表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/92

第九話 其ノ一

本日も土曜日恒例?の二回更新やります。18時過ぎ頃に更新予定です。もしよかったら見てやって下さい。では本編をどうぞ。

家に帰ると視界にはガッツポーズをしている咲羅。俺の何度目かの呼び掛けでようやく気付き、顔を真っ赤にしてカウンターに隠れてた。とりあえずさっきの緊張は解けたみたいだ。なんとなく安堵した。



『第九話:やっと晴れてくれた梅雨と教育実習、なんとか共に終了 side Y』



カウンターで夕食作り。今日はハンバーグにした。最近は交互とか言っておきながら忙しくて咲羅に任せっぱなしだったので気合いを入れなければ。


料理の出来はなかなかだった。咲羅も満足そうだ。食事中の話題も最近の俺の忙しさの事だ。

忙しい理由は最近やけに男子生徒に追われている。別に俺はそっちの系統ではないし奴等もそうだろう(一部は謎、そんなこといちいち知りたくない)。部活勧誘だ。なぜ実習生に勧誘するのかは謎だ。たまたまサッカー部のボールが足元にきたから軽くリフティングして返しただけだし、たまたま廊下で喧嘩してた空手部の上段蹴りを受けながして、その相手のボクシング部の奴の右ストレートをクロスカウンターで寸止めしただけだ。確かに普通の奴なら出来ないだろうが、よく誠治とか龍太に付き合ってトレーニングさせられてたから俺の中では普通だったのだが………まさかここまでとは。

そのせいか、また追ってくる女子が増えた気がする。……疲れる。

不意に咲羅が話しかけてきた。俺は煙草をくわえながらそちらを向く。


「陽さんって………何で教師目指してるんですか?」


………どう答えるべきか。表向きには『朝井先生を尊敬して自分も目指した。』と言う理由だ。確かに俺は朝井先生は尊敬してる。恩師と呼べる唯一の先生だ。しかし、これでいいのだろうか?咲羅にだけは本当のことを言うべきではないのか、なぜかそう思った。


「………やっぱりいいです。」

「…………え?」

「別にいいですよね、理由なんて。」

「………」

「いつか………教えてくれますか?」

「………ああ。」



その後いつものように勉強を見てやり、そのまま眠りにつこうとしたが、眠れなかった。とりあえず部屋の冷蔵庫から缶ビールを取りだし、一気に注ぎこむ。写真に目がついた。笑ったままの唯の顔はあれから全く変わっていない。


「…………唯、俺はどうしたらいいのかな?」






あれから更に時は経ち、教育実習が終了した。この時ばかりは流石の俺でも少し感傷に浸っていた。俺も無感情ではないからな。


朝井先生と帰りに少し飲んだ。この人は変わらないな。見た目ではなく、中身が。生徒の為に生きてるような先生だからな。しかし最初から俺と咲羅が一緒に住んでいたことを知っていたらしい。恐ろしいものだ。


朝井先生と一緒に家に戻ったのは丁度閉店した頃だった。中ではなぜか皆揃っている。


「じゃあ、先悦ながらわたくし榮井翔太郎が音頭をとらせて頂きたいと思います!!」


すでに奴の足は千鳥足だ。


「ではでは……陽と栞の実習終了に……乾杯!!」

「「乾杯!!」」


………こいつらはただ騒ぎたいだけじゃないのか?

結果なんて言わずもがなといった感じなのだが……

翔太郎、ダウン。

龍太、ダウン。

朝井先生、途中退室。

誠治、明日の授業の為に途中退室。途中、絵美を送る

愁、深夜のバイトの為に途中退室。途中、綾子を送る

栞、元気。コイツは尋常じゃないくらい酒豪である。

綾子、愁に送ってもらう。

絵美、明日の予備校の予習の為に途中退室。誠治に送ってもらう。


…………そしてまた寝ている咲羅。Tシャツの端がめくれて少し見えたウエストに多少緊張しつつもとりあえずまた運ぶ。いつから俺は運送業者になったのかは俺自身もわからないままである。


後に聞くとまた閉店時間を前倒ししたらしい。………はぁ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ