第三十七話 其ノ二
陽さんに渡されたのは小さな袋。そういえば私も包装してもらったんだっけ。これじゃせーのってしても意味ないじゃん!!
気をとりなおして陽さんにプレゼントを渡す。そして私も渡された。今度こそ、せーので袋から中身を出した。そこに入っていたのは………
『第三十七話:誓い side S』
テーブルに響く乾いた音。私の目の前には指輪があった。
あれ?でもなんで私のプレゼントが私に?
不思議に思い陽さんの方を向くとやっぱり指輪がある。見事にかぶってしまった……。そしたらどちらからと言うわけでもなく二人で笑ってしまった。こんなのも幸せだなぁ、なんて。
陽さんは私に指輪をしてくれた。……あれ?でも……薬指……
「えっ?」
私が驚いて陽さんの方をみた。
「……咲羅……」
「はっ、はい。」
「……好きだ。」
………え?今、陽さん何て言ったの?………『好き』?あれ?今日は私が告白するはずだったのに……えぇぇぇ!?
私は嬉しさのあまりに号泣。陽さんの胸の中で泣いた。陽さんの服に涙と化粧が染み付いちゃった。
私が泣きやんでから、陽さんは返事が欲しいと言った。私は、何か今、好きって言ったら嘘みたいに聞こえそうで怖かった。だから軽く口づけをしたんだと思う。
そしたら陽さんは何故か悔しがっていた。なんでもこんな所で最初のキスをしたくなかったんだって。いやいや、此処は私にとって多分一番の思い出の場所だし、それにもう三回目だしね。
一回目……試験前夜
二回目……陽さんが泣いたあの日
そして………今。
なんか私から襲ってばっかりなんて思ってたらいきなりの激しいキス。深く合わさった唇からは息も出来ない。私の口腔を陽さんの舌が暴れる。唾液は蜜のように甘く感じた。私は唇が離れた後も暫く余韻に浸っていた。体からは力が抜け、陽さんに支えてもらわなきゃ立てないくらい。
ふと、太股に固い感触。……これって……あれ……よね?陽さんはばつの悪い顔をしていた。
私は口では『エッチ』とか言ってたけど嬉しかった。陽さんが私で感じてくれてることに。
そして私は口にした。陽さんに……抱いて欲しいことを。
暫く考えてから、陽さんは私を抱きかかえてベッドまで連れていってくれた。
ベッドの上。なぜか正座をする私達。だって私初めてだし、何をしていいのかもわかんなくて……そんな私を優しく抱き締めてくれる陽さん。私は陽さんに全てを任せた。
私の方が陽さんよりエッチだったのかもしれない。行為の途中でそんなことを思った。陽さんの表情、吐息、指先、そして………陽さんの全てが私を感じさせた。
流石に痛かった。生まれて初めてあんな痛みを感じたかもしれない。だけど……それでも……陽さんだから、私は幸せだった。
陽さんはずっと私の心配をしてくれていた。
「………痛くないか?」
とか
「……我慢するなよ。」
とか。
でもね、私は痛くても我慢するよ?私は………陽さんが気持ちいいなら幸せなの。例え身が裂けそうなくらい痛くても、ね。それに、陽さんの顔を見てると嬉しいの。いつものクールな陽さんが感じてる姿。私にとって一番の鎮痛剤なんだから。
陽さんが果てたのはその後すぐだった。ちゃんと避妊も考えてくれた。そのまま陽さんは私に寄り添いながら倒れこんだ。
「………ごめんな。」
「え?」
「……痛かっただろ?」
「ううん、大丈夫。」
「……やせ我慢すんなよ。」
「そりゃ、少しは痛かったけど………」
「……けど?」
「次は……気持ちよくさせてくれるんでしょ?」
「………お前、エロいな。」
「そっ、そんなこと……あるかも。」
「……素直でよろしい。」
「陽さんは?良かった?」
「………ああ。」
「やっぱり陽さんもエッチだ!!」
「………そうかもな。」
「うん、素直でよろしい。」
私は顔の赤い陽さんに抱きついた。暖かい陽さん。私は疲れからかそのまま意識が消えていった。