第28話:核の目覚め
アキト達はイリスのゲートで異空間にいた。そこにセリカも加わり装置の破壊を試みる。
装置から不穏な振動が空間全体に広がり始めた。装置の中心部に埋め込まれた球体が、脈動するように光を放っている。
「これ、本当に触れずに済むのか?」
レンジが不安げに装置を見つめる。
セリカは装置の周りを触れずに周り、“やっぱり”とゆう顔で説明した。
「この装置は、私がかつて共同研究していた仲間が開発したものよ。マザーを基にした技術だけど、目的が根本的に違うわ。」
「セリカの仲間?」
レオが疑問を投げかける。
「ええ、彼の名は志久間武史。私がアビリティパーソンズの研究を始めた頃、一緒にプロジェクトに携わった科学者よ。でも、彼は途中で道を外れた……。」
「どうしてそんな危険な装置を?」
アキトが問いかける。
「彼は“進化”を追い求めていたわ。人間が次のステージに進むためには、負のエネルギーすら利用すべきだと考えたの。こんな装置を作るのは彼しか考えられないわ。」
アキトたちが装置をどうするべきか迷っている時、さっきの場所の遠く離れた廃墟の上に一人の男が立っていた。
その男は白衣をまとい、白髪の悪い顔をした60代の老人だった。背中を丸めながら静かに装置があった場所を見下ろしている。その瞳には冷徹な光と狂気が宿っていた。
志久間は低い声で独り言を呟く。
「装置を持ち帰ったか。まーよい。」
彼の手には小型の端末が握られており、ゲートに消える直前、装置の動作を遠隔で起動させていた。
佐久間は微かに笑いながら、過去のセリカとの日々を思い出していた。
「セリカ、お前は私を裏切ったと言ったが、果たしてどちらが間違っていたのかな?私の理論が正しかったことは、これで証明される。」
そして異空間では装置が突然、より強い光を放ち始める。周囲の空間が歪み、黒い霧のようなものが漏れ出していく。
「何だ、この感じ……!」
ユウマが身を引きながら叫ぶ。
ゼロが鋭い声を上げる。
「これ、ヤバいぞ!完全に暴走してやがる!」
アキトは咄嗟に双竜を解放し、装置から出てくる影を切り裂いた。
レンジとユウマもすぐさま支援に回るが、霧の中から現れる謎の影に次々と攻撃を阻まれる。
レオはとっさにセリカとイリスを守ろうと彼女らの前にたった。
「セリカを連れてイリスは外に出ろ!」
焦りながらレオが影に攻撃を仕掛ける。
レオの後でセリカ全員に緊急指示をだした。
「少し待って。その装置を普通に壊すのは危険すぎる。暴走を止めるには中心部のコアを直接抑えるしかないわ!」
「直接抑えるって、どうやるんだよ!」
レンジが叫ぶが、セリカの声は少し迷いながらも続く。
「……いや、違う。コアを傷つけず、コアとエネルギーの流れを断ち切る。それからコアの破壊よ。」
アキトは双竜を見つめ、静かに頷いた。
「やるしかない。」
ゼロが不安そうに肩から声をかける。
「おい、無茶言うなよ。この状況でか!」
「レンジ、ユウマは周りの影を抑えろ。俺はイリス、セリカを守りながら援護する。アキトはコアと装置の分離を試みろ。」
レオは素早く全員に指示を出した。
「大丈夫だ。全員で力を合わせよう。」
アキトはゼロに微笑みかけ、双竜の力を両腕に移し、全開にして装置の中心に飛び込んだ。
その瞬間にさらにレオは付け加える。
「イリス、アキトが装置とコアを分離させたらゲートで別の場所に移せるか?」
「....やってみる」
イリスは自信なさげに答えた。
アキトは周りの影をすり抜け、一瞬で装置の側まで移動した。そして両腕を構えさらに早い速度で装置の反対側まで消えた。
「双竜・迅斬撃」
装置の中心を傷つけないよう斬撃を放ち、中心から血よりも赤く黒にちかい玉が顔を出す。
「これか!」
警戒しながらゆっくりコアを掴むと同時に、アキトの体に激しい痛みが走る。
「くぅ.....」
しかし、彼は歯を食いしばり、コアの負のエネルギーを双竜で押し返していく。
レオはセリカ、イリスを守りながら影と戦っていたが、全員の状況を把握もしていた。アキトがコアを掴んだ瞬間に叫ぶ。
「アキト、こっちに投げろ!」
アキトは痛みに耐えながらレオの指示に従って投げた。
「イリス、俺の前にゲートを!」
イリスも指示通りレオの前に小さなゲートを出したが、投げられた玉の起動はゲートの上を越えようとしていた。
「まずい!まだ完全にコアとエネルギーが分断されてないわ!」
セリカが焦った顔で叫ぶ。
レオも対応策を一瞬で考えるが思いつかない。
「俺に任せろ!」
そこにゼロがすかさず飛んで尻尾で玉を弾いた。
弾かれた玉はゲートに入りイリスがゲートを閉じた。
その瞬間周りにいた影達がゆっくり消えていった。
ゲートで危機を乗り越えていた頃、志久間はその場を去りながら、通信機を使って誰かと会話を始めた。
「次の段階に移る。彼らにはまだ試練が必要だ。準備を進めろ。」
通信の相手は不明だったが、ヴォイドハウルの更なる計画が進行していることを暗示していた。




