彼女の親友
少し書き直しました
秋の肌寒さを感じさせる中、私は学校へ行く道を急いでいる
考え事のせいで、いつもより遅く出てしまった
別にゆっくり行っても十分学校に間に合う時間だが、私は人を待たせているので急がなければならない
ちょうど、角を曲がった先に、制服をきたポニーテールの背の高い女の子が立っている
彼女はこちらに気づき、大きく手を振ってきた
「あっ、おはよう!澪」
「おはよう、紗枝」
安藤紗枝、私の幼い頃からの親友で、登校する時はいつも一緒に通うようにしている
「遅れてくるなんて、めずらしいじゃない。いつもは私より必ず先に来るのに」
紗枝は不思議そうに言った。
私はそれに申し訳ない顔をしながら答えた
「ごめんなさい。ちょっと寝坊しちゃって・・」
紗枝は首を傾げた
「寝坊かー、これもまためずら・・・、うん?」
急に目を細めてこちらを見てくる
「う~~ん」
唸りながらずっと見てくるので、私は何だか居心地が悪くなって聞いてみた
「何?」
紗枝は小さなため息をはいて、ズバリ
「あなた何か、深く悩んでて、遅れたでしょう!?」
私はとても焦った!
「なっ、なんでそう思うのよ。」
紗枝は呆れながら答える
「何年の付き合いだと思ってるの?」
私の目をまた、じっと見てくる。ごっ、ごまかせない!
「うー」
唸るしかない私、本当にわかるものなの?
うれしいような、いやなような~ ああっ!
「でも、ひさしぶりね。あなたがそういうことになっているのを見るのは」
紗枝は懐かしそうに言ってきたので、私はとぼける
「そ、そうだっけ?」
「そうよ、あなたが小学生にして初めて告白を受けた時以来ね」
「ッ!!」
確信した口調で言ってきたので、私は一瞬で思い出し、顔が赤くなった
よくおぼてるな~。う~、思い出してしまった・・・
小学4年ぐらいの時だった
今でこそ告白慣れをしている私だが、当然、初めての時もあり、慣れてもなかった
別のクラスだったか、ある男子に呼び出されて告白された
返事は明日でいいと言われたので、私はその夜、どうやって返事をしたものかと悩んだ。
相手のことは好きではないが、断ったら相手は大いに傷ついてしまうのではないか
でも、好きでもないのに受けることも、絶対に嫌だ!
どうしようか、どうしようかとオロオロしながらずっと考え、ついには朝になってしまった
そうしてどうしようもなくなった所で、朝、紗枝にあったところでそのまま泣きついていた
自分が考えていたことを全て切々と伝えたら、疲れた顔の紗枝が
(「好きじゃないなら、断れ!!」)
と怒鳴った。
これのおかげで私はハッキリと断るということを覚えたのである
「あの時みたいに長々と泣きつかれるのは嫌だよ」
紗枝はあの時のことを鮮明に思い出したのか、本当に嫌そうな顔で言ってきた
私は過去のことを言われたので少し、ムッとした
「むっ昔のままの私じゃないのだから、そんなことはもうしないよ!」
「本当かな~」
紗枝は疑いの目で見てくる
「さあ、早く行かないと学校に遅れるよ」
私は話題を終わらすため、急いで学校に歩き始めた。
「あっ、待ってよ~」
紗枝も急いで追いかけてきた
「ねえ、澪。ああ言ったけど、
本当は泣きつきたくなったら、泣きついていいんだよ」
紗枝は心配そうに言った
「ありがとう。でも、大丈夫だから、今は何も言わないで」
そうだ、昔の自分と今の自分は違う、やってみるのだ
「わかった。ほどほどにね」
紗枝が肩をポンっと叩く
あ~~、やっぱり親友っていいわね
しばらく歩くと、学校の校門が見えてきた。
同時に、登校中の生徒たちも多くなってきており、
その大半がこちらをチラチラ見ている
いつものことだが、いい加減、飽きて欲しいな~
紗枝はいつものことなので、気にせず私に話しかけてくれる
「あっ、そういえば昨日担当の図書委員からいきなり、電話きたのよ」
紗枝は体を動かすのが好きな方だが、読書もそれなりに好きなので、図書委員をしている。
「ふ~ん、何だったの?」
「何かあなたに許しを請いたいとか、伝えてくれとか、意味わかんなくてすぐ切ったけど」
私は首を傾げた
「何それ?」
「全く覚えがないの?」
紗枝は私の顔を覗き込んでくる
「う~ん、そういえば何か昨日帰る時に話しかけられたような~」
私は思い出そうと必死に頭を抱える
「その程度ってことは、これは悩みに関係ないわね」
「もう、紗枝!今は何も言わないでって!」
紗枝に顔を即座に向けた。あっ
「あー!!」
「どっどうしたの!?」
紗枝が驚いて前を見ると、とても中学生には見えない背と顔をもつ男子生徒がこちらを見ていた
「あー、結城君ね。相変わらず大きいなって今さら驚くことないじゃないの」
そうじゃない!
結城輝幸はまるで山男のような姿で周りから怖がられているが、実際の所は、温和で優しい性格らしいと友人から聞いている(もちろん紗枝もそれを知っている)
「そうか~、彼がいるのは、いつもより遅く登校したからか。気にする必要ないよ
周りと同じでただ、あなたを見てるだけだから」
そんなことはわかっている、そうじゃないのだ
私が驚いのは、さっきまで結城君の隣りを一緒に歩いていた男子生徒
彼は止まらずにそのまま玄関に向かってしまった
はっ!追いかけなくちゃ!!
あれ~なかなか、彼へと移行できない