第41話:「狙われた能力者」
フロントコード本部、作戦室。
セリカがテーブルに腕を組み、険しい顔でモニターを睨んでいた。そこには、襲われるいるカナデとイリスの映像が映し出されていた。
「……昨夜、カナデとイリスが襲われたわ。」
セリカの隣ではレオが難しい表情を浮かべていた。
「カナデは腹部に重傷を負った。幸いイリスは無事だったけど。今は迅がカナデの対応しているわ。誰がやったのかは不明……」
レオが腕を組んで考え込む。
「フロントコードが襲われるなんて事は今までなかった事だ。」
セリカが険しい顔で言った。
「ええ、今回が初めてよ。でもある程度予想はしてた。まさか戦闘員以外を襲うとは思わなかった。相手を舐めてたわ。」
そう言いながらモニターの画面を切り替え、説明を続けた。
「この痕跡からして、おそらく物質変化の能力者が関与している可能性が高いわ。」
レオがモニターに映る情報を見つめながら尋ねる。
「物質変化……となるとグリードか?」
「可能性は高い。」
セリカがファイルを開く。
「調べてわかった事がある。グリードは昔、私のマザーを受けていたわ。ただアビリティポイントが低くて能力開花まで至らなかった。」
セリカはまた、昔の過ちに後悔していた。
(まさかクリードがそのままS級並みの力になるなんて。志久間が絡んでいるとしか思えない。)
「そいつがカナデたちを襲った証拠は?」
レオが尋ねると、セリカがデータを示す。
「決定的な証拠はないけど、カナデの傷口から検出された物質が、グリードの能力特性と一致してるわ。」
「つまり、こいつが犯人ってことか。」
レオが苦々しく呟いた。
「それだけじゃない。カナデはグリードの攻撃で倒れたけど、イリスの方は……」
セリカが別の映像を映し出す。
そこには、黒い霧のようなものに包まれたイリスが映っていた。
「これは……?」
「ファントムだね。」
そこにカナデの治療を終え扉から入ってきた迅が言った。
「カナデは大丈夫なのか?」
レオが訝しげに問いかける。
「もちろん。今は眠ってる。」
迅は淡々と言った。
セリカは安心した顔で迅の方を見たが、またモニターに目を向け説明を続ける。
「能力は**『空間歪曲』**。自身を含めた物体を短時間だけ異空間に移動させることができる。つまり、カナデを倒した後、イリスを連れ去るつもりだった可能性が高い。」
さらにセリカは説明を続けた。
「ファントムは偽名だったからわからないけど、おそらく彼もマザーにかかっている。」
「厄介だな……イリスと似た能力なんて。」
迅が険しい顔で言った。
「そして、この二人を操っているのが……志久間。」
セリカの表情がさらに険しくなる。
「志久間……例の昔一緒に研究していた仲間か。」
レオが腕を組みながら呟く。
「ええ.....」
セリカが昔を思い出しながら頷く。
「そんな奴が裏で動いてるのか……厄介だな。」
レオが眉をひそめる。
「カナデとイリスを狙ったってことは、今後フロントコードの能力者が次々に狙われる可能性が高いってことか?」
セリカが考え込む。
「おそらくね。」
セリカがモニターを消し、ゆっくりと立ち上がる。
「今度はこっちから仕掛ける。後手に回るわけにはいかないわ。」
「そうだな。」
レオも立ち上がる。
「俺がグリードを探る。」
レオが言うと迅も言った。
「じゃあ、僕はここで待機してる。命さえあればどんな怪我でも治すよ。」
「私は裏の情報を調べて、志久間の動きを探るわ。フロントコードの防衛の強化も。後はアキト、カムイも動いてもらうわ。もう出し抜かれたりしない!」
セリカが言い、3人はそれぞれの役割を決めた。
カナデとイリスの襲撃は、戦いの始まりに過ぎなかった。フロントコードVS志久間たちの戦いが、ついに本格化する。




