第二十二話 其ノ二
光さんは宿泊決定した瞬間から私の部屋で寝てしまった。仕方がないからその晩は床に布団をひいて寝ました。なんか修学旅行みたいな気分だったけど毎晩の勉強の疲れか、あっと言う間に寝てしまった。
朝いつものように早く起きると既にベッドの上には人影はなかった。
『第二十二話:共同生活は凄まじきかな side S』
フロアに降りると光さんはコーヒーを注いでいた。
「おはようございます、光さん。」
「あら、おはよう咲く羅ちゃん。朝早いわね。」
「いえいえ、光さんには負けますよ。」
「いや、私の場合昨日早く寝過ぎただけだから。」
二人で雑談をしながらコーヒーを飲む。時計は陽さんを起こす時間(勝手に決めた)を指していた。
「さて、陽さんを起こしにいきますかな。」
「えっ!?咲羅ちゃんそんなことまでしてんの!?陽ったら意外と関白なのねぇ。」
「違いますよ。私が勝手に起こしに行ってるんです。朝早いと一人じゃ暇で。」
「本当にそれだけぇ?」
「あっ、えっと、その……」
「ほ〜ら、白状なさい!!」
「えっと……陽さんの……寝顔とか……見たくて……」
「や〜ん、もう咲羅ちゃん大好き!!」
「きゃっ!!」
光さんはやたらと抱きついてくるし。私は抱き枕?それとも玩具?どっちも微妙………
陽さんはまだ寝ている。毎回思うけど、やっぱり寝顔も素敵だなぁ。
「ほら、咲羅ちゃん。みとれてないで。」
「えっ?あっ、はい。」
とりあえず二人でベッドに飛び乗る。少々のうめき声と共に陽さんは起きた。いつもながら寝起きもあんましよくない。………そりゃ私のせいか。
光さんの教え方も陽さん同様に素晴らしくて、特に英語なんかはめちゃくちゃためになった感じがした。でも陽さんは暇らしくて部屋に戻ってしまった。なんか少し可哀想な気もしたけど………しょうがないよね?
びっくりした。起きてきた陽さんの顔は真っ青になっていた。初めてみた顔。陽さんは大丈夫だって言ってたけど………心配だな。
店が終わった後も(店の間もだけど)私は勉強。店の方は綾子と光さんが働いてくれた。綾子も光さんと仲良くなってたし。
「咲羅ちゃん。」
「何ですか?」
「お風呂はいかが?」
「えっと、じゃあ入って来ようかな?」
私がお風呂場に向かうその後ろから光さんがついてくるのは何故?
「光さん?どうかしました?」
「いや、私もお風呂。」
「そうですか……えぇ!?」
「ほらほら、レッツゴー!!」
………それで今、二人で湯船の中。光さんはスラッとしてて正に大人の女性を彷彿とさせる。それに比べて私は……
「やぁん、咲羅ちゃんプニプニ〜。」
「やっ、ちょっ、ちょっと光さん!!」
「いやぁ、若いこにはハリがあっていいわぁ。」
「いやいや、光さんに比べたら私なんて………」
「あら?でも陽は細いより少しコロッとした方が好き……」
「マジですか!?」
「だったような。」
「………なぁんだ。」
「咲羅ちゃんはよっぽど陽にお熱なのねぇ。」
「いっ、いや、別に………」
「でも陽も変わったわ。久しぶりに逢って別人みたいに感じたもんねぇ。」
「確かに一番最初に逢った時は怖かったし。」
「確かにあの顔だからねぇ。きっと変えたのは咲羅ちゃんね。」
「………皆にそう言われます。」
「そうでしょ、そうでしょ。」
「………でも陽さんの心の中はまだよくわかりません。私のことを一体どう思ってるのかも。」
「そうねぇ………よし!!未来の姉として私が何とかしたげる!!」
「えぇ!?」
「な〜に、任せなさい!!」
なんか逆に危険な気がする。
光さんが部屋に戻ってきたのはお風呂から出てからちょっとした後だった。
「………で、どうでした?」
「微妙。」
「微妙………ですか。」
それにしてもニヤニヤしている光さん。
「後はお楽しみにしときなさい。」
「?」
最後の言葉はよく理解出来なかったけど………まぁいいか。
………しかし光さんが私を抱き枕にするのはちょっと………。