第四十四話 其ノ二
だいぶ遅くなりましたが9月9日二話目です。ちなみに今回で温泉編は終了です。明日も更新は遅くなるかもしれませんがよろしくお願いします。
陽さんを引っ張りながらあてもなくぶらぶらと散歩。風が涼しくて気持ちいい。もうすぐ春なんだなぁなんて思いつつ空を見上げると満天の星空が。都会では見られない光景にまた私の心が躍る。
そんなテンションが上がってる私に更に素晴らしいものが見えた。私は引っ張る手を強めながらその先に向かった。
『第四十四話:温泉旅行と各々の想い 其ノ六 side S』
「………縁………日?」
陽さんが驚いている。多分夏でもないのに縁日が?って思ってるみたいだけど夏以外でも縁日くらいやるでしょ?
そんなことより、縁日、縁日。う〜ん、何にしようかな?目移りしちゃうなぁ。
ふと目についたヌイグルミ。ヤバイ、めっちゃ欲しいんだけど。
私はヌイグルミ欲しさに射的を陽さんに頼もうと言ってみたら拒否された。何でかわからなかったけど少しして気づいた。文化祭の時にそういえばヌイグルミ地獄にさせちゃったっけ。
仕方がない、私がやろう。おじさんにお金を渡して銃を構える。
呼吸を整えて………えいっ!!
カコッ
へっ?当たっ……た?
やばっ、私凄くない!?一発よ一発!!陽さんも目を真ん丸にして驚いているし。とにかく私、ヌイグルミゲットしましたぁ!!
さすがに担がせたらキレられそうだから紙袋。私は上機嫌だけど陽さんは………微妙。何か面白いもの………あっ、金魚すくいだ。
そこで私は妙案を思い付いた。私はこれまで何をやっても陽さんに勝てなかった。唯一料理の腕が同じくらいかな?
しかし私、こう見えて金魚すくい、大得意なんです。店のおじさんに
「勘弁してよお嬢ちゃん。」
と何回泣き付かれたことか。陽さんも自信がありそうだけど私も負けないわよ。すくう奴(何て言うか忘れちゃった)を構えて………スタート!!
圧勝!!私は6匹もの差をつけて陽さんに勝ちました!!陽さんも唖然としている。悔しそうな陽さんを初めてみた気がする。そんな陽さんも素敵………って、これじゃバカップルになっちゃうし。
更に奥には綿菓子のお店を発見!!どうしてもあのふわふわ感にやられちゃうんだよねぇ。
「おじさん、綿菓子一つ。」
「あいよ。お嬢ちゃん可愛いからオマケしとくよ。」
「やだ、そんな可愛くないですよ。」
「いやいや、あんなイケメンなにいちゃんゲットしてるんだから。」
「それは私の腕ですよ。」
「お嬢ちゃん面白いねぇ、いいこと教えてあげようか。」
「何ですか?」
「とっておきの場所さ。後でやる花火も綺麗に見えるよ。」
「ホントに?教えて教えて〜。」
「まずな………」
まだかな?まだかな?結構歩いたけど……まだかな?陽さんも少々不安気味。てか私の方が不安。おじさん頼むよ〜………ん?何か視界が開けた……凄い。
思わず声がでた。陽さんも、私も。そこから見た絶景はホテルのとは違うけど綺麗だった。なんていうか……自然だなぁって感じ。
そんなとき花火が上がった。夜空に咲く花火はとても綺麗で……ちらりと横を見ると光に照らされた陽さんがいて、かっこいいなぁなんておもったりして。
花火に視線を戻した後で視線に気づいた私。陽さんがこっちを見ていた。なんだか不安げな様子だったから……私はそっとキスをした。
「花火……終わりましたね。」
「………そうだな。」
風の音が静かに聞こえる。私は陽さんの肩に寄り添う。
「来年も……来ましょうか?」
「………そうだな。」
ゆっくりと時間は過ぎてゆく。
ホテルに戻ったのは深夜だった。部屋に入るとベッドに倒れこむ陽さん。やっぱり疲れてたんだ。私もベッドに入る、陽さんのに。
「………何をしてんだ?」
「一緒に寝ましょ?」
「………流石に三日連続は無理だぞ?」
「わかってますよ。ただ一緒に寝たいんです。」
「……はぁ。」
溜息をついても私の為に腕を出してくれる。私は猫の様に腕枕に頭を乗っけて丸まった。
ここが……今の私の居場所です。