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第三十七話 其ノ一

8月27日、本日二回目の更新です。

よく考えてみたら、せーので出しても袋の中に入ってるから意味ないよな。ただ、綺麗に包装された咲羅のプレゼントは俺のプレゼントと大体同じくらいの大きさだった。とりあえずお互いに袋を交換してみた。


「じゃあ開けますよ?」

「……じゃあ俺も。」

「今度こそ……せーのっ!!」



『第三十七話:誓い side Y』



カランッ


プレゼントが袋からテーブルに出された瞬間、俺と咲羅は顔を見合わせた。


「「……指輪。」」


まさか二人共指輪とは……。


「気……合いますね。」

「……そうだな。」

「プッ、」

「プッ、」

「「ハハハハハ。」」


二人の笑い声がフロアに響く。俺も久しぶりに大声を出して笑ってしまった。


「……しかも両方ペアリングって……」

「どうしましょうか?二つも付けますか?」

「……まぁ一つはネックレスにでもすればいいだろ。」

「なるほど。」

「………指輪、つけてあげようか?」

「いいんですか!?」

「……ああ。」


すっ、と咲羅は手を差し出す。細く綺麗な指はやはり女性のものだ。俺は迷わず薬指に指輪を通した。


「えっ?」

「……咲羅……」

「はっ、はい。」

「……好きだ。」



なんか時が止まってる。俺では無くて咲羅の。と、次の瞬間、オーバーヒートしたかの様に真っ赤になってる咲羅。


「いっ、今、なん、なんて……」

「………だから、好きだって言ったんだが?」

「それって、陽さんが、私をってことですか?」

「………いや、他にいないし。」

「ですよねぇ……えぇぇぇぇ!?」


あらかた叫んだ後で咲羅の瞳から涙が溢れた。俺は少しうろたえた。とりあえず咲羅を泣きやますために……抱き締めた。


「ほら……泣くなよ。」

「だっ、だってぇ……」


……逆効果だったみたいだ。とりあえずこのままでいいか。




しばらくしてから咲羅は泣きやんだ。 ただいつまで抱き締めてたらいいのかわからず少し悩む。するとハッと何かを思い出したかのように俺から離れた。


「服……汚しちゃいましたね。」

「……ああ、気にするな。」


確かに俺の服は涙と化粧がついていた。


「……ところで……」

「ふぇ?」

「……返事は?」


するとまた赤くなる咲羅。そしてこっちを向くと咲羅の顔が近付いてくる。そう思った次の瞬間には俺の唇に咲羅のそれが重なった。

軽く触れてから咲羅はまたもとの席にもどる。


「返事はこれじゃ……駄目ですか?」

「………駄目じゃないが……最初のキスくらいここじゃなくても……」

「最初じゃありませんよ?」


ケロッとした顔で咲羅が言った。


「これで……三回目です。」

「………は?」




咲羅に説明されてわかったこと。


「……お前、寝込みを襲ったのか。」

「うぅ……だってぇ。」


しまった、このポジションでは上目使いの魔力にはまってしまう。


「……そういう悪い口には……」

「ふぇ?んんんんん!!」


抱き締めた後で少し強引に唇を奪う。深い、深いキスをする。俺の腕を掴む咲羅の腕の力はどんどん消えていった。

唇を離すとき、つーっ、と一筋の糸が伸びる。咲羅の目はとろんとしていた。不意に咲羅は視線を下にずらす。


「陽さん……当たってる。」

「ん?………うぉっ!!」


自分でも気付かないくらい俺の男は反応していた。


「陽さん……エッチ。」

「うっ!!」


咲羅の言葉が俺の胸に突き刺さる。確かに欲情してしまった俺がいけないのだが……


「陽さん。」

「………なんだ?」

「誕生日最後のプレゼントは……私じゃ駄目ですか?」

「………意味わかって言ってるのか?」

「わかってますよ。私は……陽さんに抱かれたい。」

「………」

「むしろ……抱け?」

「………なんで疑問系なんだよ。」

「なんででしょ?」



しばらく沈黙が続き、やっと口を開いた俺。


「………いいのか?」


俺の問いに静かに首を縦に振る。




今の光景は結構変だと思う。ベッドの上でお互い正座……。


「あの……その……私……初めてで……」

「………わかってる。」

「優しく……して下さいね。」

「……ああ。わかってる。」



それからの俺は咲羅の息遣い、表情、そして綺麗な体、全てにとりつかれた。


あまりに夢中でよく覚えていない……いや、覚えてはいる。いるが……これは心の中に納めておこう。

俺と咲羅の誓いだから……。

その日俺と咲羅は、はれて恋人同士となった。その日の晩はずっと手を繋いだままでいた。

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