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第三十四話 其ノ二

きっかけは私の一言から。


「ねぇねぇ陽さん。」

「……なんだ?」

「誕生日っていつですか?」

「……3月21日だけど。」

「ふぇ?」

「……どうかしたのか?」

「……私も……3月21日……デス……。」



『第三十四話:お誕生日はいつですか? side S』



え〜と……冷静になれ、私。陽さんの誕生日は3月21日。私の誕生日は3月21日。………一緒!?そんなことってあり!?


しかも陽さん、私の核心バンバン突いてくるし。私は恥ずかしくて死にそうだった。しかし捨てる神がいれば拾う神も世の中にいた!!なんと陽さんがお祝いしてくれるらしい!!ヒャッホー!!何か得した気分。その後陽さんは


『……本屋に行ってくる』


って言って出かけていっちゃった。そうなると暇な私。そんな時丁度やってきた団体さん。全員男だけど。


「どうしたんですか?皆して集まって。」

「いやぁ、皆がどうしても俺の帰国パーティをしたいって言うからさぁ。」

「「「言ってない。」」」


見事に息のあった三人。素晴らしい。


「ところで咲羅ちゃん、陽は?」

「陽さんなら本屋行きましたよ。」

「本屋か、じゃあ俺達も行くか。」

「まぁ、電話すればいいんだけどね。」

「いやいや、ここで陽がエロ本とか読んでたらネタになるぞ。」

「陽さんは読みません!!」


私はプンスカ怒ってるけど大の大人四人には軽くあしらわれる。


「そりゃ旦那の悪口いわれりゃ怒るだろ。」

「それもそうだな。」

「だっ、旦那って何ですか!!」

「あれ?じゃあ陽には旦那になって欲しくないの?」

「うぅ〜………」

「ほら、翔太郎。咲羅ちゃんをいじめるなよ。」

「栞に言いつけるぞ。」

「そっ、それだけは勘弁」

「何を勘弁して欲しいのかしら?」


後ろからの声に体がビクつく翔太郎君。いきなり噂の人物が出ればそりゃ驚くよね。


「で、翔太郎。何をしてたのかしら?」

「あっ……その……皆の集、撤退じゃ!!」


刹那、翔太郎君が光の様なスピードで消えた。後の三人はゆっくりとその後ろを追って行った。


「栞さん、どうかしたんですか?」

「実は実家から蟹貰ったんだけど二人じゃ食べきれなくてね。お裾分け。」

「わぁ、ありがとうございます。」


しかし……お裾分けの量じゃないよね。発泡スチロールの山が出来てるし………。

そんなときまた誰か来た。


「咲ー羅!!暇だから来ちゃいましたー!!」

「お姉ちゃん!!」

「「………あら?」」


何故か二人共固まってる。



話を聞いた所この二人、テニス部の大会でよく戦ったことがあったんだって。しかも全国で。どうしてこう私の周りには凄い人が多いのかしら?


「まさか桃華が咲羅ちゃんのお姉さんだとはね。」

「びっくりよねぇ。」

「いやいや、お姉ちゃんがびっくりすることじゃないでしょ。」

「そう?」


ちなみにウチの姉は天然です。


「じゃあ三人いることだし蟹鍋パーティでもしようか。」

「お姉ちゃん、三人でもこの量はちょっと………」

「「こんにちはー!!」」


なんというグッドタイミングで登場してくれるのかしら。……てか今日はバイトの日じゃん。


「あれ?……桃華さんだー!!」

「ホントだー!!」

「綾子と絵美か。久しぶりだなぁ。」


お姉ちゃんと二人は面識があった。私達は中学からの友人だし。その頃はまだお姉ちゃんが家にいたし。


「じゃあ五人揃ったから蟹鍋パーティの幕開けだー!!」


お姉ちゃんはそう言ってさっそくキッチンをあさり始めた。今来たばかりの二人はいまいち状況がわかっていない。栞さんは


「やれやれ。」


と言いながらお姉ちゃんと準備を始めた。………あの〜、お店は……


プルルルプルルルプルルル……


電話は陽さんからだった。飲みに行くからお店は休みにしていいって電話。もう少し話したかったのに途中で電話を切られた、お姉ちゃんに。


「ほら、旦那との電話なんて後、あと!!咲羅も準備しなさい。」

「だっ、旦那じゃないって……って最後まで話を聞いてよ!!」


いじられただけいじられて後は放置プレイってこと?無責任すぎ!!




「「「「「乾杯!!」」」」」


真ん中にグツグツ煮えた鍋。皆の手には各々のお酒。かくして女五人の鍋パーティとなった。


「そう言えばお姉ちゃんて今どこ住んでるの?」

「龍太ん家。」

「えっ!?桃華さん、龍太さんと付き合ってるんですか!?」

「ホントですか!?」


そう言えば二人には話して無かったっけ。


「じゃあ同棲だ!!」

「羨まし〜!!」

「何何、二人共彼氏持ち?」

「「えへへ〜。」」

「あれ、でも龍太って実家で暮らしてる筈じゃなかったっけ?」

「そうだよ。」


栞さんの疑問にあっさりと返すお姉ちゃん。


「それって……」

「だから龍太ファミリーと生活してるのよ。」

「………マジ?」

「何で妹に嘘つかなきゃいけないのよ?」


これって本格的に龍太さんが私のお兄さんになる雰囲気?




「んっ………う〜ん。」


頭が痛い。とりあえず目を開けて周りを見回す。散乱する三つのなれのはて。テーブルでは栞さんがまだ日本酒のグラスを片手にまだ蟹を食べていた。私は千鳥足でテーブルまで向かう。


「あら、起きたの?」


「ふぁい。」

「まだ寝惚けてるのね。」


私はそのまま机に突っ伏してた。うつらうつらしていたら扉が開く音がした。陽さんが翔太郎君を担いで帰ってきた。私は多分おかえりって言った気がするんだけど………意識が消えました。

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