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きっかけは突然に

かなり遅くなってすいません。



ドキドキ!


自分の心臓が激しく脈打っているのが明らかに感じる。


うう~~、緊張する~。


一度会っているとはいえ、改めて会うとなると、どうも構えてしまう。


まあ、こないだのはいきなりだったから仕方がない。


今、私はいつもの会議室前にいる。


なぜ、なかなか入れないかというと、理由は1つしかない。


そう、この向こう側に彼が待っている。



今に至る少し前。


「彼と話ができるようにセッティングしてあげたから!」


上のように、とんでもないことを言った紗枝を私は踊り場に連れ出して、問い詰める。


「どういうこと?」


紗枝は私の質問に満面の笑みを浮かべた。


「そのままの意味。澪がなかなかチャンスをつくれないようだから、手伝ってあげようと思ったの」


 その紗枝の反応に少しイライラしたので、声を荒げる。


「だから、彼ってなんのこと!?」


それでも、怯まず、紗枝は答える。

「またまた、ここまで言っているからわかるでしょ。澪の愛しの彼だよ」


紗枝は自分の体を抱きしめて、愛おしさを現した。


「なっ!!」


 私の固まった姿を見て、紗枝は確信を持った笑みを浮かべた。


「やっぱり、そうなんだ。」


 言い訳しても、無駄だと理解した私は弱々しい声で聞いた。


「・・・・何でわかったの?」


「いつも通りに振舞っていたようだけど、近くで見てきた私にはわかるよ。澪はしきり何かを気にしているって」


 そう言いながら、紗枝は甘い甘いと人差し指を振った。


一応、気を配っていたのだけど、やっぱり気のおける友達だと、行動が出てしまっていたのかな。


「はじめは、それほど気にしてなかったのだけど、何日経っても、それが終わらないからきになってね。それでずっと観察していたら、彼とすれ違ったときに澪がかすかに緊張していたのを感じてピンときたの、どうすごいでしょ、この察しのよさ!!」


ええ、凄いわよ。恐ろしいぐらいに


親友は伊達じゃないという貫禄を見せられた気がした。


話が脱線していたので本題に恐る恐る戻す


「・・本当に・・・・彼を?」


「うん、ヒロに“生徒会の用事”ってことで、あの会議室に呼ぶように頼んどいたよ」


 私は頭を抑えた。


「・・ヒロも関わっているの?」


紗枝は両手の平をこちらに向けて、大丈夫と表現した。


「安心してただ手伝ってもらっているだけ肝心な事は教えてないから」


まあ、そうか、知ったらまず、私に確認を入れる慎重さをもつのがヒロだもんね。


ん~、臆病とも言えるかな。紗枝に全く気づいてもらえてないのだから。


・・・・・・ヒロ、誤解してないといいけど。


「澪、余計だったかな」


紗枝は急にしおらしい顔をして私に聞いてきた。


ここまでセッティングしといて何をいっているんだか。



「余けっ!」



感情に任せて余計に決まっていると言おうとしたが、待てよと思い直した。


確かに何も言わず。勝手に彼とのセッティングをしていた。


もともと生徒会の呼び出しという手は私もとっくに思いついていた。


しかし、これは今まさに欲しいきっかけだったのではないか?


もともと、生徒会の呼び出しという手はとっくに考え付いていた。


呼び出す理由もいくらでも思いつくし、場所も確保できる。


何より副生徒会長なので誰も疑問に思わない。


問題はそれを伝える役目の人だ。


よく考えて選ばないと親しい人からでも、下らない噂が広まってしまう。


ましてや、私の場合は高速、いや音速だろう。


その場合、私はいいが彼に意識が集中してしまう。


もしかしたら、私のファンのやっかみを受けるかもしれない。


そんな迷惑かけたくない。


だから、心のおける幼馴染2人は適任だったのではないだろうか。


このように自分の問題を解決してくれこそ、困ったことを起こした訳ではないのだ。


そんなに責めることはできない。



「澪?」


不安な声で紗枝は声を掛けてきた。


「余計な事だったけど、実際助かった。でもね、そういうことは事前に確認して、知らないところで進められるのは、嫌だよ。」



「うん、ごめん。澪のことだから、また、ウジウジ悩んでいるんじゃないかと思って急いだの。こういうことは勢いが必要だから。後悔するにしろ、しないにしろ。」



「・・・・確かにね」


紗枝の言葉に感心していたら、ふと、疑問が浮かび上がってきた。


「そういえば会議室の鍵はどうしたの?」


会議室を使うためには鍵が必要なのだが、持っているのは基本、私なので使えないはずだ


いつも、一緒に使う紗枝達が気がつかないはずないのだけど・・・・まさか。


紗枝はスカートのポケットを探って鍵を取り出して見せた。


「ごめん、借りてた。」


やっぱり


私はため息を吐いた。


まあ、もういいけどね。


紗枝が周りを見回して、時間が立っていることに気がつく


「そろそろ行った方がいいよ。」


「あっ、そうね。」


紗枝は急に真顔になり、私に言う。


「澪、正直彼って知ったとき、こういう人が好きなのかって少し驚いた。でも、澪自身が選んだ人だし関係ないよね。頑張って応援しているから。」


「紗枝、ありがとう」


彼女の純粋な言葉に私は素直に感謝した。


「それに、釈迦に説法だと思うけど、澪が本気だせば、告白は絶対成功するよ。それだけの魅力を備えているんだから」


そう言って紗枝は右目でウィンクした。


「・・・紗枝」


「さあ、行って、行って。私はこれから部活だから結果は後日おしえてね。じゃあ!」


・・・・・・ありがとう、紗枝


でも、ひとつだけどうしてもいいたかった、いや言わなきゃいけなかったことがあるのよ


なんだか、ごめんなさい。その魅力をはがにもかけられずにふられているの・・


言っていたら、諦めろって、昔みたいに怒鳴られたかな?







私は紗枝とのやり取りを改めて思い出し、ドアを見る。


確かに私は1度振られている。


でも、このきっかけで、生徒会の仕事についてなどでいいから相談して、ある程度話せるようになり、そして、彼を知りたい。


私は手のひらを握り締めた。


よし、行こう。


私はドアの引き手に手をかけて一気に開いた。


ガラッ!


「待たせたわね」


ガタッ、ガタン!


前の方で椅子がぶつかる音が聞こえる。


焦って立ち上がったようだ。


「えっ、みっ、澪さん!! いえ、副生徒会長、全然、待っていません。」


そういって、彼は明らかに中学生とは思えない大きい体を強張らせながら、両手の平を前に出して、ごつい顔をぶんぶんと横に振った。


んー?大きな体、ごつい顔・・・・・誰?



私は一瞬、明らかにわかりやすい特徴を持った目の前の彼を認識できなかった。


これから数話はすぐ投稿できると思います。

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