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第十九話 其ノ二

今日は文化祭!!いつものように朝早くに起きて、陽さんを叩き起こす。陽さんの寝顔を見るのも最早日課になってしまった。朝御飯もパパッと済ませて私は学校へ走って向かった。上機嫌で。



『第十九話:波乱の学園祭 第二幕 side S』



教室には既に何人かいた。その中に絵美を見つけた。


「おっはよー絵美。」

「おはよう、咲羅。」

「綾子はどうしたの?」

「あっち。」


絵美が指差した方は校庭。真ん中でせっせとサッカーボールを運んでいるのは紛れもなく綾子だ。


「今日のフットサル大会に誠治さんと出るんだって。」

「へ〜、…でもフットサル大会って三人一組じゃなかったっけ?」

「それでね、綾子が……」




「………マジで?」

「お願い、咲羅!!頼みはアンタだけなのよ!!」


綾子に必死に頼まれては断る事も出来ない。


「わかったよ。頑張ってみる。」

「お願いね!!大丈夫、咲羅なら出来るわ!!」

「わかったから、早く行かないと準備間に合わないんじゃないの?」

「あっ、本当だ!!じゃあよろしくね〜!!」

「は〜い。」


駆けて行く綾子を見送りながら私も決心した。とりあえず衣装に着替えなきゃ。



開店から店は賑わいを見せていた。私達の衣装は否が応にも人を集めてしまう。店は満席、私達は大忙しでせっせと働いている。そこに陽さん達がやってきた。


陽さんは私を見るなり直ぐに顔を背けてしまった。一瞬嫌われたかな、とも思ったけど陽さんの顔を見たら理由は直ぐにわかった。あんなに顔が真っ赤なのを見たのは初めて。陽さんって意外と純情な青年なのね。………これ、ウチの店でも着ようかな?

そんなことを考えてると愁さんもやってきた。赤鼻のトナカイを替歌にして。まぁ作詞、作曲は翔太郎君だけど。その翔太郎君は………。

さっ、さぁ話を切り替えて。何たって私は重大な任務を承ったんだから!!


「陽さん、陽さん。」

「………何だ?」

「後で一緒に回りましょうよ。」

「………またか?」

「ちょっとだけでいいから!!」

「………少しだけな。」


よしっ!!約束を取り付けた!!そうと決まればさっきから長蛇の列になってるお客様の為に仕事しなきゃ!!




「………なぁ。」

「なんですか?」


私と陽さんはグルグルと校舎を回っている。


「………いつまでその、何ていうか………」

「?」


陽さんは顔を赤くしながらこちらをチラチラ見ている。……成程ね。


「この服ですか?」

「………あぁ。」

「気に入りました?」

「…………」


黙っちゃった。何かめちゃくちゃ可愛いんだけど!!そんな動揺している陽さんを上手く誘導して校庭に出た。校庭の真ん中には既にひとだかりが出来ている。その中から誠治さんと綾子を見つけた。


「お〜い、綾子〜!!」

「あっ、咲……ら!?」

「なっ、何よ。」

「その格好でよくここまで来れたわねぇ。」

「だって陽さんが気に入っちゃ」

「………断じてそれはない。」

「お〜い、登録したよ…ぉお!?」

「どうしたんですか、誠治さん。」

「いや、咲羅ちゃん……過激だよ。」

「………なんか皆にそこまで言われてると恥ずかしくなってきちゃった。着替えてきますね。綾子、陽さんに説明よろしく!!」

「………説明?」


陽さんの疑問にも答えずにとりあえず教室まで戻ってきて着替えた。さて、また校庭に戻るまでに説明した方がいいよね。実は………



――先程の会話より――



「えーっ!!陽さんにフットサル大会に一緒に出ようって?」

「だって三人一組なんだもん。どっかから人連れてきてもいいけど私と誠治さんだけじゃちょっとねぇ……。」

「だから陽さんかぁ。………受けてくれるかな?」

「だから咲羅に頼んでるんじゃないの!!一番陽さんのこと知ってるでしょ?」

「う〜ん……」

「それに優勝商品は温泉旅行をペアで二組貰えるのよ!!」

「………マジ?」

「マジよ!!」

「わかった、任せなさい!!」




こんな流れから陽さんを上手く誘導して校庭まで連れてったと言うことだった。

校庭に着くと陽さんはしかめっつらをしていた。………さて、ここから上手く説得しなければ。

頑張れ、私!!

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