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第十一話 其ノ二

ついに今日は待ちに待った海!!海!!海ぃぃぃ!!……叫び過ぎた。てか今はまだ四時半だし……こういう時って早く起きちゃうんだよねぇ〜。私って遠足を心待ちにしてる小学生みたい。まっ、いっか。さ〜てと、暇だし陽さんでも起こそうかな?



『第十一話:お約束?海パニックの前編 side S』



ゆっくりと扉を開ける。

ベッドの上にはスヤスヤと眠る陽さん。

めちゃくちゃ愛らしい!!もう、この顔を写メに撮って皆に送りたい!!こんな場面に立ち合うなんて……陽さんファンクラブの人達が聞いたら殺されるよ。てか陽さんにファンクラブがあったなんて知らなかったし!!『最近初めて知った事其の一』だね。……朝からテンション高いな、私。とりあえずベッドにとびかかる。

『ぼふっ!!』

少し苦悶な表情を浮かべる陽さん。三回呼び掛けてやっと起きた。親切に現在時刻を教えてあげたのにコツン、と殴られた。『最近初めて知った事其の二』がこれ、多少暴力的な一面を持つ所。でも、私が最初に来たときも翔太郎君のこと殴ってたし……。

てか私が自信たっぷりに(実は結構恥ずかしかったのですが)舌をだして『テヘッ』ってしたのに対して殴ることないと思うんだけど……でも陽さんが少し照れた。結構効いたんじゃない?



陽さんがシャワーを浴びにいったので、私はお弁当を作ることにした。かなり気合いを入れて。サンドイッチかオニギリかどっちか迷って結局どっちも入れたりとか、だし巻き玉子をフワッと焼いたりとか、唐揚げなんか朝からちゃんと揚げてるし、他にも諸々。

私って結構偉くない?なんて思ってるとまたいきなり後ろから声をかける陽さん。

心臓に悪すぎ!!しかも唐揚げ食べちゃうし………でも、その時見せた悪戯っ子の様な顔や、その後の微笑みで私はイチコロとなった。頬を膨らませても軽くあしらわれるし……『最近初めて知った事其の三』は最近陽さんは優しく微笑んでくれる様になった。でもまだ瞳の奥には憂いが残ってる。いつか私が綺麗サッパリ無くしてあげたいな、なんてね。




朝食も食べ、談笑してると時計の針は七を指そうとしてた。


「そろそろ行きましょうよ。陽さん自慢の愛車とやらで!!」

「ブッ!!」


飲んでいたコーヒーを盛大に噴き出す。そしてむせる。


「………どうして」

「『どうして知ってるんだ?』ですか?フッフッフッ、私の情報網を舐めないでもらいたいですね。」

「………今日は電車じゃ」

「ないですよ。車があるんならそれで行くに決まってるじゃないですか!!あっ、ちなみに愁さんと絵美にはもう連絡しましたから。」

「なっ!?」

「ほら、行きましょうよ。車の準備して下さいよ。」

「………はぁ。わかったよ。」


なんとか勝った!!椅子から立ち上がり、歩いて行く先を私は満面の笑みでついていく。ちなみに情報網と言っても誠治さんから聞いただけだし。



こんなところに隠し扉……カラクリ屋敷!?そんなことを考えながら陽さんの後ろをついていく。

外にはガレージがあった。そりゃ車を持ってるんだから当たり前か。ガレージのシャッターを開けて中に入っていく陽さん。電気はついてなかったけど、朝日でちょうど照らされてる。陽さんは勢いよくカバーをとった。カバーの下には……すごっ!!なんかカッコイイよ!!オーラが出てるよ!!少し陽さんの顔が自慢げだ。

これが『最近初めて知った事其の四』の車所持&裏庭発見である。ここの存在に気付いたのは今。つまり三ヶ月ちょっと隠されてた。理由はよくわかんないけど。でも、知ったからにはこれからいろいろ連れてってもらわなきゃね。

私のレッツゴーに対して陽さんはやる気のない声でキーを回して車は走り出した。




車内。風が気持いい!!でも陽さんは運転してるし暇だ。とりあえずガサガサといじることにした。

おや?MDが無造作に置かれてる。ちゃんと歌手名とタイトルが記入されている。几帳面だな〜。何枚か見てると、私が好きなバンドのMDを発見した。


「音楽かけてもいいですか?」

「………別」


返事の途中にも関わらずにMDをセットした。軽快なイントロから中々渋い声が放たれる。思わず鼻唄を歌う。


「…………それ好きなの?」

「はい、めちゃくちゃ!!」

「………俺も。」

「本当ですか!?」

「…………何故驚く?」

「だって意外で……ほら、陽さんはジャズとか似合いそうだし。」

「………確かにジャズもクラシックも好きだが……たまには、な。」

「それって、『毎日魚だけじゃ飽きるからたまには肉もいいよな〜』的な意見ですか?」

「………例えが変じゃないか?」

「そっ、そんなことないですよ!!あっ、そこ右に曲がって下さい。」

「………はいよ。」


やっと絵美の家か。朝から長いな〜。いつになったら海に着くのかな?

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