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EP.14 後悔

 4月18日……敵の試作ADを破壊し戦艦までも落とす事に成功した、敵戦艦は爆破せず大きな音と共に着陸した。中には怪我をしたクルーが大勢おりアルテミス・クエルのクルーが調査に入り敵を拘束するも彼らは抵抗しなかった。皆己の艦長に不満を抱いている者が多く。むしろ解放されたと言わんばかりの態度を示す。


 現在アルテミス・クエルはグリーンランドを出てラブラドル海上空を航海している、突貫工事でビーム砲を取り出し推進力の確保に成功した。


 メインブリッジではシルア・ボーディンとエナ、クルシュがおり他メンバーは別行動をとっていた。

「海ねぇ……。」

 シルアが独り言を呟く。

「どうしました?」

 その独り言にエナは反応する。

「いや、俺の故郷も近くに海があるんだが。なんでも地方が違うだけでこんなにも印象が変わるとはな。」

「そういえばヨーロッパ出身でしたね。地中海?」

「ああ、あっちはカラッとしてるがここはなんだか寒そうに見える。そういえば、タイタニック号がぶつかった氷海はラブラドル海流から流れたもんらしいな。不吉な予感みたいな……。」

「ちょっとやめてくださいよ。縁起でもない。」

 シルアの変な発言にエナは抗議する。

「冗談冗談。敵艦の捕虜も何名か連れてるが彼らがトラブルを犯さない限り俺達は無事さ。」

「それフラグですよ。」

「まっさかー。」

 そんな冗談をかい摘むが油断は出来ない。敵戦艦から何名か捕虜をこのアルテミス・クエルに収納した。入り切れない分は地球政府がグリーンランドへ赴き回収するとの事。殆どのクルーはそれを受け入れており、事情聴取すると彼らは捨て駒のような扱いだったそうだ。今は半壊した戦艦の中で大人しくしているだろうか。

「航海進路を更新、回すね。」

「お、おう。」

 エナとシルアの会話を横目にクルシュは冷静に仕事をする、なんというかクール系な印象を抱く。

「そういえば皆んなどこに行ったんですか?」

 エナはメインブリッジ三人の空間に疑問を持つ。

「分からん。おそらく例の試験機?あの少年のパイロットが敵戦艦の艦長と関係があるとかどうとか……。」


 ——アルテミス・クエル集中治療室では試験機パイロットの少年が意識を失っていた。幸いにも命に別状はない。

 

 その映像を流しながら取り調べ室では……。

「あなたが地球降下作戦第二戦艦部隊の艦長『マルヒト・カー』ですね?」

 ノア艦長が取り調べをする。

「ああ。」

 マルヒトは手を後ろに回され手錠をつけられている。常に監視員のガリアスが見張っている。

「報告によればパイロットであるニール・カーはあなたの子供ではない。そうですね?」

「ああ、私が父親役という立ち回りだ。そうする事で彼は素直に言う事を聞く。」

「データ上にあった『ナイトシリーズ』とは何ですか?」

「私も詳しくは分からないが。ルナティックブラックナイツ用の強化人間プランの一つだ。第二第三世代の強化人間の事を指すのだと思う。」

「では、この『落ち騎士』と言われるファイルは何でしょうか?」

「よくここまで漁ったな。どうやって?」

「おい!質問に答えろ!」

 ガリアスが高圧的になる。

「良いんです。ガリアスさん。私の特技はハッキングです。どんなにセキュリティーが厚くとも入り口があれば何とかできます。」

「なるほど……落ち騎士だが簡単に言えばニールのようにシンクロ・リンク・システムの手術失敗患者を指す。神経と脳に対する手術だ下手をすれば障害が残る。」

「このファイルの開け方は……。」

「メモしろ、パスワードを教える。変なギミックがあるんだ。」

 取り調べは順調に行っていた、マルヒトは素直に従い嘘偽りなく答えていた。


 取り調べは数時間に及び無事終了する。

「ありがとうございます。なぜここまで協力的なのでしょう?」

「私は月政府に忠誠など誓ってない。ただ普通に職務を全うし普通の生活をしたかっただけだ。養子であるニールと暮らせればそれで良いのだ。」

 彼はその言葉を残し独房へ入って行った、その背中は虚しくもスッキリしていたように感じる。


 ——エイジはアルテミス・クエルの医務室にいた隣の部屋は集中治療室になっておりニールの姿が見える。

「幻覚?」

 エイジの向かいに座っていたのはノクターであり幻覚の話をしていた。

「はい、以前にも似た幻覚を見まして……ポッドの中に人が……。」

 幻覚の内容を詳しく話す。

「何とも不思議な話ですね。私の出した薬には幻覚の作用はありませんし……何が原因でしょう……。」

 顎に手を当てて考えている。

「新型に乗った時からなんです。関係はありますか?」

「ないとは言い切れません。ニューラル・インターフェイス・システムは脳のニューロンを刺激する。マヤさんは極度の興奮状態に陥りますし、もしかしたらアナタはその副作用を受けているのかも。」

「はぁ……。」

「協力になれなくてすいません。引き続き薬の服用は続けてください、よろしくお願いします。」

 ノクターとの相談が終わると医務室に誰か入ってくる。

「先生、補充が終わりました。」

「ありがとう、シア。」

 見た事ないな、誰だ?

「ああ、エイジ君は初めて見るか。ナースの『シア・アグラー』だ。ネスト1から派遣された子だよ。」

「初めまして。」

「ど、どうも。」

 普通に可愛い。

「そうだ、シア君。患者であるニール・カーの担当を任せるよ。」

「はい、わかりました。」

 シアは集中治療室へ入って行った。

「大丈夫ですかね……。」

 流石に心配ではある、目を覚さないとはいえニール・カーは精神が不安定だ暴れだしでもしたら……。

「心配はいらんよ、彼女だってそれは心得ている。いざという時は対応するさ。」

 医務室を出て自室へ向かう、到着まで時間は掛かるし少し休むか。


 自室に入るなりベッドへ横たわる。

「んー疲労が取れない。」

 不思議と昨日から体が重く感じる、ニューラル・インターフェイス・システムの影響らしいが便利なものの毎回これでは骨が折れる。

『幻覚……エイジさんが何を見たのか私の方で調べてみます。』

「検討はつくのか?」

『やってみない事には……ただあの光景……少し怖く感じます。』

「人が保存されているのか?それとももっと別な用途が……。」

 昨日見たポッドの中に人が入っており酸素マスクとヘソに繋がる人工臍帯、奇妙であり恐ろしい、人の尊厳とは何か嫌でも考える。

『色々と探ってはいますが該当するものは見つかりません。それかブラックボックスの可能性があります。』

「ブラックボックスの方が説得力はある、あんな物を世間に露呈は出来ないだろう。だが、なんのためにあるのか……。」

 用途が不明だ、人を中に詰めて何の効果があるのか不思議と突き止めたくなる。

『ブラックボックスと言えばですがこんな物を見つけました……。』

 ローラが映像を映し出すとそこには他人に見られてくないファイルが映し出されていた。

「何してんだあああああああああああ!!」

 部屋の中で大きな声を出してしまった。男性が持っていておかしくないファイルで暗証番号を解きファイルを開錠しやがった。

『なるほど……コスプレが趣味なのですね。シアさんを見た時に少し心拍数が上がりました。これは……。』

「現実とフィクションぐらい分けてるわ!」

『ナースだけではありません。サキュバス、教官もの……おまけに穴開きビ……』

「一々口に出して言うなよ!てか、勝手に人のもん漁るな!」

 こいつ日が経つにつれて図々しくなってきている。感情がよりはっきりと前に出ているがより幼稚な好奇心と言うべきか、成長を感じる……なんて思ってる場合じゃない。

「良いから閉じろ!そんなもん見ても情報体であるお前に得はない!」

『うるさいです!気になるので見ます!私の探究心に水を刺さないで!』

「分かった!お願いだからホログラムを通して見るな!お前なら出来るだろ!」

『私は人の目線で見たいのです!ガイアリンクのカメラを通して人目線で見てみたいのです!』

 するとホログラムに流れる訳だが音量も出ている。ローラは10秒進む所をクリックしているようで、男なら分かるだろう……良い所を探してるようだ。

「音ぐらい何とかしろ!」

『どこが良いか音まで確かめてるじゃないですか!』

「なんで知ってんだよ!」

 そんなデカイ会話をしてればインターフォンが鳴る。

『私だ、リーだ。隣の部屋から苦情が出ている。ただでさえ忙しいのに……何事だ?』

 最悪だ……ベッドで横たわってる上にホログラムが存在している……これは……マズイ……。

『返事がないな……開けるぞ?』

 リー副館長は全クルーの管理もしている。マスターキーを持っていてもおかしくない。

「ホログラムを消せ!」

『こ……これが……生命の神秘……』

「そんなもんで覚えんなよ!」

 ローラを止められるはずもなく扉は開かれてしまう。俺はおしまいだ。

「何をしているのですか……」

 リー副館長の顔が赤い……そして硬直し気まずい空気が流れる。

「これはガイア・システムに教養を教えてまして……。」

 そんな下手くそな言い訳通じるか!

「ああ……そうか……この映像は一体……」

「映像?」

 作品が変わったのか音声に違和感を感じる。恐る恐る目を向けてみるが……。

『屈強な男性同士の戯れ……これは確かに人を選びそうですが一部の女性には人気のようですね……ですが、これでは非生産的では?』

「ああ……人の趣味趣向はそれぞれだ……気にするな……軍曹……。」

 リー副館長は急いで部屋を出て行ってしまった。言い訳ぐらいさせてくれ……。


 時間は経ちローラが満足したので感想を聞く。

「どうだった?」

『ええ、とても刺激的でした。肉体こそ持ちませんが感受性の強化には必須と言えるでしょう。』

「それはよかった。」

『それで次は何の作品を買うのですか?』

「俺はもう買わないよ。」

 そう、俺はもうネットで作品を買わない事を誓ったのだ。この後マルコスを殴ると清正した、あの呪いのビデオは当時誕生日の際に悪ふざけでマルコスから貰ったものだ。

 思い出は残すと後悔する事もあると学習した。


 EP.15へ続く……。

読んで頂きありがとうございます。これからもよろしくお願いします。

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