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 アリー、君は魔女になりたかった理由は?



 魔女になりたかった理由?

 空をかけることができるからよ。

 カズキ、アナタが男衆になりかったのは?



 俺?

 ……なんとなく。

 一つ理由をつけるなら、その能力があった。

 ワイバーンになれる……


  

 ……。



 アリー?

 どうして、黙るの?



 カズキ、私がアナタと『伴侶の契り』を交わしたのは、アナタと夢を見たかったからよ。

 

 

 ありがとう、アリー

 伴侶の契り……俺の想いを受けてくれて

 


 ううん、カズキ

 アナタとなら、笑える。

 アナタとなら、泣ける。



 伴侶の契り……俺達は結婚をした。

 結婚をしない女と男は、空を飛べない。


 

 魔女と男衆が、空を翔るための婚礼

 それが、伴侶の契り!



 魔女と男衆が、想いを共有する。

 二人はどこにいても、心は同じ。

 だから、声が聞こえる。


 

 だから、想いが伝わる。




 アリーの夢は何?

 G1制覇かい?



 ……わからない。

 ただ……



 ただ……

 


 カズキといたい。



 俺は……アリーを知りたい。

 理由は、アリーを知らないから。

 俺の知っているアリー、それ以外のアリーを知りたい。



 私もカズキを知りたい。

 カズキ、これから私達の話を聞いてもらおう。



 うん、一人でも多くの人に、この世界のこと。

 魔女レースのこと。

 そして、何より俺とアリーのこと。



 ……そうね。

 さあ、開こう。

 私達の世界、私の今、私達のこれから……

 


 うん……一人でも多くの人に、知ってもらおう。



 伴侶の契りのもと、皆に教えよう!

 魔女と男衆の……物語!

 



 『槍呪ワイバーンを!』

 

 

 


 『オウカ競技場 

 聖霊暦2055年4月13日

 午前10時』


 

 私は体重測定室にいる。

 ここでは、私の体重を計っていた。

 ここで計ったものが、掲示板に載る。

 体重計は敵だ。

 体重計は、嘘をつかない。

 


 アリー、いいかい?

 キミは軽いじゃないか。

 女性に体重は失礼だけど……

 


 体重は軽くてもダメ、もちろん重いのも。

 私の体重は……



 「アリー!体重計の前に!」



 ……。

 計るわね。



 「アリー、43・0㎏」



 これが、私の体重……

 軽いのよ。

 だけど、身体が小さいの。

 身長は、150㎝ないのよ。

 つまり……チビ。



 アリー、君が小柄なおかげで、俺は助かっている。

 男衆は魔女を浮かさないといけない。

 前に進まないといけない。

 男衆の念は、無限ではなよ。



 「体重測定終了、これより品評会へ向かう」

 


 品評会……私、まだ慣れない。

 裸同然の姿を晒すなんて……


 

 仕方ないよ。

 割りきるしかない。

 俺も嫌だ。

 アリーの肌を、他人に見られたくない。

 


 ありがとう、カズキ

 品評……会か。

 簡単に言えば、品見せみたいなモノ

 レースで勝てそうな、魔女を見定める儀式

 槍呪ワイバーンは……



 槍に乗った魔女が空を翔び、速さを競うスポーツ

 王国の公営ギャンブル

 最速の名誉を夢見る、魔女と男衆の総て

 ゴメンね、アリー

 シャシャリ出て……



 別に……

 さて、割り切りに行くわ。



 品評会、がんばれ!




 『品評会

  午前10時15分』



 簡単なステージの上に、私は……

 いいえレースを戦う魔女達が、品定めされている

 魔女……いいえ、私達は魔女候補

 まだ、魔女ではない。

 だから、こう呼ばれている。

 魔女候補と!



 アリー、このレースは、卒業がかかる。 

 ここで足踏みは出来ない。 

 扉を開こう。



 ……うん

 それにしても、恥ずかしい。

 


 ははは……



 『伴侶控え室

 午前10時30分』  



 俺は控え室なて、アリーを待っている。

 そろそろ、品評会が終わる頃だ。

 簡単に今の俺とアリーの状況を説明する。

 俺達はまだ半人前の、魔女候補に男衆の卵だ。

 半人前の俺達が、一人前になるためのレース……

 それが、処女喪失戦だ。

 このレースには、得点がついてくる。

 一着……50点

 二着……30点

 三着……20点

 それ以下は0となる。

 得点を100にすることで、処女喪失による卒業だ。

 当面はコレを目指す。

 今のところ、俺とアリーは50ポイント

 それも最初のレースで、勝利した。

 ストレートに卒業したいと思う。 



 『コンコン……』



 とうぞ



 お待たせ、カズキ

 カズキは色白な、美少年

 出逢いは、私をの絵を描いてくれたこと。

 膝を抱えて歌っていた時に、微笑んでいたこと。

 時間が止まった……

 そんな出逢いだった。




 品評会、お疲れ様!

 だけど今からが、本番だよ。

 俺はアリーの瞳を覗き込む。

 アリーの赤い瞳に俺は吸い込まれそうだ。

 綺麗な宝石を、両目にいれているようだ。

 白く透き通る肌が、真珠を想わせる。

 俺はローブを渡す。

 品評会から帰ってきたアリーは、裸同然の姿だ。

 控え室には、今日アリーが纏うローブがある。

 今日のローブは、赤色をしている。

 まるで彼女の、瞳に合わせたようだ……



 恥ずかしいよ!

 見ないで

 


 ごめん、アリー……始めようか!



 そうね。



 俺は伴侶の契りを、アリーに示す。

 伴侶の契り……

 コレを交わすと、男は右手に紋章を刻む。

 紋章は統一されている。

 右手に刻む紋章それは……槍だ。

 一本の槍……

 


 カズキ、槍を我が胸に……

 アナタの契りを!



 アリーが紋章に触る。

 

  

 私は、呪文を唱える。



 ……きた!

 紋章が、身体が……熱い!

  


 我が伴侶、カズキよ!

 我にお前の力を見せよ!

 カズキは光に包まれた。

 カズキを包んだ光は強く、熱く、激しく……

 閃光を放つ。

 閃光を放つ光は、徐々に勢いを弱め……

 光をなくしたカズキは……

 槍になった。

 私は、槍を触る。

 どこにでもある素っ気ない槍だ。

 しかし、この槍は……


 

 この槍は、アリー……いや、我が主を誘う男衆の姿!

 魔女の呪いで、男衆は槍に姿を変え……




 魔女は槍を操り、空を翔る。

 カズキ……聞こえる。

 


 うん、どう?俺のもう一つの姿は! 



 ……変!

 でも、頼もしい。

 お願い、私を助けて!



 わかった!

 アリー、俺の力を貸してやる。

 勝とう!



 うん!




 「第3レース、出場魔女候補は控え室を出よ!レース10分前!」



 さて、アリー行こう。



 うん!

 

 


 



 

 


 

 

 

 




 

 

 

 

 

 

 

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