第二十九話
アクセス数4000突破しました!!最近は毎日100人以上の方がアクセスして下さって作者としては嬉しい限りです。これからも頑張ります。
私事ですが、この前初めてメッセージ頂きました。近々返事を書きたいのですが忙しくて……連載終了したら多分書けると思います。
「いってきま〜す!!」
「いってきます。」
「いってらっしゃ〜い。」
おばさんに送り出されて俺と唯は学校へ向かう。この生活も既に八ヶ月。だいぶ慣れてきた。最初の頃なんて朝から慌ただしくて大変だった。
………とりあえず元気に生活しているよ。見てて……くれてるかな?俺は冬の空を見上げた。
『第二十九話:陽ノ過去 其ノ三』
「おーっす!!」
「おう、龍太。」
「おはよ〜、龍太。」
「相変わらず仲がよろしいこっ痛っ!!」
「五月蠅ぇよ。」
俺のゲンコツに苦悶の表情の龍太。
「おはよ〜。」
「あっ、翔太郎。おはよう。」
「おやおや、朝からラブラブですか痛っ!!」
「てめぇもか!!」
翔太郎も龍太の隣で苦悶の表情。ホント馬鹿野郎ばっかだ。……でも、親父達が死んだ時もこいつらは毎日俺の所に来てくれてたんだよな。………感謝してるよ。馬鹿だけどな。
学校に着けばいつもの光景。朝練で校庭を走る陸上部。一際目立つのは誠治だ。
「あいつもよく走るよなぁ。」
「本当だよ。翔太郎も龍太も誠治みたいに真面目に何かしなさいよ。」
「唯、そりゃ無理だ。特に翔太郎は。」
「うっせぇ!!馬鹿夫婦!!」
「翔太郎、それじゃ餓鬼の捨て台詞みたいだぞ。」
「龍太!!てめぇ裏切ったな!!」
……まぁ馬鹿は放っておこう。
「よぉ誠治。毎日精が出るな。」
「おぉ、陽。お前も走れよ、せっかくの運動能力がもったいないぞ。」
「朝からそんなパワーはでないよ。」
「そぅそぅ、誠治は筋肉馬鹿なんだし。」
「翔太郎、お前は普通の馬鹿だがな。」
「誠治に座布団一枚!!」
「誠治ぃ!!おまけに龍太ぁ!!」
「唯、馬鹿共は置いてさっさと行こう。」
「そだね。」
背後ではまだやりあっていた。
教室でもいつもの光景。俺の席の前で寝ている愁。読書中の栞。教室は平和だ。席に着いてホッとする。毎日朝からあれじゃ疲れるって。
「オラ、朝のHRやるぞ!!」
担任の朝井先生が元気よく教室に入る。この人も朝からテンション高いよな。
「おい、陽。翔太郎と龍太はどうした?」
俺は無言で校庭の方を指差した。教壇から窓の方へ歩く朝井先生。一度溜め息を吐いて窓を開けた。
「てめぇら!!HRはじめんぞ!!」
とんでもなくデカイ声を出して窓を閉める。
「よし、じゃあ出席をとるぞ……」
これもいつもの光景。なんら変わらないいつもの光景。こんな光景がいつまでも続くはずだった………。
「もうすぐクリスマスだねぇ。」
「もうそんな季節か。」
帰り道、唯と一緒に帰る。冷たい風が体を蝕む。
「ねぇねぇ、今年は何処にいく?」
「お前どっか行くつもりか?」
「当たり前じゃん!!クリスマスだよ!?」
「で、どこ行きたいんだ?」
「えっ?いや……まだ考えて……」
「まぁそんなことだろうと思ったよ。」
「む〜!!」
唯は頬を膨らませる。可愛いと思ってしまうのは俺だけだろうか?
「まっ、まぁ場所はおいといて。プ、プレゼントは?」
「プレゼント?欲しいのか?」
「陽……クリスマスの意味知ってる?」
「だからイエス=キリストの誕生……」
「そうじゃなくて!!恋人同士の過ごし方!!」
「だいたい俺はクリスマスに興味は……」
チラッと見ると唯が泣きそうだ。
「わっ、わかった!!プレゼントも用意するし、どこでも連れてってやるよ!!」
「……ホント?」
「ホント、ホント!!」
「やった!!じゃあ場所も決めといてよ!!」
「ああわかっ……えぇ!?」
「あ〜楽しみだなぁ。」
………はめられた。結局俺は女の涙には弱いんだな………。
「唯ちゃんのプレゼント?」
「いや、姉貴ならわかりそうかなって………。」
「そうねぇ……じゃあ一ヶ月掃除当番代わってくれるならいいわよ。」
「ぐ……背に腹は変えられない、か。わかった、よろしく頼む。」
「任せなさい!!」
クリスマスは直ぐにやって来る。