表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
86/92

第四十五話 其ノ二

いつもの様に早く起きる。体調もばっちりだ。口笛を吹きながらフロアに降り、朝食の支度にとりかかる。

なんでこんなに機嫌がいいかって?それは……今日から大学生活が始まるから!!



『第四十五話:大学生になりました。 side S』




今日は珍しく私が起こす前に陽さんが起きてきた。私の顔を見て不思議そうな顔をしている。私の顔になんかついてるかな?


「………ご機嫌だな。」


あっ、なるほどね。多分私がニヤけてたからか。だってやっぱり嬉しいし。

機嫌のいい私は朝からちょっと豪勢にしたりして。




「陽さん陽さん。」

「………ん?」


ご飯を食べながら陽さんは首をかしげた。


「一緒に学校行きましょ?」


沈黙がやたらと長いんですけど………。しかも答えが無理って……まぁ予想はしてたけど。

そこで考えた結果、皆で行くことにした。てか無理矢理?陽さんが止める前に階段を駆け上がった。

携帯をとってさっそく電話をすることに。


『もしも〜し。』

「あっ、絵美?実はね………」




連絡網でも作ろうかな?電話で結構時間を使っちゃった。けど皆が集合した。

ここにいない龍太さんはお姉ちゃんとフランス行っちゃった。なんだかホントに龍太さんがお義兄ちゃんになりそうな雰囲気だな。





校門付近に着いたけど………人が多っ!!しかもほとんどの人がこっち見てるし!!……やっぱりマズかったかなぁ。

しかし陽さん達はさして気にもせずに進んで行く。私と絵美と綾子はただただ驚いていた。


「なんか凄くない?」

「皆からオーラみたいのが出てるのかも。」

「慣れ………じゃない?」

「「……なるほど。」」


私達も遅れまいと横に並んだ。あからさまに睨まれてる気がするけど………負けません!!




陽さんと夕食の買い物を一緒に行くことを約束して少々浮かれてたのか、その会話が新聞部に聞かれてたなんて露知らず。

教室に入るとこちらに沢山女子が集まってきてあーだこーだ言ってる。恋人ってのは隠した方がいいかなと思って、バイトの先輩だって言っておいた。これで落ち着けばいいけど。




お昼休みまであっと言う間だった。綾子と絵美とお昼を食べる約束をしてたから食堂へ向かう。

………それにしても……混みすぎじゃない?


「あの〜、何でこんなに混んでるんですか?」

「何でも佐倉に彼女がいたらしいんだよ。」

「へぇー、彼女……えぇぇ!?」


もうバレたの?まさ翔太郎君?いやいや、そんな事は無いと思うけど………。

………ん?ひとだかりの中央、陽さんと誰かがいる。なんかフランス人形みたいな人だなぁ。


「すいません、あの人誰ですか?」

「あれが佐倉の彼女らしいぞ。」

「へぇー、彼女………えぇぇぇ!?」


二度目の絶叫。てかマジであの人誰よ?今まで一回も見たことないし。じゃあ私は一体何よ?

不意にまだよく状況を把握出来てない私と陽さんの視線が合った。さっきから少し不機嫌そうだ、なんとなく。

陽さんは私の方へ向かうと私の腕を掴み、同じ場所まで私を運ぶ。視線が私に集まるのは何か変な感じ。


「………ほら、皆が知りたがってた俺の女だ。」


ちょっと陽さん!?アンタなにもこんなところで暴露しなくても!!でも『俺の女』って響き……なんかめっちゃ嬉しい。

心の中で突っ込みを入れたり、うっとりしてたりしたらいつの間にか話が進んでたらしくてまたよく状況がわからなくなった。


「………咲く羅、悪いな。」


何が?と聞き返す前に私の口は話せなくなっていた。こんな公衆の面前で………でもうっとり。

うっとりしてたらまた話を聞き逃してしまった。いつの間にかフランス人形みたいな女の人はいなくなってて代わりにギャラリーが増えてた。

こうして成り行きで正式交際を学校に発表してしまった私達。でもこれで遠慮なく学校でも一緒にいられるね。幸せ。










しかし今の私達は誰も知らなかった。直ぐにこの幸せが崩れてしまう事を………

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ