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レースが終わり、俺はアリーを地上に下ろした。
呪いを解かれ、俺は人間に戻っている。
アリーは表彰式に出ている。
俺はアリー待ちだ。
男衆は表舞台に立つことは……ない。
裏方扱いだ。
ヒロインとして、魔女を持ち上げる……
だから、男は余計なのだ。
お疲れ様!
カズキ、ありがとう。
魔女候補を卒業できた。
これからは、私も魔女!
ステップアップだ。
そして、本当の戦いが始まる。
うん!
今からどうする?
表彰式も終わったし……
カズキ、帰る?
そうだね……
どうしようか?
「そこの2人!」
えっ?
あっ!
ん?
……ゴブリン!
入場許可証がある。
名前は……スラト
「いやぁ、強いねぇー、オレはスラトだ」
あっ、ありがとうございます。
……
こら、カズキ!あいさつ!
……えっ?
……あっ、ありがとうございます。
スミマセン、うっかりしまして……
「ハハハ、慣れっこさ」
スラトは、笑い飛ばしている。
俺は少し反省した。
カズキ、ダメよ。
ごめん……
「気にするなって……気にし過ぎは……」
わかります。
スラトさん。
それこそ、気になるんですよね。
「ああ……利口な男衆だ」
いいえ、バカですよ。
一つ前に気付かないと……
ところで、スラトさん
私達に何ですか?
「そうそう、取材したくてね」
取材……ですか?
俺達を!
「俺は、記者でな」
あっ、だから取材なんですね?
「まあ、そうだ!いいよな?」
そうだって!アリー
俺は……
「おいおい、俺はお前等としたいんだ」
そういう事なんですか!
カズキも、インタビューあるの?
「ああ、魔女と男衆は一つだからな」
……変わってますね。
普通、男衆は裏方なのに……
アリーの華より二人だなんて。
俺なんか、蛇足です。
あらそう?
魔女は男衆がいないと何も出来ない。
つまり男衆にも、取材の権利はあるはず。
男衆は魔女を盛り立てる役さ……
裏方でいい。
「なるほど、男衆には自由がない!いつも魔女に縛られた時間を過ごす。
しかし、それにあった金が貰える……2対8の世界だろ?」
2対8……配当金ですか?
魔女2、男衆8の!
「そうさ、自由がない代わりに、貰えるモノは多い」
それが、どうしたんですか?
お金は関係ないとは言いません!
だけど、アリーといたいのは……
スラトさん、私は妥当だと思います。
魔女と偉そうに、言ってますが……
男衆の力が大きく左右する世界です。
魔女は男衆に、愛想尽かされたら終わりです。
それくらい貰って、普通ですよ。
「ほう、なかなか良い心がけだ」
……
「まあ、少し時間をくれ。『みどり』で取材だ。レースの回顧と、今後の予定、お前等の簡単な紹介だ」
みどり……競技場内の大きなカフェですか?
俺は利用したことない。
私もよ。
なんだか、美味しくなさそうだし……
「ハハハ!当たりだ。不味いぞぉ!とにかく、取材する。まあ、ついて来い!」
アリー、行く?
うん、行こう。
私は別に構わない。
わかったよ。
俺もついて行く。