合わせた。
「と、とりあえず……」
「自己紹介から、ですね……」
どちらからともなく、微笑む。
初めて見た時から思っていたけれど、笑った時に出るえくぼがとても可愛い――
バチン! 大きな音がして、店内のコーヒーメーカーから湯気が吹き出した。