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第四十五話 其ノ一

2泊3日の温泉旅行、2日目は完全自由行動の為に皆は何をしたかは知らないけど、俺たちはのんびりと過ごした。



それから………もう帰ってきてから2週間が経過していた。その間に入学式が終わり、今日は咲羅の初登校の日である。



『第四十五話:大学生になりました。 side Y』



「ふんふ〜ん、」


鼻唄を歌いながら朝食を作る咲羅は機嫌が良さそうだ。いつもより動きが軽快だし。


「……ごきげんだな。」

「そりゃもっちろん!!なんたって華の大学生ですからね。」


焼きあげた目玉焼きは綺麗な真ん丸に仕上がっていた。






「………は?」


咲羅の言った事が理解出来ずに変な声を出してしまった。


「だからぁ、一緒に行きましょ?」

「………無理。」

「えーっ!!何でですか!?」

「……恥ずかしくて死ぬ。」

「大丈夫ですよ。私達のことなんか誰も見………ますね。」

「だろ?」


咲羅は考えこんでいる。そんなに一緒に行きたいのか?……まぁ悪い気はしないが。

「そうだ!!」


何か閃いたみたいだ。


「………なんだ?」

「皆で行けば大丈夫ですよ!!」

「ぶっ!!」


コーヒーを吹き出すのはこれで何回目だろう。あんなに目立った集団がぞろぞろと歩いてたら余計怪しいのでは?


「そーと決まったら連絡しなきゃ。」

「……あっ、おい………」


呼び止める前に走り去ってしまった。多分上に携帯を取りに行ったのだろう。諦めた俺はまたコーヒーを口にした。




「いやぁ皆で登校って久しぶりだねぇ。」

「改めて見ると濃い面子ばっかだな。」

「一番濃いのは誠治っぽいがな。」

「で、一番バカなのは翔太郎、と。」

「バカ?バカっぽいじゃなくてバカなの?」

「じゃあ一番かっこいいのは?」

「愁さん!!」

「誠治さん!!」

「陽さん!!」

「どんぐりの背くらべね。」

「…………はぁ。」


改めて集まると五月蠅いな。これでも少ないくらいなのに。実は龍太が休学届けを出して桃華と共にフランスに旅立ったのだ。少し寂しくなるな。




校門の前に着くと予想通り、いや予想以上の人がこちらを見ている。何も起きないで欲しい、頼むから。

てか歩くだけで叫ばないで欲しい。俺達は別にアイドルでもなんでもなくただの大学生なんだから。

とりあえず各校舎に別れる。俺は咲羅と愁と教育学部棟まで来ていた。


「あっ、陽さん。夕食の買い物一緒に行きましょうよ。」

「………ああ。」

「じゃあメールしますね。」


咲羅は少し駆け足で教室に向かっていった。


「仲が良いねぇ。」

「……そうか?」

「まぁ、陽が幸せそうで良かった良かった。さっ、教室行こう。」

「………そうだな。」


そうして俺達は階段をゆっくりあがっていった。












『大ニュース!!佐倉陽、熱愛発覚!?』


………なんだこれは?……号外?こんなことで号外なんか作るな……って何でバレてるんだ?

昼食の時間、愁と学食を食べてるといきなり人だかりが出来てこれを見せられた。


「ホントなんですか!?」

「何か一言!!」

「相手は誰ですか!?」


マイクが俺に向けられる。その時だった。


「相手は私よ!!」


目の前に現れた女性は……知らない人だ。

「私は宝条 麗華、経営学部の四年生よ!!」


なんか妙なのが出てきた。ブロンドの長髪をなびかせてこちらを見ている。隣にはちっこい女の子がいる。その女の子が話を始めた。


「麗華お嬢様はファンクラブ会員NO.2、更に宝条カンパニーの社長、宝条一の娘でもあります。」


だからなんなのだろう。なんだか段々ムカついてきた。


「陽様は私と結婚を前提にお付き合いなさってますわ。」


………コイツは何を言ってるんだ?妄想家か?なんだかホントにムカついてきたな。俺はこういう勝手な女が嫌いだ。とはいえ何だかずっと話している。しかも先程までマイクを持っていた連中がメモを取っている。……どうするか。

ふと遠くから咲羅の姿が目に入った。………仕方がない、か。

俺は馬鹿女の隣を素通りして咲羅の腕を掴みまた同じ所に戻る。


「………ほら、皆が知りたがってた俺の女だ。」


一斉にざわめく会場。顔がひきつる馬鹿女。キョトンとしている咲羅、恐らく状況をあまり理解してないみたいだ。


「………これで満足か?」

「しょ、証拠は何処にあるのよ!!」


馬鹿女がわめく。少し泣きそうだか知ったことではない。……証拠か、どうしよう。……少し考えて思い付いた、が……これはちょっとな……


「ほら見なさい、証拠が無いんじゃ誤魔化す為の嘘ってことじゃない!!」


今のはだいぶムカついた。………仕方がない、やるか。


「………咲羅、ちょっと悪い。」

「ふぇ?」


俺はそのまま咲羅に口づけをした。ホントはこんな人前でなんてしたく無かったが、こんなとこで話を捏造されるくらいならバレた方がマシだ。

唇を離すと咲羅は困惑と照れが混ざった顔をしていた。


「……これで満足かな?宝条さん?」


プルプル震えている馬鹿女。


「わっ、私にこんな仕打ちをして………どうなるかわかってるんでしょうね!!」

「……テメェこそ、咲羅に手を出してみろ。……殺すぞ。」


俺の睨みに体をビクッとさせる馬鹿女。


「………とっとと失せろ。」


俺の一言に足早に去って行く。

少ししてからまた質問責めにあってしまった。

こうして咲羅との関係がバレたけど………ある意味すっきりしている。

ところで噂を流した人物って一体………一番疑わしい翔太郎も違うと言ってたし。………謎だ。

世の中に絶対いそうな妄想ばっかの人………自分か?

でも妄想だけで行動にはしないと思います。……どうでもいいですね。

最近更新時間が遅れて申し訳ありません。とりあえず一日一回は崩さず頑張ります。何度もしつこいですがもうすぐ終わりです。最後まで読んで頂けたら幸いです。

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