第三十六話 其ノ二
本日も二話更新頑張ります!!二話目が出来るのはやっぱり夕方から夜になると思います。とりあえず本日中には必ず更新致しますのでなにとぞよろしくお願いします。
ついにやってきました!!何を隠そう今日、3月21日は私、中元咲羅の誕生日なのです!!更に、陽さんも誕生日なのです!!正に奇跡が重なってしまったのです!!……ちょっと興奮しすぎました。
とりあえず待ち合わせをすることにした私達(ってか半強制的に私がさせた)、私もなるべく陽さんの服装を見ないようにして出掛ける陽さんを見送った。それとほぼ同時にお姉ちゃんと栞さんがやってきた。
『第三十六話:二人だけの誕生会 side S』
「さぁて、可愛い妹の為に頑張るわよ、栞!!」
「まぁなにかと咲羅ちゃんにはお世話になってるしね。」
「そっ、そんな!!お世話だなんて!!」
「とりあえず服を着替えて来なさい、メイクはその後よ。」
「はい、お姉様!!」
私は少しでも綺麗になるためにお姉ちゃん達に頼んでこうして来てもらっている。好きな人の為に綺麗になりたいって気持ち、女の子ならやっぱり誰でもあると思う。着替えを済ませた私は準備しているお姉ちゃん達の所に向かった。
「いや……こりゃあ……」
「化けたわね……」
なぜか二人共唖然としている。私には何がなんだかわからず頭の上に『?』を浮かべるだけだった。
「我が妹ながら……凄い。」
「ホントにダイヤの原石だったのね……。」
「あの〜、さっきから何でコソコソ話してるんですか?」
「鏡、見ればわかるわ。」
そういいながらお姉ちゃんは手鏡を私に持たせた。鏡に写ってるのは……誰?
「これ………私?」
「咲羅ちゃん化粧ばえするのね。」
「これで陽君もイチコロよ!!」
「そうかな?……あっ、もうこんな時間!!もう行かなきゃ!!」
「咲羅ちゃん、頑張ってね。」
「ちゃんと捕まえて来なさいよー!!」
二人に後押しされながら私は待ち合わせ場所へ向かった。
待ち合わせ10分前、既に陽さんは来ていた。
黒いロングコートがここまで似合う人って中々いないと思う。
私は大きめの声で陽さんを呼びながら少し駆け足で向かった……けどドレスが少し歩きにくい。陽さんの前に立つと陽さんはなぜか固まっている。もしかして私の格好……変かな?恐る恐る聞いてみた。そんな私に陽さんは『似合ってる。』と言ってくれた。もう嬉しくて嬉しくて。私は陽さんの腕に抱きつきながらお店に向かった。
でも……陽さんとすれちがった女の人が必ず振り返る。これもいつものこと、しかも今日の服装はかなり格好いいし。だけど……やっぱり嫌だよ。そう思うと抱きついていた腕に力をいれた。
お店は凄かった。なんだか高級感溢れる感じで、私なんかが入って大丈夫なのかなって思ったけど……陽さんが任せろと言ってくれたんだもん、大丈夫だよね?
料理はホントに美味しかった。生まれて初めてかもしれないものばかりだし。ワインも美味しいし。目の前には好きな人がいるし。言うこと無しだね、うん。陽さんは私が見ると終始笑顔だった。クールな陽さんもいいけど、やっぱり笑顔が一番だよね。
近くの公園で風にあたりながら酔いをさます。そこまで酔っていたわけじゃないけど、私は陽さんの肩にもたれかかっていた。陽さんも私の頭を撫でてくれた。今私、かなり幸せな気分。これは……夢じゃないよね?
陽さんがポケットに手を入れてゴソゴソしている。……プレゼントだ。私は陽さんを制止させた。陽さんの頭には『?』が浮かんでいる。
でも、やっぱり私は、一番最初に出逢った場所で貰いたかった。あそこが今の私の居場所だから。しばらく私の我が儘でこうしてた。陽さんの肩も私にとっては最高の場所だから。
しばらくして陽さんは少し微笑みながら私の手を引いて家に向かった。
「ただいまー!!」
「……おかえり。」
「いやいや、陽さんもただいまでしょ。」
「……でもおかえりがないと寂しいだろ?」
「まぁ確かに……。じゃあ私も、おかえりなさい。」
「あぁ、ただいま。」
でも陽さんがおかえりって言ってくれると落ち着くなぁ……なんてね。
「じゃあ……プレゼント交換しますか?」
「……俺にもあるのか?」
「当たり前じゃないですか!!陽さんだって誕生日なのに私ばっかもらってたら失礼ですよ!!」
「……そうか?」
陽さんって肝心な所が抜けてるっていうか何ていうか。陽さんはまだ不思議そうな顔をしてたけど。
「じゃあせーのですよ。」
「……あぁ。」
「せーのっ!!」