第38話:ゼロ視点「世界の頂点に立つのは俺様だ」
アキトがハウンドと戦っていた頃。
ゼロは街中の中心を人混みの中、堂々と飛んでいた。
すれ違う人達はコソコソとゼロを見て何かを呟いている。
(人間どもがようやく俺様たちアビリティパーソンズの存在をまともに認識するようになってきたな)
ニヤつきながら注目を浴びるゼロは優越感に浸っていた。
(まあ、当然だよな。
超常の力を持つ俺たちが、戦い、守り、時にはぶち壊す。
それを見て見ぬふりできるほど、こいつらもバカじゃない。)
今や日本の社会には、アビリティパーソンズの存在がしっかりと刻まれている。
S級、A級、B級、C級──この格付けだって、すでに世間の常識だ。
特にS級の迅と、A級トップのレオ。
こいつらは完全にスター扱いだ。
どこへ行ってもニュースやネットで話題になるし、
女子はキャーキャー言って、写真や動画を見てる始末。
「……チッ、面白くねぇ。だが最近は違う!」
ゼロは目をギラつかせて言った。
(最近は俺様のことを話題にする奴らも増えてきた。
“葛城アキトと共に黒い龍を纏う謎の存在”──だとよ。
ちょっとはわかってきたみたいだ。)
だが、世間の評価なんて半端なもんだ。
フロントコードのことも認識されてるとはいえ、
結局は「警察とは別の能力者組織」程度の認識しかない。
それに──世間は知らない。
セリカのせいで、かつて能力が低いC級以下が世間に放り出されたことを。
フロントコードに拾われなかった、ヴォイドハウルにもいかなかった連中が、
地味に、しかし確実に事件を起こしていることを。
ヴォイドハウルみたいに派手ではないが、
能力を持ちながらも社会に適応できず、
犯罪に手を染める連中が増えてる。
そして、S級やA級の存在が注目されるほど、
フロントコードに対する“期待”と“恐れ”が世間には広がっている。
(ふざけんなよ)
思いとは裏腹にゼロはニヤついている。
(俺様たちをアイドルか何かみたいに扱いやがって。
人間どもは、本当に俺たちのことを理解しているのか?)
(──ま、いいさ。)
そのうち、俺様の力が世間を本当の意味で震え上がらせる日が来る。
「……ククッ、楽しみだぜ。」
俺様の黒い鱗を撫でながら、そう呟いた。
すれ違う女性を嫌らしい目で流し見る。
その何人かは「キャー」だの「可愛いい」だの黄色い声が聞こえる。
それに答えるようにゼロはエロ目で手を振っていた。
完全に調子に乗っている。
(S級やA級に負けねぇ存在として、
その“名”を知らしめる日も近いだろうよ。)
ゼロはエロ目のまま街中を堂々と飛び、優越感に浸りきっていた。




