第二十五話 其ノ二
ついに五十回……よく続いたなぁなんて思う鶉です。
今日も土曜恒例の二回更新させて頂きます、はい。いっぱいいっぱいなのですが、やはり読者さまか大事ですので頑張らせて頂きます。次はまた夕方更新の予定です。
あと私事(毎度毎度済みません)ですが、『サクラの愛のカタチ』がアクセス数ランキング3位に入りました!!夜中携帯を開いていた作者は少し泣きそうになりました。ちなみに短編も2位に入っていて更に泣きそうになりました。これも皆様のお陰でございます。
これからも頑張らせて頂きますので応援していただけたら幸いです。迷惑な長文失礼しました、では本編をどうぞ。
それぞれに刻まれる時計の音。不規則に奏でられる鉛筆の音。問題をめくる音。会場の空気は静まりかえっている。こんな雰囲気ももう何回味わったのだろうか。でも何回味わっても慣れないなぁ。
私は今、陽さんの大学の入学試験中。既に世界史のテストは終わった。今、国語のテストが終わりに近づいている。
『第二十五話:試験終了 結果は如何に!? side S』
キーンコーンカーンコーン…
少し古めのチャイムの音が響く。試験官の人が放送で指示を出している。次の英語まであまり時間はない。そのあいだ最後のあがきで単語帳を開く。そんな時間もあっと言う間に過ぎ去り、会場に響く試験官の声。
『問題用紙を配布致しますので参考書等をしまって下さい。』
その瞬間、一斉にガサガサと音をたてる。いよいよ最後の英語だ。私はお守りと時計をギュッと握った。力を貸して貰えるように。
キーンコーンカーンコーン…
チャイムが響いた途端、机に突っ伏した私。最後の一秒まで脳を使い果たし限界だった。回収される解答用紙。………これで全てが決まる。とりあえず絵美にメールを送り、校門の前で待ち合わせをする。私は他の受験生と同じように鉛筆をかたしはじめた。
混雑している中で上手く絵美と合流できた。とりあえず一言目。
「「どうだった?」」
……上手いこと被った。やっぱり考えることは皆同じだね。
「微妙〜。」
「私も〜。」
「まぁ、そんなもんだよねぇ?」
「そうそう、気にしない気にしない。さっ、帰ろ帰ろ。陽さん達が待ってるよ。」
「咲羅歩くの早いって〜!!」
そんな会話の中で私達は大学を後にした。
「「ただいま〜!!」」
家に帰ると陽さんと愁さん、ついでに翔太郎君がいた。そしてやっぱり聞かれた『どうだった?』に対して私達はまた
「「微妙〜。」」
と言っていた。でもまぁ、翔太郎君が入れたんだからって言われたら何か気が楽になった気がした。翔太郎君、ごめんなさい。(笑)
皆帰った後で陽さんは私にコーヒーを淹れてくれた。
「終わっちゃいましたねぇ。」
「………あぁ。」
私の独り言に陽さんも同調する。
「受かりますかねぇ?」
「………どうだろうな。」
「いやいや、そこは『大丈夫!!』ってはっきり言って貰わないと。」
「………そう言われてもなぁ。………まぁ大丈夫だろ。」
「本当にそう思ってます〜?」
「………さてね。」
「ひっどー!!」
こんなにのんびりとした会話も久しぶりだった。なんかホッとする。
「でも受かったら温泉だし。」
「………忘れてた。」
「逃げようったってそうはいきませんよ!!」
この時何か言ったような気がしたんだけど………。
「何か言いました?」
「………いや、別に。」
「あー楽しみだなぁ。ちなみに混浴らしいですよ?」
「………は!?」
「いや、だから混浴。」
これは先にこの旅館のことを調べてもらったからね〜。もちろん綾子と誠治さんに。
「………で?………まさか一緒に入るつもりか?」
「私と入れるなんて光栄に思わなきゃ。」
でもいざ入るとなると多分、ってか確実に恥ずかしい気が………まっ、まぁ気にしない、気にしない。
そして結果発表の日なんて早いもので………ちなみに今です、今。只今掲示板の真ん前に来てるのですけど………顔が上げられません。足も震えてるし、何か肩も揺さぶられてる気が………なんだ、陽さんが揺すってただけだ。………ん?何で陽さんが私の肩を揺すってるの?
「………あ…ぞ。」
「え?何ですか?」
周りの声で陽さんの声が聞こえない。でも次の言葉だけははっきりと聞こえた。
「……あったぞ!!」
「………えぇ!?」
慌てて上を向く。……自分の番号ほどはっきりわかるものもないだろう。
『04502S』
だんだんと数字がぼやけてくる。簡単なこと、泣いているから。陽さんの方を見ると微笑んでいた。
「………おめでとう。」
陽さんの一言が嬉しくて抱きついたけど………よく考えるとここは陽さんの通う大学。後で何かと困るのは陽さんだと思い、名残惜しみながら離れた。
遠くでは胴上げされている人。………絵美だ!!絵美も受かったんだ。よかった、これでまた三人だ。
中元咲羅、遂にこの春から大学生です!!