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第二十六話 其ノ一

本日更新二回目です。

………頭が痛い。目覚めと共に感じた頭痛に悩まされる。というか、何故俺はソファで寝ている?そして何故床に翔太郎が倒れている?辺りを見回すとその他大勢も屍の様になっている。テーブルの上に置いてあるのはアルコール度数の高い酒ばかり、しかも空瓶。………あぁ、そうか。昨日打ち上げしたんだっけ。



『第二十六話:願い事 side Y』



………そういややたら飲まされた記憶があったな。とりあえず右手に麺棒、左手にフライパンを持つ。


ガンガンガンガン……!!



けたたましい音にやっと皆が起き出す。やっぱりゾンビみたいだ、俺を含めて。




今日の朝食はやたら人数が多い。8人は多すぎだろ。いつもの面子に龍太が抜けただけだしなぁ。


「栞、醤油とって〜。」

「自分で取りなさい。」

「あー!!誠治さん私のハム食べたー!!」

「まぁまぁかたいこと言わないで。」

「ぶーっ!!」

「ほら、綾子。ハムくらいで騒がない。私のあげるから。」

「それじゃ、俺のは絵美ちゃんに。」

「えっ、いや、良いですよ。愁さんが食べて下さいよ。」

「いやいや、絵美ちゃんが……」

「ほら、そこ!!イチャイチャしない!!」

「陽さん、牛乳下さい。」



………半端なく五月蠅いんだが……。



トイレから戻ると


「ねぇねぇ、陽さん。」

「……どうした?」

「昨日言ったこと覚えてる?」

「昨日………何か言ったか?」

「ほら、合格祝いに今日一日私の言うこと聞いてくれるって。」

「………そんなこと言ったか?」

「いいましたよ!!皆聞いてますから!!ねぇ?」


皆頷いた。………俺、そこまで酔ってたのか?


「まぁ………仕方ないか。」

「やったー!!じゃあ流石に今日は辛いから明日にしましょうよ。」

「………ああ。」



今日は咲羅の入学手続きに行った。手続きと言っても口座に入学金を振り込んで、書類を事務室に持って行くだけなのだが。

ちなみに入学金は中元夫妻が送ってくれた。



手続きも終わり、まだ体調が回復しない俺達は午後をゆったりすごした。……平和だな。




「………で、明日は何がしたいんだ?」

「う〜ん……考え中。」


夕食のカレーを幸せそうな顔で頬張りながら咲羅は答えた。


「ドライブはいつでも行けるし……遊園地とかどうですか?」

「………子供っぽいな。」

「なっ!?今遊園地を馬鹿にしたー!!」

「………いや、遊園地を馬鹿にしたんじゃ……」

「……あー!!よく考えたら私を馬鹿にしたー!!」


咲羅は効果音で言うと『プンスカ』しながら俺を叩いた。


「………まだ子供みたいなもんだろ?」

「そんなこと無いですよ!!私の体見ますか?」

「……分かった、分かったから脱ぐのは止めろ。」


………全く危険な奴だ。

結局遊園地に行くことが決定した。




「………で、何でお前達がいるんだ?」

「まぁ気にすんなって。」

「私達お邪魔よねぇ。ごめんなさいね、翔太郎が行きたいってだだをこねたから。」

「いいじゃないですか陽さん。丁度翔太郎君がチケット持ってたんですし。」


翔太郎と栞が後部座席に座っている。で、運転は俺……。朝に翔太郎と栞がやってきて都合良く遊園地のチケットを四枚持ってきたのだ。……なんかはめられた感じなのだが。



着いた場所は結構広い遊園地だった。早速つれていかれたジェットコースター。あれ、でも……


「ねぇ………ホントに乗るの?」


そう、栞は絶叫系が苦手なのだ。確か絶叫系に乗るときの栞は……


「翔太郎………怖いよ。」


世の男性を一撃で潰せるくらい可愛さが爆発する。既に翔太郎もメロメロだ。


「陽さん……栞さんどうしたんですか?」

「………栞は絶叫系が駄目なんだよ。」

「なんか同性の私もドキッとしちゃったんですけど……」

「……威力は核兵器並だからな。」


咲羅も納得したように頷いた。




「う〜ん、もう駄目。」


ジェットコースター計3回でダウンした栞。まぁもったほうだろう。


「ほら、栞は俺が看病するから二人は他のでも遊んでこいよ。」

「じゃあお言葉に甘えて……陽さん行きましょ?」

「………ああ。」



それからは怒涛の勢いで乗り物に乗りまくる咲羅に付き合わされる俺。……まぁ楽しいが。



夕方近くになって咲羅の要望で観覧車に乗ることになった。


「わーっ、綺麗!!」


咲羅は窓にへばりつきながら風景を見る。夕日が地平線へ沈む絵は確かに美しい。


「ねぇ陽さん。」

「……ん、どうした?」

「私の今日最後の願いを聞いてくれますか?」

「……まぁ無理難題でなければ。」


咲羅は一度深呼吸した。そしてゆっくり口を開く。


「私に………陽さんの過去を教えて下さい。」

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