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第二十七話

どうも、度々登場します鶉です。

今回から陽の過去の話がメインとなりますので咲羅sideがありません。そちらの方を楽しみにして頂いてる方、申し訳ございません。

なるべく早く咲羅sideも復帰させますのでもう少しお待ち下さい。

ちなみに今回は二人の視点です。では本編をどうぞ。

………なんとなく予想は出来ていた。咲羅の瞳を見れば。しかし俺の過去を教えて欲しいという咲羅の言葉に俺の心臓は心拍数を高めた。俺は自分でも驚くくらい冷静な声を出した。


「………聞きたいのか?」


俺の問いかけに俺の目を見たまま頷く咲羅。その目は力強かった。



『第二十七話:陽ノ過去 其ノ一 Double side』



陽さんは車を静かに走らせている。栞さん達は向こうのホテルに泊まるらしい。二人きりで、既にコバルトブルーになっている空の下を車で走る。車の中の音楽もあまり耳に入っていない私。………多分陽さんも。家に帰るまでのことはあんまり覚えていない。ずっと……考えてたから、陽さんの事。



「……コーヒー、飲むか?」


咲羅はゆっくり頷く。お湯を沸かしながら、まだ悩んでいた。話すべきか話さぬべきか……。

でももう考えるのを止めた。咲羅の表情を見てそう思ったから。気が付くと既に水は沸騰していた。




コーヒーを2つ、陽さんは持って来て私の向かい側に座った。コーヒーを飲む。いつもの味。陽さんは私が苦いのがあまり得意では無いことを知っていて、ちゃんと出すときに砂糖とミルクを入れてくれる。そんな小さな心遣いも私には嬉しかった。


「………どこからが」

「え?」

「……どこから聞きたい?」

「それは……陽さんに任せます。」

「………そっか。」


陽さんは息を吸い込み、ゆっくり吐くように話しだした。




俺の過去は平凡な生活のはずだった。少なくても中学までは。高校の入学式の日、俺は翔太郎と龍太と帰っていた。


「俺らも遂に高校生かぁ。」

「ほんと、中学生になったと思ったらもう高校生、嫌になるよ。」


翔太郎の問いかけに龍太が答える。


「なぁ、陽。今日は記念パーティでもしないか?翔太郎ん家が空いてるってさ。」

「今日か……いや、今日は親父が家族パーティしようとか言ってたから付き合ってやんないとな。」

「孝行息子じゃ〜ん。」

「うっせぇよ、翔太郎。」

「まぁまぁ。じゃあ今度の週末あたりにしようぜ。陽、ちゃんと唯ちゃんに女の子頼んどけよ。」

「龍太………お前の頭には女しかないのか?」

「俺も俺も〜!!」

「翔太郎………うっせぇよ!!耳元で大きな声を出すな!!」

「だってそうでもしなきゃ陽無視すんじゃん。」

「わかったわかった、無視しねーから。おっともうこんな時間だ。俺先に帰るから。」

「なぁ誠治と愁には誰が連絡するんだ?」

「龍太やっといてくれ。そこの馬鹿じゃ役に立たないから。」

「………それもそうだな。」

「てめぇ等ぁぁぁぁ!!」



家に帰ったらテーブルの上に書き置きがあった。


『食材を買いに行ってきます。ちゃんと留守番しなさいよ。父&母』


一通り目を通して冷蔵庫からお茶を取り出して飲む。そんなことをしていると姉貴が帰ってきた。


「ただいまぁ!!あれ?お母さん達は?」

「コレ。」


テーブルの書き置きを見せる。


「買い出しってことは今日の晩ご飯豪華じゃん!!」

「色気より食い気だな。」

「ちょっと!!華の大学生に何言ってるのよ!!」

「……どこもかしこも五月蠅い奴らばっかだ。」

「五月蠅いって何よ!!」


ピンポーン


「お邪魔しま〜す!!」

「ほら、愛しの唯ちゃんが来たわよ〜。」

「は〜い、愛しの唯で〜す!!」

「お前何でウチに来たんだ?」

「ひっど!!お義母さんに呼ばれたのよ。」

「おい、漢字間違ってるぞ。『お母さん』だろ?」

「いやいや、『お義母さん』でしょ、将来の。」

「あら、もうそんなとこまで進んでたの?最近の高校生は早いのねぇ。」

「五月蠅いって、しかもその発言かなりオバサンっぽいぞ。」

「陽、それは失礼よ。こんなに綺麗なお義姉さんなのに」

「さすが、よくわかってるわ唯ちゃんは。」

「どうでもいいが……わざわざ『義』を使うな!!」


そんな中電話が鳴った。


「陽、早く。」

「………はいはい。」



「はい、佐倉です。」

『こちら国立××総合病院ですが佐倉光一様の身内の方ですか?』

「はい……そうですが。」

『先程、光一様と奥様が事故に遭われました。急いでこちらに来て頂きたいのですが……』

「……わかりました。直ぐに行きます。」


電話を切っても俺の心には動揺が残った。

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