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槍呪(ワイバーン)  作者: クレヨン
スクール1年編
8/31

8

 『部屋』


 「なんだと!1年のくせに!」



 

 「ラット先輩、俺は黙まらねっす!」




 「貴様!」

 「やめて!」




 「ライフ、やめろ!」

 「しかし、夢ばかりでルーシー先輩が可哀想っす!」



 いきなりだが、少し大変になっている。

 レース回顧……つまり、俺達やラット先輩達が飛ぶ記憶盤を観ていたのだが……

 ラット先輩の飛行能力……つまり、念についてライフが意見したんだ。

 そして……



 「ラット先輩は、ローカルで飯食うべきです」



 

 ライフは言い放ったからだ。

 


 

 カズキ、止めないの?

 


 

 ……ごめん、止めれない。

 どちらに今付けば、そちらに味方したと思われる。

 



 だめ!

 入って!

 必ず入って!



 ……わかったよ。

 




 2人共止めよう。

 ここでケンカしても、意味がないです。

 穏便にとは言いません。

 だけど、伴侶のことを思って下さい。




 「カズキ!てめー」




 ぐっ!

 胸ぐらをつかまれた。

 



 やめて、ライフ!



 

 「ライフ、いい加減にしろ!」




 パーン!




 渇いた音がする。

 サクラ先輩が、ライフの頬を張った!

 思いっきり……だ。  

 俺は何故だか、動けない。 

 時間が止まったように……



 

 「ラット、あんたもいい加減にしてよ!」



 ルーシー先輩の甲高い声に、ラット先輩は自分を思い出したみたい。

 ルーシー先輩……瞳から大粒の涙が落ちてる。

 私はルーシー先輩に駆け寄った。




 『30分後』



 部屋のみんなが、静かにしている。

 空気は重い。

 原因は、おそらくライフだ。

 


 ……カズキ、本当にライフだと思う?



 えっ!




 カズキ……原因は……おそらく!




 「カズキ、キミは凄いな」

 



 えっ?

 あっ、ありがとうございます。




 「カズキ、お前は凄いよ」




 ……

 俺がどうしたんだ?




 やっぱり!





 はっ?





 「カズキ君、アナタは凄いよ。アナタのその才能にラットは焦っているのよ」

 「カズキ、改めて記憶盤で観ると、お前達が恐ろしいんだ。そして、悔しい」




 「カズキ、お前は俺とは違う。お前は上へ行けばいい」




 まさか!

 原因は……



 

 『1時間前』


 時間は午後7時、俺達は記憶再生室にいる。

 そこには何台もの記憶再生機があり、過去のレースの記憶が随時観ることが出来る。

 



 記憶盤に記憶再生機、科学の力の賜物ね。

 魔法では出来なかった技をするなんて……




 気難しいことなしだよ。

 



 「よし、みんな揃ったな!」

 


 

 「はい、早速はじめましょうか」




 

 視聴室には俺達の部屋住人だけだ。

 あまり利用者はいない。




 時間的に暇なだけよ。

 今はご飯やお風呂が先でしょ。



  昼間も暇だったような……




 「ラット、私達の戦いは見たくないわ……」

 「ルーシー、観よう。観て、研究しよう」

 「……」




 『精霊暦2055年 4月12日

 第7レース

 条件戦

 18歳以上20歳以下

 レベル2

 天候  晴

 距離  5000m

 風向  西

 風速  7m       』



 

 ……アリー、レベル2って!




 静かにしましょう。




 「レベル2、まだ私達は1着はナシ!」

 「……今からだ」




 「ウソだ」

 「ライフ、しっ!」




 スタートは、正常だ。

 悪くない。




 うん、10人中4番手……

 好位ですよ。




 「……ああ」

 「……」




 「全体的にペースは……ゆっくりだな」

 「ほとんどが、最後でスパートするタイプっす」




 ……

 ……




 カズキ?




 ……

 ……




 「レース中盤、後ろの仕掛けが速かった」

 「ええ、ペースが遅いのをみんなが、気付いたのよ」

 「!」

 「ラット、アナタは動かなかった」




 「ルーシー先輩は、ラット先輩に指示を出していたんですね」




 「……ええ」



 

 「しかし、動く気配はないっす」

 「どうして、動かなかったんですか?」




 ……アリー

 



 カズキ、どうしたの?



 あれは動かないではない。

 動いている。

 先輩なりに、前へ動いているんだ。




 え?

 でも……まさか!




 「レース最後、ルーシー先輩は……8着」

 「……」



 

 「ペースが向かなくてね。完敗だった」

 「ラットどうして、動かなかったの?」

 「動いたさ。しかし、ペースと展開に負けた」




 ……アリー

 正直、このレベルでこの負けはあり得ない。

 



 ……




 「カズキ、キミの目からは僕達のレースの改善点はあるかな?」



 

 ……どうして、俺に聞くんですか?




 「キミは凄いからさ」

 「次に、カズキ君達のレースよ」




 『精霊暦2055年 4月13日

 第3レース

 処女喪失戦 

 天候  晴

 距離  5000m

 風向  西

 風速  5m      』



 「スタートだ……一斉に前に行く」

 「少し、速いわ」




 「アリーは4番手、ルーシー先輩と同じだ」

 「ちなみに、距離も同じっす!」

 



 ペースは速めに感じた。

 ねえ、アリー。




 ……はい、一人の魔女が逃げ抜けしてますよね。

 それにみんなが、ついて行く指示があったんだと思います。




 え?

 アリー、ペース上げる指示なんか、俺に出したかい?




 ……出してないよ。




 「……」

 「!」




 「成り行きなのか?」

 「カズキ、お前成り行きでこのペースなのか!」




 そうだ!

 ライフ。




 「な!」




 あっ、コイツかアリー!

 併走しようと追いついて来たのは。




 うん、風壁が厄介だからトラップ30を仕掛けた相手よ。




 「え?」

 「アリー!キミは知っててトラップをかけたのか!」




 はい、この魔女に付かれるのは厄介でした。

 だから気付かないフリをして、反則を仕掛けました。




 「!」

 「すげーよ、アリー!」




 ライフありがとう。



 

 レース中盤以降、展開はこのままでした。

 後はアリーの1000m切ったの合図で、スパートしました。

  

 


 逃げ抜けした魔女を追いつくことを考えて、ゴールポケットをしました。

 ほとんどの魔女達は、速めのペースに付いて行けずにスパート出来ませでしから。

 



 あっ、ここで先頭になったんだ。

 ……こんなに、差をつけたのか!




 うん……




 「……」

 「……」




 「……」

 「……とにかく、部屋に戻ろか」




 『1時間後』



 「カズキ、お前は俺とは違う。お前は上に行けばいい」




 まさか!

 ……原因は




 そう、私達よ。



 !

 



 「カズキ君、キミは気づいてない……だけど、キミのレベルは高いの!高すぎるの!」

 「……くそ!」




 「カズキ、お前は明らかに違う!」

 「だから、みんなが敏感に反応したんだ」

 



 ……アリー




 そういうことなの。

 カズキ!アナタは凄いのよ。

 だから、こうなった。

 私も、カズキが怖い。

 私なんていなくても……




 「違うな、アリー」




 え?

 サクラ先輩!




 「アリー、バック30を仕掛けたわね。それも展開を予測して」



 

 「それも、一瞬でな!」




 ……




 「つまりだ……君達は僕達とは違うんだ。それだけだ」

 「アリー、カズキ、気にしないで……はっきり言えば悔しいわ!でも、アナタ達を応援する!」



 ラット先輩、ルーシー先輩



 「アリー、カズキ、私もだ!お前達は強い!だから、お前達の凄さを知らしめろ!」

 「俺もだ。カズキ、お前は候補の時からすごかった。そして、アリーと伴侶の契りを結んで、凄いから狙えるに変わった!」



 サクラ先輩、ライフ



 「ルーシー、僕はやり直す。ローカルだ。全てを見直して、ローカルからやり直そう」

 「ラット!」


 

 

 「ラット先輩、スミマセンでしたっす!」




 「いや、いい。全ては僕の一人よがりだった」

 




 ……高みに行けるの私とカズキは!




 「行けるさ!いや、行け!」



 サクラ先輩……俺達、やります。

 ここまで応援されたら、やらないと!

 アリー、今は進もう。 

 



 ……うん!

 みんな、ありがとうございます。

 私達、行けるまで行きます!

 


 

 「イケイケ!」

 


 

 ……そろそろ先生の見回りが来る。

 



 ウソ、本当だ。




 形だけでも、してますか!




 「賛成!」




 なんとか、丸く収まったね。




 ああ、しかしプレッシャーだな。




 そうね。

 だけど、みんなの応援に応えないとね。

 



 そうだね。

 ……うん、応えよう。

 みんなの期待に!




 頑張ろうね、カズキ!




 わかったよ、アリー。

 そうだ、一つ聞いていいみんな

 俺達のレース観てたんですよね。

 みんなで観る前に……



 「俺とルーシーは観たぞ、実際にな」

 「解説を間近で聞いて、驚いただけよ」




 「俺とサクラ先輩は聞いた」

 「ああ、レニーラ先生に」




 レニーラ?

 あのエルフの先生に!




 へえ……



  



                 つづく


 



 

 

  


 

 


 

 

 



 

 






 


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